「強くてニューゲーム」で異世界無限レベリング ~美少女勇者(3,077歳)、王子様に溺愛されながらレベリングし続けて魔王討伐を目指します!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
文字の大きさ
大中小
70 / 143
第2章 「私が領主になって無双する話」
68(閑話) 「ある男の半生」
しおりを挟む
新章突入早々の閑話で申し訳ありません。m(_ _)m
第1章で主人公が奮闘している裏で何があったのかというお話です。
****************************
14の時に、父が死んだ。
嫡男だった私は、何の準備も覚悟もないまま、ロンダキルア辺境伯となった。
毎日が恐怖の連続だった。
いつ攻めてくるやもしれぬ魔王国、どこで発生するやもしれぬ魔物の集団暴走。
味方であるはずの王国の貴族たちからは、デタラメなウワサを流され、後ろ指を指される日々。利権や領土を毟り取ろうと虎視眈々と狙ってくる貴族家や、年若い上流貴族である私に年増の娘を嫁がせようとする親族たち……。
父に依存しきっていた母は、糸の切れた人形のように伏せってしまい、まるで役に立たなかった。
何もかもが上手くいかない。ある日、執務室に飾られていた調度品のひとつがなくなり、執事にそれを指摘しても、しらを切られる。
回り全てが敵だった。貴族社会も、役立たずの母も、親族も、部下であるはずの陪臣も、使用人たちも。
毎晩、ベッドの中でひっそりと泣いた。
「何をそんなに泣いているんだい、坊や?」
そんな時、私はスピオーネに出会った。
「だ、誰だ!?」
初対面は、驚愕。
厳重に見張りを立たせておいたはずの寝室で、いきなり声がしたのだから。
唯一使える光魔法【灯火】を声の方へ投げかけると、そこには妙齢の女性が立っていた。
見張りの買収、暗殺の可能性まで考えた。だがおかしい。暗殺するつもりなら声なぞかけないだろうし、そもそも相手は無手の女ひとり。
「あたし? あたしはスピオーネ。流れの魔法使いさ。」
「ど、どういうつもりだ!? ここで何をしている!」
「旅の途中、立ち寄った領の領主様が最近変わったって聞いたんで、どんなやつか見てみようと思ったのさ。まぁ単なる興味本位――ヒマつぶしさね」
「誰か! 誰かぁっ! 見張りはいないのか!」
「【物理防護結界】を張ってるからねぇ、扉の外に声は聞こえないよ。これは善意からの忠告だけど、いくら厳重に見張りを立てても、魔法に対する防御がザルだとなんの意味もないよ。ほれ、この魔道具をあげよう……魔法の発動を検知すると、光る腕輪さ」
ベッドのそばまでズカズカと歩いてきた女が、光り輝く腕輪を差し出す。
……少なくとも害意・殺意はないようだった。
「……な、何が目的だ?」
「言ったろう? ヒマつぶしだと。あたしゃ人並み以上に魔法が使えるから、お金には困らないんだ。だからこうして旅をしながら、面白そうなやつを見つけて、話し相手になってもらっている。ほれ!」
女の手のひらから次々と生み出される、精巧な金細工の数々。
「な、な、な……」
「あげるよ。お近づきのしるしさ」
◇ ◆ ◇ ◆
その日から、女――スピオーネが、数日おきに夜な夜な寝室に現れるようになった。
スピオーネは私の話を聞いてくれた。それは生まれて初めての快感だった。
独善的な父、そんな父の方しか見ていなかった母、父の死以降はあからさまに私を見下してくる陪臣たち、舐め切った使用人……。
「……それで、陪臣たちが言うことを聞いてくれないんだ」
「言うこと聞かせりゃいいじゃないか。あんた、この領で一番偉いんだろう?」
「そんなに簡単な話じゃないんだよ」
「いくらでも方法はあると思うんだけどねぇ……【精神汚染】魔法で脳ミソ空っぽにさせて操るもよし、【従魔】して使役するもよし」
