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第一章 入学編
入学編第二十話 共闘
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ラノハが自らの方に突っ込んでくるのを見た邪装竜機に乗る男は、そんなラノハに向かって黒い斬撃を放つ。
しかし、ラノハはそれを軽々と避け、邪装竜機に向かって右手に持つ剣を振り下ろした。
邪装竜機に乗る男は、ラノハが振るった剣を自らの剣で受け止めたが、左側の側面から放たれた光線に気づき、その光線を盾で防ぎ、ラノハから距離を取ろうとした。
だが、ラノハはそれを許さない。
「逃すか……!」
「……チッ」
ラノハはすかさず左手に持つ剣を振るい、邪装竜機に対する攻撃の手を緩めない。
邪装竜機も応戦するが、ラノハの戦闘センス、更に絶妙なタイミングで飛んでくるミリアが放つ光線が、邪装竜機を苦しめる。
邪装竜機はラノハとミリアの連携攻撃をなんとかいなすが、その攻撃は止まらない。
このままでは埒が明かないと感じた邪装竜機に乗る男は、ラノハから一旦距離を取り、ミリアへと標的を変えた。
そして邪装竜機は、ミリアへと向かって飛んだが、それに気づいたラノハがそれを止めようと飛んだ。
ラノハは物凄いスピードで、邪装竜機を追走する。
ラノハが乗る聖装竜機は、空気抵抗が少なく、速さを極限まで追求した機体である。
故に、ラノハが乗る聖装竜機は現存する聖装竜機の中で最速であり、邪装竜機でもここまで速さに重きを置いた機体は存在しない。
これにより、ラノハは現世界において、文字通り『最速』となったのである。
ラノハが後ろから追って来ていることに気づいた邪装竜機に乗る男は、ラノハが乗る聖装竜機の速さに驚きながらも、すぐにラノハの方に向き直り、ラノハが飛ばした斬撃を盾で受け止めた。
だが、その後すぐにラノハの剣が邪装竜機に迫る。
ラノハはシュネイ流剣術のアウスシースンを扱えることを、邪装竜機に乗る男は知っている。
だからこそ、邪装竜機に乗る男は盾ではなく剣でラノハの剣を受け止めた。
しかし、邪装竜機の背後で、ミリアが光線を放つ。
邪装竜機は、ラノハの剣から逃れてからミリアの光線を間一髪で避けた。
そしてまた、ラノハとミリアから距離を取る。
「ふぅ……。さて、どうするべきか……」
邪装竜機に乗る男はそう呟きながら、ラノハとミリアを見据える。
そんなラノハとミリアは、ミリアがラノハの方に近づいて行き、二人並んでいた。
そしてミリアは、ラノハに話しかける。
「ラノハ!大丈夫?」
「おう。問題ない。ミリアは?」
「私も大丈夫。それより……」
ミリアはそう言って邪装竜機の方に向き直り、口を開いた。
「戦えてるね。私たち」
「ああ。一人じゃ敵わなかったけど、二人なら……」
「うん。……勝とう。ラノハ」
「おう。ミリア」
ラノハとミリアはまた頷き合い、それぞれ各々が持つ武器を構える。
邪装竜機に乗る男も、ラノハとミリアが武器を構えた姿を見て、臨戦態勢をとった。
それぞれが動き出そうとした時、邪装竜機の背後から黒い光線が放たれ、邪装竜機の横を通り過ぎ、ラノハとミリアの方へと飛んでくる。
それに気づいたラノハは、ミリアの前に出て、両手に持つ剣を交差させ、飛んできた黒い光線を受け止めた。
その光線の威力はラノハが思っていたよりもずっと強く、その威力に押されてしまう。
ラノハは押されながら、二本の剣の中にホーリーエネルギーを込めた。
後ろにいるミリアを守りたいという、強い気持ちで。
その込めたホーリーエネルギーを、斬撃を飛ばすのと同じ原理で剣から一気に放出し、それで黒い光線を相殺した。
「大丈夫!?ラノハ!」
「っ……!ああっ……。なんとかな……」
「さっきの威力って……」
「十中八九、遠距離戦闘型の邪装竜機による狙撃だろうな。じゃねえと、あの威力はありえねえ」
「……よく、相殺できたね」
「……後ろに、ミリアがいたからかもな」
「ラノハ……」
ラノハが頬を少し赤く染め、顔を背けながらそう言うと、ミリアも同様に顔を赤く染め、ラノハの名前を呟いた。
