元ラノベオタクの転生勇者はチートスキルを使わない

辻谷戒斗

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第二十五話 図書館

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「着きました。ここが図書館ですわ」

 あれから俺達はエザの案内でここまで来た。
 ……うん?あの後ボーグンとどうなったかって?
 もちろん喧嘩はしませんでしたよ?俺は優しいし大人ですからね!
 ……すいません嘘つきました。喧嘩はしませんでしたが、キレてたのはキレてました。ローズとエザが止めてなかったら絶対やってました。
 まぁ、ボーグンも謝ってきたし許してあげたけどね。
 ……反省しているかどうかは定かではないが。

「っていうか、図書館もでかいな。めちゃくちゃ本あるじゃねえか」

「そうですね。主に歴史や神話の書物、あと小説や漫画など数々の本がありますわ」

 おお!小説や漫画もあるのか!?それは嬉しい!
 ……はっ!いかんいかん!まずは歴史を調べて情報を集めないと!もしかしたら魔王の情報もあるかもしれないしな!

「なあ、少し時間貰っていいか?いろんな本あるし物色したいんだが」

「ええ。もちろん構いませんわ。お二人もそれで大丈夫ですか?」

「うん。僕は問題ないよ」

「私も……大丈夫……ミツルが好きな本とかも知りたいし……」

「じゃあ……そうですね……10分ぐらい時間をとりましょうか」

「いや短くね!?そんなんじゃ一冊も読めないと思うんですけど!?」

「大丈夫ですよ。ここにある本はすべて貸し出し可能ですから」

「なるほど。それなら良かった。じゃあ10分後にな」

「ええ。また」

「分かったよ。また後でね」

 俺は皆から離れて、歴史の本を探しに行く。
 見る限り、本がジャンル別に並べられているので探しやすいだろう。

「さて、と。歴史の本はどこだ?」

「……歴史の本は……あっち……」

「うおっ!ローズ!ついて来てたのか!」

「うん……ミツルの好きな本、知りたいから……」

「そ、そうか。場所教えてくれてありがとな」

「うん……」

 ローズと一緒に歴史の本のゾーンに向かう。
 歴史のゾーンに着くと、歴史の本がずらりと並んでいる。
 いや、多すぎだろ……なんか分かりやすそうなのはないか?
 ……うん?これ良さそうだな。『たった一冊でこの国の歴史が分かる!これで君も歴史マスター!』……よし。これを借りよう。

「……ミツルは歴史の本が好きなの……?」

「え?ま、まあまあかな。俺が一番好きな本は小説だし……」

「……なら、小説のところに行こう……。私も小説好きだし……」

「おお!ローズも好きなのか!どんなジャンルの小説を読むんだ?」

「……恋愛小説とか……」

「ほー。ローズもそんなの読むんだな。今度オススメ貸してくれよ」

「うん……いいよ……」

 そんなことを話しながらローズについて行くと、小説のブースに着いた。
 そこにはこれまたたくさんの小説が置いてあった。

「すげえ……いっぱいあるな……」

「うん……どれがいい……?」

「うーん……今日はいいかな。時間もないし」

「……そう……。なら、後で私の本、貸してあげる……」

「お!ありがとな。ローズ。楽しみにしてるぜ」

「……うん……。楽しみにしてて……」

「じゃ、借りて来る。そこが集合場所だよな」

「うん……待ってる……」

「おう」

『たった一冊でこの国の歴史が分かる!~これで君も歴史マスター!~』を持って貸出カウンターに向かう。

「すいません。これ借りたいんですけど」

「はーい。チェックをつけておくから、名前を教えてくれる?」

「あ、はい。ミツル・カツラギです」

「オッケー。本は二週間後までには返してね」

「分かりました」

 よし。これで歴史は大丈夫だな。
 ……しかし、割と分厚くて重いな……一度寮に戻って本を置きに行きたい。
 日が沈むまで
 まだ時間もあるし大丈夫だとは思うんだが……一応皆に聞かないとな。

「お、借りれた?」

 本を借りた後、扉の近くで待っていてくれたローズ達の所に行くと、ボーグンが聞いてきた。

「ああ。それでなんだが、この本結構重いから、一旦寮に戻って置きに行きたいと思って……いいか?」

「僕はいいけど……二人はどう?」

「私もいいですわ」

「私も……」

「サンキュー」

「まぁ、ぶっちゃけ僕は行きたいとことかないしね。だいたい知ってるから。ミツル君が行きたい所に行けばいいよ」

「そうですね。私も訪れたことがありますし」

「……私も、それでいい……」

「お、おう。分かった。じゃあ、取り敢えず寮に戻ろう」

 俺が先頭になり、図書館を出る。
 ……本を置いた後、どこに行こうか……
 まずいな……何も思い浮かばない……
 もういっそ、寮に戻って部屋でのんびりするか……?
 いやいや!それは駄目だろ!
 ……どうしよう?
 よし。寮に着くまでに考えよう。ずっと考えてたらなにか思いつくだろ。
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