「スピオーネみたいにすごい魔法は使えないよ……っていうか、人間を【従魔】できるの!?」
「できるさ、そりゃ魔物相手よりは魔力は食うけど、バカな人族なんて、高い知能を持った一部の魔物を相手にするより簡単なくらいさ」
「でも……僕にはそんな魔力はない」
「そうさねぇ……あ、じゃあ塩を絞ればいいじゃないか。塩がなければ、人族は生きていけないんだから」
◇ ◆ ◇ ◆
そこから、何もかもが上手く回り始めた。
領主権限で塩を専売化し、塩ギルドを立ち上げさせ、塩の流通を制御するだけで、今まで舐めた態度を取っていた陪臣や使用人、果ては領都にいつく貴族たちまでもが揉み手ですり寄ってくるようになった。
塩のことを教えてくれただけじゃない。スピオーネは、私が望めばなんでも出してくれた。
金銀財宝。
魔法を跳ね返す特殊な煉瓦。
魔物の接近を検知する魔道具。
塩だけでは言うことを聞かない貴族の心を操縦するアクセサリー……。
私はスピオーネに溺れ切った。スピオーネは私の全てだった。
◇ ◆ ◇ ◆
「坊や、結婚しないのかい? そろそろ人族の適齢期だろう」
スピオーネと出会ってから数年たった頃、スピオーネがそう言った。
「僕は――…。スピオーネは、僕のことをどう思う?」
「はぁ? ……ぷっ、くくっ、あっはっはっはっ!」
スピオーネが冷たく笑い、
「魔族たる私が、坊や程度の魔力しかない男に嫁ぐ? 天地がひっくり返ってもありえないね。魔族は魔力至上主義。男の価値は魔力で決まるのさ」
「……え? ま……ぞ……く……?」
「ほれ」
言って頭上をふわりと指で示すスピオーネ。そこには今まで見たことがなかった、2本の角が生えていた。漆黒の、不吉なねじれ角。
「な、な、それは――」
「結界魔法の一種だよ。特定の空間の視覚を欺瞞するのさ」
「そっちの話じゃない!」
「だから言ったろう、魔族だと。魔王国領と国境を接する領に取り入り、反逆を促す……それがあたしの任務さ。魔王様のご復活は、きっと近い。魔王様に忠誠を誓い、入念に【従魔】して頂いているあたしには、感じることができるんだ。
改めてコンニチハ、坊や。あたしの名前は『間諜の女』。稀代の魔法使いにして、魔王国四天王のひとりだよ。
――あんた、今さらあたし抜きでやっていけるのかい? ほれ、アンタに好意を持たせる魔法がこめられたネックレスだよ。上流貴族家のデビュタントにでも行って、気に入ったご令嬢に渡してきな。
なぁに、あたしの言う通りにさえしていれば、命までは取らないさ」
……そう。この日から、私の地獄の日々が始まったのだ。
◇ ◆ ◇ ◆
正室と側室2人を娶り、息子が4人、娘が2人生まれた。
長男と次男は正室から生まれ、次男は15の時に家出してしまった……まぁ数年後に【竜殺し】の称号とともに戻ってきて、城塞都市を守る役目を国王陛下に任じられたが。
その間、私はスピオーネから離れられなかった。
私はスピオーネに言われるがまま、城塞都市の予算と塩を絞って砦と壁の弱体化に努め、内務閥を煽って軍務閥への悪感情を醸成させた。
国王陛下からの【契約】に縛られる身として、反逆できるギリギリのラインだ。毎日、頭痛や吐き気に苦しめられた。
どうすればいいのか分からなかった。
今さらスピオーネからの援助の数々を失って、貴族社会を生き抜けるとはとても思えなかった。
さりとて、国王陛下に面と向かって反逆することもできない……。
◇ ◆ ◇ ◆
「第二王子が邪魔だ」
ある日、スピオーネが言った。
場所はいつもの寝室。時間はいつもの通り、夜。部屋に他の人間がいても、睡眠魔法と結界魔法があるからお構いなしだ。
「聞けば第二王子、若干8歳にして軽く【闘気】をまとうらしいじゃないか。あんたの次男に匹敵する武術の天才さね。軍務閥とも仲がいい。対して第一王子は腑抜け。どちらが次代の王になった方が魔王国にとって有利かなんて自明の理だろう?」