一方、邪装竜機の方では、ラノハとミリアがお互いに照れている間に、竜機操縦士育成学校の教師二人と戦っていた三機の邪装竜機の内、二機がラノハにミリアと戦っていた邪装竜機の側に飛んできていた。
「……何手こずってるんだ。あんな子供たち相手に」
「いや、存外手強くてな。今まで見たことが無い程の速さに、二刀流。更にシュネイ流剣術まで扱えるときた。もうあの時の子供ではないということだ。そして二丁拳銃の少女も的確なタイミングで撃ってくる。私であっても、二対一は厳しい」
「そこまでなのですか?あの二人は」
「……ならここで殺してしまおう。あいつも、まだ狙撃できる所にいるしな」
「……いや、撤退する」
「は!?」
「そろそろ時間だ。ここで退かなければ、取り返しがつかないことになる」
「了解です。予定通りに、ですね」
「……チッ」
そう話終えた三機の邪装竜機は、ラノハとミリアに背を向けて、撤退を始めた。
それに気づいたラノハとミリアは、驚愕した。
「なっ!?なんで!?」
「……意味が分からねえけど、逃がすわけには――!」
ラノハが三機の邪装竜機を追おうとするが、その瞬間、またラノハに向かって黒い光線が飛んできた。
ラノハはとっさのことで避けることができず、先程と同じように防ぐことしかできなかった。
黒い光線を相殺した後、すぐに飛んでいった邪装竜機の方を見たが、先程よりもその距離はとても遠くなってしまっていた。
「クソッ!」
ラノハはすぐに後を追おうと飛ぼうとしたが、誰かに聖装竜機の肩を掴まれた。
「邪魔を……!……モートゥか?」
肩を掴んできたのは、リディオだった。
リディオは、ラノハをこの場から動かさないように、ラノハに声をかける。
「行くなラノハ。……巻き込まれるぞ」
リディオがそう言った瞬間、飛ぶ邪装竜機たちの側面から、数多くの光線が放たれた。
竜機操縦士育成学校の生徒たちの中、遠距離戦闘型による攻撃である。
「……お前らの戦いを、ボーッと見ていたわけじゃないぞ。包囲する準備を進めていたんだ。それで、この攻撃ができたわけだ」
「……お前が指示したのか?モートゥ」
「俺だけじゃないさ。なぁ?ヴァルサ?」
リディオがそう言って、ミリアの方を見る。
ミリアの隣に、ヴァルサはいた。
「……フォーラル」
「……一歩。いや、もう歩き始めたんだな」
「……ああ。ちゃんと、気づけた。もう、止まらねえよ」
「……そうか」
ヴァルサはそう言うと邪装竜機たちがいる方に向き直り、その方向を見る。
するとそこには、四方八方から放たれている白い光線を捌き続けて進んでいる邪装竜機たちの姿があった。
「マジかよ……」
「……クソッ!これでも駄目なのか!?」
「いや……。充分だ……!」
ラノハはそう言って、その場から飛び立つ。
ラノハは真っ直ぐに邪装竜機たちの方に飛んでいったが、途中で、また黒い光線が飛んできた。
「は!?またかよクソがっ!」
ラノハは迫ってくる黒い光線に向かって、二本の剣から同時に斬撃を放ち、それを相殺した。
「大丈夫か!?ラノハ!」
ラノハの後ろから飛んできたリディオが、ラノハに話しかける。
ラノハがその方を見れば、リディオだけでなくミリアとヴァルサも付いて来ていた。
「……ああ。どうやら、どうしても逃げたいらしい」
「……みたいだな」
「……どうするの?このままじゃ、本当に逃げられちゃう」
ミリアの言う通り、邪装竜機たちはもうすでに、生徒たちの光線の中を突破し、すでに中距離戦闘型の光線では届かない所まで到達していた。
それによって、すでに光線は止んでしまっている。
「……深追いはしないほうがいい。敵は俺たちよりも圧倒的に強いからな」
「……そうだな。悔しいが……」
「……うん」
「くっ……!」
ラノハは拳を握りしめ、ギリッ……と歯を鳴らし、悔しさを露わにした。
当然のことだ。なぜならラノハの復讐の炎は消えていない。
今回はミリアを守るということが達成されたので追っていないが、前までのラノハであったら追っていただろう。
だが、そんな悔しさを感じたのも束の間、ラノハとミリアの肩に手が置かれた。
ラノハとミリアが後ろに振り返ると、ラノハとミリアにとって馴染み深き二人が聖装竜機の乗ってそこにいた。
