精霊に好かれた私は世界最強らしいのだが

天色茜

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第五章水の精霊

地図

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別荘と山を購入した私は、早めに宿を探し、受付を済ませておいた。

別荘と山の値段は合わせて白金貨三十枚。
もっとするかと思っていたが、山といっても国境までの半分の範囲であること、別荘が手入れされていないこと、安全面の配慮が特にされていないことなどなど、色々なことを考えて値段引いてもらったらこの価格になった。

ちなみに宿の部屋で数えたのだが、現在私が持っている硬貨は、銀貨六枚、金貨六枚、大金貨九枚、白金貨···五百六十二枚···。


···ヤバくね?

もちろん。白金貨のおかげでお金持ちだーということもあるけど、この白金貨とか私の世界の母国の硬貨、五百円玉とかよりたぶん重いよ?これ百個で一キロぐらいあるんじゃないかな。私そんなものを何普通に運んでるんだよ。嫌だよいつの間にか筋肉ムキムキとかになってたら。

そういえば最近、鞄が硬貨の重さのおかげで悲鳴を上げているように感じなくもない。これはマジックバックに入れるべきだろうか。でもとてもマジックバックがもったいない気がする。なぜならこのマジックバックはジェシーさんがくれたレア中のレアのマジックバックなのだ。

新しい鞄を買うか···でもこの鞄は獣人のブルスさんから頂いたものだ。どうすればいいか···。


···まあ別荘にでも置いとけばいいか。

それより次は何をするんだっけ···あ、地図を貰うんだった。
地図はどこで手に入るのだろう。そう悩んだ時に頼りになるのが冒険者ギルド。冒険者ギルドが迷った人間を助けるというわけではない。冒険者ギルドはいつでも冒険者のサポートを懸命にしている。私も当然助けて貰うのだ。

そういえばこの街に入った時、すぐ近くに冒険者ギルドがあったはずだ。そう思って、宿から出て冒険者ギルドを探せば、見事冒険者ギルドが見つかった!···まあ宿がもともと冒険者ギルドに近かったのだが。

「すみません。地図ってどこで売ってますか?」

受付のお姉さんに尋ねる。ほとんどの冒険者がむさ苦しい男達。そんな男達が冒険者ギルドに大勢居るが、この綺麗な受付のお姉さんはとても癒しだ。そんなことをお姉さんの顔を見ながら考えていると、見過ぎたのかお姉さんは苦笑いをして説明をした。

「冒険者の方ですか?えっと、地図は基本冒険者ギルドや街の役所などにあります。どのような地図をお探しでしょうか。この国と周囲の国の地図、この街の地図、この街の周辺の地図など幅広くあります」

本当に幅広くあるな···。とりあえず今必要な分だけでいいか。

「じゃあ隣国のハイヴェレ王国の地図と、この街周辺の地図を頂けますか?」

「かしこまりました。少々お待ちください。合計で銀貨二枚になります」

私が返事をすると、お姉さんは丁寧にくるまった地図を二つ出した。
だが銀貨二枚は少し高い気がする。なんたって銀貨二枚で宿一泊なのだ。でもこの世界で地図、または紙は結構貴重なのかもしれない。なんだって元の世界と比べたらいけないか。

私は銀貨を出して、地図を受け取った。私の肩幅くらいの長さの地図を広げながらギルドを出る。確かに地図には南の方向に山、そしておそらく国境となる線が描かれていた。確認出来た私は、足早に街を出て、精霊達の所に戻った。戻った私に猛アタックしてきたのは精霊ではなくうーまだ。今回は時間もあまりかからないのでうーまに待ってて貰った。

寂しかったと言いたげな瞳をして見つめてくる。他の精霊達も負けずと甘えて寂しかったアピールをしてくる。甘えたがりで素直な子達だけど、やっぱりそこが可愛い。

「じゃあ、山の別荘に行こっか」

地図を広げながら声をかけると、『おー!』と精霊達の元気のいいかけ声が聞こえてきた。
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