「私にどうしろと言うんだ……?」
「第二王子の暗殺」
「なっ!? そんなことをしたら私は死んでしまう! 今でも頭が痛みで震えているというのに……」
「だから、前々から言っているようにあたしの従魔になればいいだろう」
……そう、スピオーネの従魔になれば、【契約】はスピオーネへの忠誠で上書きされるのだそうだ。
だが私は未だに、踏ん切りをつけることができずにいた。
「第二王子を殺すのは決定事項だ。悪いけど坊や、あんたを【従魔】させてもらうよ」
「待て、待ってくれ! 確約が欲しい。私を最後まで見捨てないと、約束してくれ!」
「魔王国がこの国を支配するのは変わらない。だが辺境伯領都だけは侵攻しないと約束しよう。王国滅亡の暁には、魔王様に口利きして坊やをこの都の城伯にしてやる。それでどうだい?」
「本当だな!?」
「約束するさ」
そうして私はついに、反逆の徒になってしまった。
長年苦しめられてきた頭痛と吐き気から解放され、晴れやかな気分になったのを、よく覚えている。
「だが……具体的にどう殺せというんだ? 私には第二王子に会う機会などないし、王城に忍び込んだり、暗殺する能力などない。暗殺者へのツテもない」
「まずは弱らせる……科学的にね」
「かがく……?」
「この国の文明は随分と遅れてるからねぇ……第二王子が召し上がるメニューにちょちょいと手を加えるだけで、簡単に病気にさせることができるよ。そして、病気で弱ってるところを一気に叩く。相手は【闘気】使いだ。慎重にやらなきゃ返り討ちにあっちまう。
本当はもっと派手な病気の方がいいんだけど、第一王子にまで移っちゃ意味がないからね」
◇ ◆ ◇ ◆
えいようがく? とかいうらしい。
内務閥の、第一王子の母親である第二王妃に近しい貴族家にその情報を流すと、貴族家は嬉々として第二王子の元へ料理人を送り込んだ。
もちろん、私にまで累が及ばぬよう、情報は慎重に慎重を重ねて流したさ。
◇ ◆ ◇ ◆
国王陛下からの【契約】から解放された私は、今まで以上に精力的に、スピオーネの計略に加担した。
城塞都市を預かる次男からはたびたび抗議の手紙が来たが、全て黙殺し、王都にまで話した伝わらないよう、情報操作に努めた。
そんな折り、究極の衝撃が訪れた。
……次男からの、1通の手紙。
「……スピオーネ、大変なことが起こった」
「なんだい真っ青な顔をして」
「そ、それが……息子の、4歳になる娘が【勇者】だと」
「……ほぅ? これはいよいよ、魔王様の復活も近いね! 勇者といえどもたかが4歳の子供。適当に呼び出して、殺しちまいな」
「それが……殺すのは難しいかもしれない。息子からの手紙の中に、勇者の武力や魔力について記載されている。なんでも、オークの集落を丸ごと焼き滅ぼしたらしい……」
怖かった。
スピオーネに運命を託すと決めた私にとって、勇者、それも自分の親族内に発生した勇者なぞ、恐怖の象徴でしかなかった。
◇ ◆ ◇ ◆
数日後、勇者の偵察に行っていたスピオーネが戻ってきた。
「見てきたけど、ありゃ無理だね。4歳で【瞬間移動】に【闘気】まで使える。一番ヤバいのが、少なくとも魔物100体が入り、テントやら家具やらが無尽蔵に収納可能な【アイテムボックス】だ。
知ってるかい? 【アイテムボックス】の容量は【時空魔法】レベルと魔力の掛け算で決まる。仮にあの娘の【時空魔法】レベルが6とすれば、魔力は100万を超えてるね。魔王様やあたしにゃ遠く及ばないまでも、魔族でも滅多と見ない数字さ。
作戦を変える。魔王様がお目覚めになるまでの時間の限りを尽くして、最高の猛毒を作り、それで勇者を殺すとしよう」
◇ ◆ ◇ ◆
第二王子は順調に弱っているようだった。