「ジークさんに、リムさん!?」
「お、お父さん!?お母さん!?」
そう。その二人は、ミリアの両親であるジークとリムであった。
しかし、ラノハはそれを軽々と避け、邪装竜機に向かって右手に持つ剣を振り下ろした。
邪装竜機に乗る男は、ラノハが振るった剣を自らの剣で受け止めたが、左側の側面から放たれた光線に気づき、その光線を盾で防ぎ、ラノハから距離を取ろうとした。
だが、ラノハはそれを許さない。
「逃すか……!」
「……チッ」
ラノハはすかさず左手に持つ剣を振るい、邪装竜機に対する攻撃の手を緩めない。
邪装竜機も応戦するが、ラノハの戦闘センス、更に絶妙なタイミングで飛んでくるミリアが放つ光線が、邪装竜機を苦しめる。
邪装竜機はラノハとミリアの連携攻撃をなんとかいなすが、その攻撃は止まらない。
このままでは埒が明かないと感じた邪装竜機に乗る男は、ラノハから一旦距離を取り、ミリアへと標的を変えた。
そして邪装竜機は、ミリアへと向かって飛んだが、それに気づいたラノハがそれを止めようと飛んだ。
ラノハは物凄いスピードで、邪装竜機を追走する。
ラノハが乗る聖装竜機は、空気抵抗が少なく、速さを極限まで追求した機体である。
故に、ラノハが乗る聖装竜機は現存する聖装竜機の中で最速であり、邪装竜機でもここまで速さに重きを置いた機体は存在しない。
これにより、ラノハは現世界において、文字通り『最速』となったのである。
ラノハが後ろから追って来ていることに気づいた邪装竜機に乗る男は、ラノハが乗る聖装竜機の速さに驚きながらも、すぐにラノハの方に向き直り、ラノハが飛ばした斬撃を盾で受け止めた。
だが、その後すぐにラノハの剣が邪装竜機に迫る。
ラノハはシュネイ流剣術のアウスシースンを扱えることを、邪装竜機に乗る男は知っている。
だからこそ、邪装竜機に乗る男は盾ではなく剣でラノハの剣を受け止めた。
しかし、邪装竜機の背後で、ミリアが光線を放つ。
邪装竜機は、ラノハの剣から逃れてからミリアの光線を間一髪で避けた。
そしてまた、ラノハとミリアから距離を取る。
「ふぅ……。さて、どうするべきか……」
邪装竜機に乗る男はそう呟きながら、ラノハとミリアを見据える。
そんなラノハとミリアは、ミリアがラノハの方に近づいて行き、二人並んでいた。
そしてミリアは、ラノハに話しかける。
「ラノハ!大丈夫?」
「おう。問題ない。ミリアは?」
「私も大丈夫。それより……」
ミリアはそう言って邪装竜機の方に向き直り、口を開いた。
「戦えてるね。私たち」
「ああ。一人じゃ敵わなかったけど、二人なら……」
「うん。……勝とう。ラノハ」
「おう。ミリア」
ラノハとミリアはまた頷き合い、それぞれ各々が持つ武器を構える。
邪装竜機に乗る男も、ラノハとミリアが武器を構えた姿を見て、臨戦態勢をとった。
それぞれが動き出そうとした時、邪装竜機の背後から黒い光線が放たれ、邪装竜機の横を通り過ぎ、ラノハとミリアの方へと飛んでくる。
それに気づいたラノハは、ミリアの前に出て、両手に持つ剣を交差させ、飛んできた黒い光線を受け止めた。
その光線の威力はラノハが思っていたよりもずっと強く、その威力に押されてしまう。
ラノハは押されながら、二本の剣の中にホーリーエネルギーを込めた。
後ろにいるミリアを守りたいという、強い気持ちで。
その込めたホーリーエネルギーを、斬撃を飛ばすのと同じ原理で剣から一気に放出し、それで黒い光線を相殺した。
「大丈夫!?ラノハ!」
「っ……!ああっ……。なんとかな……」
「さっきの威力って……」
「十中八九、遠距離戦闘型の邪装竜機による狙撃だろうな。じゃねえと、あの威力はありえねえ」
「……よく、相殺できたね」
「……後ろに、ミリアがいたからかもな」
「ラノハ……」
ラノハが頬を少し赤く染め、顔を背けながらそう言うと、ミリアも同様に顔を赤く染め、ラノハの名前を呟いた。
一方、邪装竜機の方では、ラノハとミリアがお互いに照れている間に、竜機操縦士育成学校の教師二人と戦っていた三機の邪装竜機の内、二機がラノハにミリアと戦っていた邪装竜機の側に飛んできていた。
「……何手こずってるんだ。あんな子供たち相手に」
