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2章『二人で探る幸せの場所』
23:壊れるくらい愛して【微R】
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****♡Side・副社長(皇)
愁いを含んだその瞳が細められ、口元が小さく笑みを作る。
それは自分だけに向けられる特別なものだと思った。
人は不安から逃れることはできない。
不安は伝染していくもの。
だから自信が欲しいのに、あとからあとから不安に襲われる。
好きだから怖いのだ。
この幸せを手放したくないから。
繋ぎ止めたいなどと思うのが間違いなのは知っている。一緒にいられる相手とは、そんなに必死にならずとも自然に一緒にいられるものだ。
──ずっと空回りばかりしている。
塩田が努力してくれていることも知っているのに。
言葉を欲しがっているのは自分。
確かに言葉は想いを伝えるには大切なものであることには変わりない。しかし言葉が生む安心は一時でしかない。そんなこと皇も痛いほどわかってはいるのだ。
彼の瞳に後悔の色が浮かぶのが怖い。
視線をそらされるのが怖い。
その温もりが離れていくのが怖くてたまらない。
そしてその恐怖を産んでいるのは自分自身の言動。
このままではダメだと思いながら変えることが出来ずにいる。
きっと本当に変わらなければいけないのは彼ではない。自分なのに。
『これ以上、俺とどうなりたいんだよ』
以前彼に言われた言葉が脳裏を過る。
恋人になって身体の関係になり、同棲もした。
そして籍を入れる手はずも整ったのだ。
もう、何が足りないのかわからない。
「優一」
「あ……」
集中していないのがバレたのだろうか?
もうしないと言われるのが怖くて身体が強張る。するとふわりと抱きしめられた。
「んんッ……」
「何を考えてるのかわからないけれど」
”考えすぎは良くない”といってさらに腰を進める彼。
「今は俺のことだけ考えていて」
「俺は……塩田のことしか頭にないッ」
潤んだ瞳を向け、そう訴えれば彼が驚いた顔をする。
そしてため息を一つ零すと、
「しょうがない奴だな」
と笑ったのだ。
「人生はさ、多少のことならやり直しはきくんだよ。まあ、”犯罪に手を染めて”とかならそうはいかないかもしれないけれど」
語りかけるような、彼の優しい声音。
「そのやり直しは、リセットじゃない。自分の過ちを正したり、発想の転換をして別な道を探すということなんだ」
塩田が何を伝えようとしてそんな話をするのか、皇にはまだ分からない。
「だから一つのことを考えてぐるぐるしているのは、悪循環でしかない。だってそこには新しい道はないわけだから」
循環しているだけではダメなんだと彼は言う。
「人はそこに何か別なものを加えた時、閃いたり発想の転換が出来たりするんだよ。その時初めて道が開ける」
”だからさ”と彼は続けて。
「週末、温泉でも行こうよ」
「え?」
何故この話の流れで急に”温泉”なのか。
「難しいこと考えるのはやめにして、リフレッシュしよう」
「あ、うん」
キョトンとする皇に口づけを落とす彼。
「はい。じゃあ考えるのはやめにしてこっち集中して」
彼の指が皇自身に絡まり、皇はびくりと身体を震わせた。
「まあ、ぷるぷるしてるのもやらしくていいけどね」
「え? 何言って……」
意味を考え真っ赤になる皇にはお構いなしに、彼の手は根元を強く扱く。
「んッ……」
「良い締め付け」
初めて抱かれたころに比べれば、求められることに慣れたと思う。恥ずかしさが軽減されることはないが。
それでも羞恥に頬を染める皇を見て彼が欲情することを知ってからは、悪くはないと思っている。
卑猥な音を響かせ、甘い声を漏らす皇に興奮する彼を見て満足する自分。その欲情が自分だけに向けられればよいと思う。この先もずっと。
「塩田……好き」
「俺も好きだよ」
ぎゅっとしがみ付いて快感の波を何度かやり過ごす。そんな健気な皇に気づいているのかいないのか、タイミングを合わせやすいように彼は良いところをリズミカルに刺激した。
