R18【同性恋愛】リーマン物語if1『いじめてあげる』

crazy’s7@体調不良不定期更新中

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2章『二人で探る幸せの場所』

4:スイッチ入りまぁーす

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****♡Side・塩田

「また、イチャイチャしやがって」
「ん?」
 皇に悪戯していると、上から声が降って来る。よく聞きなれた声だ。
「恋人なんだから、いいだろ」
と塩田がわざと皇に抱きつくと、
「社長に見られても、知らんぞ」
と言われる。
「塩田、そろそろ仕事戻ろう」
 抱きつかれている皇は冷静だった。
 こんな時、彼は凄いなと思う。ちゃんと副社長の顔をする。
「早く終わらせて、定時で帰ろう」
「ああ」
 そう言われてしまうと、塩田も素直に従わざるを得ない。
 昼の約束をして居ることも、素直になる要因の一つだが。

──自分は、こんなに誰かと居たがる人間だっただろうか。

 元々人に合わせるのが苦手で、単独行動になりがちな塩田。この会社に入ってからは、周りが自分に合わせてくれている。甘えているなとは思っているが、リズムが整っている塩田に合わせるのは、周りもそんなに苦痛ではないらしい。

「戻るのか?」
「ええ」
 返事をしたのは皇だ。
「俺は、少し休憩してから戻る」
 彼、こと課長は大抵同じ時間に休憩をする。板井もそうであるが、電車でんまはバラバラだった。
 一緒に苦情係に向かう途中で、
「皇さん」
と、社長秘書の神流川に呼び止められた。
「塩田。あからさまに嫌な顔、しないの」

 社内で皇に好意を寄せているものは少なくない。気づいていないのは、当の本人だけ。神流川の好意は分かりやすい方だが、社長の好意にすら気づかない皇が気づくはずはなかった。
「どうした?」
と神流川に向かう皇は、いつも自分に接している時とは違っている。
 仕事の顔というやつだ。それをみて、彼がどれほど自分に気を許しているのかを改めて知る。
「こちら、企画部から預かりました。確認して欲しい書類だそうです」
「ありがとう。わざわざ企画部へ?」
 皇は書類を受け取りながら。
「いえ、社長からの頼まれた用があったので。ついでに」
「そうか」
 社交辞令で微笑む皇を神流川は見つめる。
 絵になる二人に塩田はイラっとした。

「では、また。失礼いたします」
 塩田が殺気立つのに気づいたのか、神流川が皇に頭を下げ、踵を返す。
「何、睨んでるの。塩田」
と、皇に不思議がられてしまう。
「なんでもない」
「そ?」
「ああ」
 そのまま苦情係に戻ろうとすると、
「俺、印鑑取りに副社長室に行かないと」
と、言われてしまう。
 塩田はムッとした。
「なんで、そんな顔するんだよ」
いつもなら困り顔をする彼だが、何故か笑っている。
「なあ、塩田は俺様とそんなに一緒に居たいのか?」
 何かのスイッチが入った皇。
 しかし、
「誘ってんの?」
塩田のスイッチのほうが上だった。
「ちょっ! まて、ここ廊下だから!」
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