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第三十一話 修行の始まり
しおりを挟む「……う、ううん……。朝か……」
だるい体を無理やり起こし、ベッドから出て部屋にある時計で時間を確認する。
現在五時ちょっと過ぎか……。まだまだ学校が始まる時間まで余裕があるな……。
……って、全く余裕ねええええ!!アテナさんとの集合時間過ぎてるうううう!!
おかしいな……風呂に入って部屋に帰ってきたらすぐに寝たのに……
……いやそんなこと考えている場合じゃない。
急ぎ、かつボーグンが起きないように、できるだけ静かに寝間着から制服に着替える。
制服に着替えたら、そーっと部屋のドアを物音を立てないように開けて廊下に出て、これまたそーっとドアを閉める。
そこから急ぎながらも足音をあまり立てないように寮の玄関口に向かう。
……ふぅ、なんとかここまで誰にも気付かれずに来れたぞ。
でも、アテナさんいないな……もしかして、外か?
そう思い、扉を開けて外に出ると、そこには剣を二本持ったアテナさんがいた。
「遅れてすいませんアテナさん!」
「おはようミツル。大丈夫よ。そんなに遅れてないから。でも次から気をつけてね」
「はい。それで、修行って何をするんですか?」
「その前に、ミツルのスキルを教えてくれない?そのスキルによって修行の内容も変えるから」
「あ、はい。分かりました。俺のスキルは《自然治癒》です。かすり傷治すのに二十秒ぐらいかかりますけど……」
流石に本当のスキルを教えるわけにはいかないしなぁ……。
このスキル以外のスキルは実践で使うつもりはないし、できればこのスキルを軸に、もしくはスキルに頼ることのないような戦い方を身に着けたい。
「なるほどね。《自然治癒》、か……。成長系のスキルね。経験を積めば強くなれるわ」
「せ、成長系?なんですかそれ?」
「えっとね、成長系っていうのは使えば使うほどそのスキルの効果が成長していったり、スキル自体が進化したりするの」
「なるほど……。なら、俺は何をすればいいんでしょうか?」
「そうね……。まずは体力、そして剣術かな。そのスキルにないのは攻撃力。足りない分は自分の体で埋めていくしかないからね。私が教えられるのは剣術だけだから、必然的に剣術になっちゃうけど、いい?」
「はい。大丈夫です」
「オッケー。じゃあまず準備運動してからランニング。寮の周りを十周ね。その後剣術を教えるから。後、寝る前に必ず腹筋とか腕立て伏せとかをニ十分はして」
「わ、分かりました。じゃあ、走ってきます」
「うん。行ってらっしゃい」
アテナさんの指示通り、寮の周りを走り出す。
言わずもがな、寮はでかい。
一周何メートルぐらいだ……?大体五百、六百ぐらいか?いや、もうちょいあるか?どうだろう……分からないな……。
まぁ、取り敢えず走るしかない。
アテナさんの言うように、それが今の俺が強くなるために必要なことなんだ。
どれだけ距離が長かろうと関係ない。
俺は、俺が今やるべきことを精一杯やるだけだ!
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