「壊れるくらい愛されたい」
「それは……ちょっと困るな」
こんな時も塩田らしいなと思う皇であった。
愁いを含んだその瞳が細められ、口元が小さく笑みを作る。
それは自分だけに向けられる特別なものだと思った。
人は不安から逃れることはできない。
不安は伝染していくもの。
だから自信が欲しいのに、あとからあとから不安に襲われる。
好きだから怖いのだ。
この幸せを手放したくないから。
繋ぎ止めたいなどと思うのが間違いなのは知っている。一緒にいられる相手とは、そんなに必死にならずとも自然に一緒にいられるものだ。
──ずっと空回りばかりしている。
塩田が努力してくれていることも知っているのに。
言葉を欲しがっているのは自分。
確かに言葉は想いを伝えるには大切なものであることには変わりない。しかし言葉が生む安心は一時でしかない。そんなこと皇も痛いほどわかってはいるのだ。
彼の瞳に後悔の色が浮かぶのが怖い。
視線をそらされるのが怖い。
その温もりが離れていくのが怖くてたまらない。
そしてその恐怖を産んでいるのは自分自身の言動。
このままではダメだと思いながら変えることが出来ずにいる。
きっと本当に変わらなければいけないのは彼ではない。自分なのに。
『これ以上、俺とどうなりたいんだよ』
以前彼に言われた言葉が脳裏を過る。
恋人になって身体の関係になり、同棲もした。
そして籍を入れる手はずも整ったのだ。
もう、何が足りないのかわからない。
「優一」
「あ……」
集中していないのがバレたのだろうか?
もうしないと言われるのが怖くて身体が強張る。するとふわりと抱きしめられた。
「んんッ……」
「何を考えてるのかわからないけれど」
”考えすぎは良くない”といってさらに腰を進める彼。
「今は俺のことだけ考えていて」
「俺は……塩田のことしか頭にないッ」
潤んだ瞳を向け、そう訴えれば彼が驚いた顔をする。
そしてため息を一つ零すと、
「しょうがない奴だな」
と笑ったのだ。
「人生はさ、多少のことならやり直しはきくんだよ。まあ、”犯罪に手を染めて”とかならそうはいかないかもしれないけれど」
語りかけるような、彼の優しい声音。
「そのやり直しは、リセットじゃない。自分の過ちを正したり、発想の転換をして別な道を探すということなんだ」
塩田が何を伝えようとしてそんな話をするのか、皇にはまだ分からない。
「だから一つのことを考えてぐるぐるしているのは、悪循環でしかない。だってそこには新しい道はないわけだから」
循環しているだけではダメなんだと彼は言う。
「人はそこに何か別なものを加えた時、閃いたり発想の転換が出来たりするんだよ。その時初めて道が開ける」
”だからさ”と彼は続けて。
「週末、温泉でも行こうよ」
「え?」
何故この話の流れで急に”温泉”なのか。
「難しいこと考えるのはやめにして、リフレッシュしよう」
「あ、うん」
キョトンとする皇に口づけを落とす彼。
「はい。じゃあ考えるのはやめにしてこっち集中して」
彼の指が皇自身に絡まり、皇はびくりと身体を震わせた。
「まあ、ぷるぷるしてるのもやらしくていいけどね」
「え? 何言って……」
意味を考え真っ赤になる皇にはお構いなしに、彼の手は根元を強く扱く。
「んッ……」
「良い締め付け」
初めて抱かれたころに比べれば、求められることに慣れたと思う。恥ずかしさが軽減されることはないが。
それでも羞恥に頬を染める皇を見て彼が欲情することを知ってからは、悪くはないと思っている。
卑猥な音を響かせ、甘い声を漏らす皇に興奮する彼を見て満足する自分。その欲情が自分だけに向けられればよいと思う。この先もずっと。
「塩田……好き」
「俺も好きだよ」
ぎゅっとしがみ付いて快感の波を何度かやり過ごす。そんな健気な皇に気づいているのかいないのか、タイミングを合わせやすいように彼は良いところをリズミカルに刺激した。
「壊れるくらい愛されたい」
「それは……ちょっと困るな」
こんな時も塩田らしいなと思う皇であった。
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