R18【同性恋愛】get out!~いつから俺たちは壊れ始めていたのだろう?~

crazy’s7@体調不良不定期更新中

文字の大きさ
18 / 29
3:満たされない心たち

5 快感に溺れながら【R】

しおりを挟む
****side■理人りひと

「挿れるよ?」
 裕也が理人の最奥に蕾に自分自身を宛がい、こちらを不安げに伺っていた。
「ああ。大丈夫だ」
 理人が返答をすると、ゆっくりと腰を進めていく。理人は身体から力を抜き、なるべく負担を減らすように努める。
 彼の首に両腕を回し、理人は目を閉じた。擦れる様な感覚はない。ただ何か熱いものが、身体を開いていくような感覚があった。
「痛い? 全部入ったよ」
「いや」
 裕也の問いかけに理人は首を横に振る。実際、痛くはなかった。それは、彼が慣らしてくれたお陰でもあるのだろうが。

「気持ちいい?」
「それは分からないけれど」
 奥に違和感はある。しかし、それを押しやりたいような押しつぶしたいような不思議な感じがした。身体の中に、熱いものが存在する。
「すぐに良くなるよ」
 彼は何かを見たり調べたりしたのだろうか? そんなことを言う。まさか経験があるわけじゃないよな、と訝しく思いながらも彼の肩に顔を埋めようとしたら、顎を掴まれた。
「んんッ……」
 優しく啄むような口づけ。続いてゆっくりと彼が腰を引いた。
「あッ……」
 その快感は突如やってくる。
「やっぱり、引くとき気持ちいいんだね」
と優しい笑み。
 理人は思わずその笑顔に見惚れてしまっていた。

──やっぱり、裕也のことが好きだ。
 じゃあ、優紀のことは?

 人とは不思議なものだ。誰が教えたわけでもないのに、その時好きになるのは一人だと。一人なのが普通なのだと思い込んでしまう。
 食べ物や音楽だって好みだと感じるものはたくさん存在する。たった一種類が好きということは稀なのに。動物に対してだって、いろんな種類の生き物を好きだと公言できるのに。
 人間に対する愛情は、一つでなければならない暗黙のルールがある。それが、恋であるならなおさらだ。

──自分はそのルールを犯そうとしている。
 婚姻関係ではないから、誰に咎められることもないだろう。
 これは自分たちが納得していればいいこと。

 決定したことを変えるつもりはないが、自分の気持ちに自信がなくなってしまう。一人しか愛してはいけないというのと、一人しか愛していないはイコールではないのに。

「んんッ……はあッ」
 考えが纏まらないのはきっと、こんな風に抱き合っているからだろう。彼が動くたびに快感が身体を駆け抜けていく。
「理人」
 名を呼ばれ、裕也に視線を向ければ唇を塞がれる。まるで考え事をしていたことが知られていたように。彼は理人の舌を追い、深く口づける。
 ”集中しろ”と言われているように錯覚した矢先、彼の手の平が理人自身を握りこむ。
「ああッ……」
「好きなだけけばいいから。感じて。今は、俺だけを」

 いつだって優しく、理人や優紀を見守って来た裕也。彼が嫉妬することを知った。意外と感情的になることも知った。
 そして彼と優紀が何か隠していることも。きっと問い詰めても裕也は何も言いはしないだろう。最小限の会話しかしないのが、自分と裕也の関係。
 優紀のようにコミュニケーションが得意ではないのだ。

「んッ……」
 理人自身を握りこんだ彼の手がリズミカルに上下し、理人は何も考えられなくなった。

──裕也は、俺のことどれくらい好きなんだろう?

 快感の波の中に溺れながら、ぼんやりと理人はそんなことを思ったのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう

水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」 辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。 ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。 「お前のその特異な力を、帝国のために使え」 強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。 しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。 運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。 偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...