「いや、存外手強くてな。今まで見たことが無い程の速さに、二刀流。更にシュネイ流剣術まで扱えるときた。もうあの時の子供ではないということだ。そして二丁拳銃の少女も的確なタイミングで撃ってくる。私であっても、二対一は厳しい」
「そこまでなのですか?あの二人は」
「……ならここで殺してしまおう。あいつも、まだ狙撃できる所にいるしな」
「……いや、撤退する」
「は!?」
「そろそろ時間だ。ここで退かなければ、取り返しがつかないことになる」
「了解です。予定通りに、ですね」
「……チッ」
そう話終えた三機の邪装竜機は、ラノハとミリアに背を向けて、撤退を始めた。
それに気づいたラノハとミリアは、驚愕した。
「なっ!?なんで!?」
「……意味が分からねえけど、逃がすわけには――!」
ラノハが三機の邪装竜機を追おうとするが、その瞬間、またラノハに向かって黒い光線が飛んできた。
ラノハはとっさのことで避けることができず、先程と同じように防ぐことしかできなかった。
黒い光線を相殺した後、すぐに飛んでいった邪装竜機の方を見たが、先程よりもその距離はとても遠くなってしまっていた。
「クソッ!」
ラノハはすぐに後を追おうと飛ぼうとしたが、誰かに聖装竜機の肩を掴まれた。
「邪魔を……!……モートゥか?」
肩を掴んできたのは、リディオだった。
リディオは、ラノハをこの場から動かさないように、ラノハに声をかける。
「行くなラノハ。……巻き込まれるぞ」
リディオがそう言った瞬間、飛ぶ邪装竜機たちの側面から、数多くの光線が放たれた。
竜機操縦士育成学校の生徒たちの中、遠距離戦闘型による攻撃である。
「……お前らの戦いを、ボーッと見ていたわけじゃないぞ。包囲する準備を進めていたんだ。それで、この攻撃ができたわけだ」
「……お前が指示したのか?モートゥ」
「俺だけじゃないさ。なぁ?ヴァルサ?」
リディオがそう言って、ミリアの方を見る。
ミリアの隣に、ヴァルサはいた。
「……フォーラル」
「……一歩。いや、もう歩き始めたんだな」
「……ああ。ちゃんと、気づけた。もう、止まらねえよ」
「……そうか」
ヴァルサはそう言うと邪装竜機たちがいる方に向き直り、その方向を見る。
するとそこには、四方八方から放たれている白い光線を捌き続けて進んでいる邪装竜機たちの姿があった。
「マジかよ……」
「……クソッ!これでも駄目なのか!?」
「いや……。充分だ……!」
ラノハはそう言って、その場から飛び立つ。
ラノハは真っ直ぐに邪装竜機たちの方に飛んでいったが、途中で、また黒い光線が飛んできた。
「は!?またかよクソがっ!」
ラノハは迫ってくる黒い光線に向かって、二本の剣から同時に斬撃を放ち、それを相殺した。
「大丈夫か!?ラノハ!」
ラノハの後ろから飛んできたリディオが、ラノハに話しかける。
ラノハがその方を見れば、リディオだけでなくミリアとヴァルサも付いて来ていた。
「……ああ。どうやら、どうしても逃げたいらしい」
「……みたいだな」
「……どうするの?このままじゃ、本当に逃げられちゃう」
ミリアの言う通り、邪装竜機たちはもうすでに、生徒たちの光線の中を突破し、すでに中距離戦闘型の光線では届かない所まで到達していた。
それによって、すでに光線は止んでしまっている。
「……深追いはしないほうがいい。敵は俺たちよりも圧倒的に強いからな」
「……そうだな。悔しいが……」
「……うん」
「くっ……!」
ラノハは拳を握りしめ、ギリッ……と歯を鳴らし、悔しさを露わにした。
当然のことだ。なぜならラノハの復讐の炎は消えていない。
今回はミリアを守るということが達成されたので追っていないが、前までのラノハであったら追っていただろう。
だが、そんな悔しさを感じたのも束の間、ラノハとミリアの肩に手が置かれた。
ラノハとミリアが後ろに振り返ると、ラノハとミリアにとって馴染み深き二人が聖装竜機の乗ってそこにいた。
「ジークさんに、リムさん!?」
「お、お父さん!?お母さん!?」
そう。その二人は、ミリアの両親であるジークとリムであった。
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