私も白米と牛肉はよく食べていたものだが、玄米と豚肉を食べるようになってから急に体調が良くなり、驚いたものだった。
そんなある日、またスピオーネがやって来た。
「そ、それは……?」
「魔物の集団暴走を引き起こせる魔道具。件の王子サマ、湯治から帰ってくるんだろう? いくら【闘気】持ちの達人でも、脚気で弱ったところに森全ての魔物をけしかけりゃ、さすがに死んでくれるだろうさ」
「死……」
「なんだい、今さら。今まで何年間もかけて、じっくり殺してきたんだ。とどめを刺すだけのことさ」
◇ ◆ ◇ ◆
この日のために慎重に作ってきたツテを使い、闇市へ魔道具を流した。
第二王子に料理長を出した例の貴族家を動かし、第二王子の馬車列が通る森に魔物の集団暴走を発生させるようにことを運んだ。
ちょうど準備が終わったころ、次男と、件の勇者が現れた。
……会いたくはなかった。が、実の息子とその家族を門前払いしては、外聞が悪い。大事なこの時期に、無用な波は立てたくなかった。
だから会った。
……勇者は、不吉な娘だった。
顔立ちこそ息子に似ていたが、女のクセに射貫くような、値踏みするような目で私を見つめてきた。まるで死神に睨まれているような気分だった。
息子との話は平行線をたどる。
当たり前だ。私は王国に反逆しているのだから。
……すまんな、ジークフリート。お前とその娘はスピオーネにとって――魔王国にとっての脅威でしかない。お前は見捨てざるを得ない。
話の中で、娘を侮辱されたと感じたらしい息子が怒りをあらわにした。昔から変わっていない……こいつは怒ると【威圧】が漏れる。
そりゃあ多少の恐怖は感じるが、こいつのそういう気質は幼児の頃から知っているし、私も貴族社会の中でさんざん揉まれてきたから、何ほどのものでもなかった。
……が、私は恐怖した。
息子にではない。
平然とした顔で息子の隣に座る、勇者にだ。
竜をも殺す息子の【威圧】をそよ風のように受け流し、息子をなだめようとしているその姿。
……怖い。怖い怖い怖い! あのスピオーネですら面と向かっては殺せないと判断した娘。5歳児の皮をかぶった悪魔。
……オークの集落を丸ごと焼き滅ぼすほどの力!
その刃が私に向かってきたとしたら――…
涙が出てくる前に、席を立った。
◇ ◆ ◇ ◆
……第二王子の暗殺計画が、失敗した。
何年もの年月を費やし、膨大な資金を使った。
……なのに。
なのに、なのに、なのに!
勇者と次男が邪魔をした。
数年来をかけた計画をあっさり覆し、魔物の集団暴走から第二王子を助け、王子の脚気をあっさりと治してしまった。
「なに失敗してんだい、あんた」
……スピオーネの、底冷えするような声。
「あれは、勇者が邪魔をして――」
「なんだって勇者が通過するタイミングでやるかね。坊やのミスだ」
「たったの十日足らずであそこまで進むなんて誰も思わな――」
「勇者の【瞬間移動】能力と魔力量については、事前に伝えておいた通りなんだがね」
その日から、スピオーネからの援助が急に乏しいものに変わった。
何もかも勇者の所為だ――
◇ ◆ ◇ ◆
そこからの数年間は、まるで悪夢のようだった。
勇者が発案した新塩製法によって塩の相場が大暴落し、私は辺境伯領都にはびこる貴族たちを操縦するすべを失った。
勇者が何かするたびに城塞都市や領内が発展し、結果として私を無能呼ばわりする貴族が増えた。
いくつもの家が、私から勇者へと支持を鞍替えした。
勇者は辺境伯領で成功した製品や製法を全国に広め、次々と味方を増やしていった。陛下からの覚えもめでたく、反対に、私は今までの行いが陛下の目に留まり、厳しい叱責を受けることもしばしばだった。
もし、高位の【鑑定】持ちに私のステータスを見られたら、私が『陛下の家臣』という【契約】から外れていることがバレてしまうだろう。
王城へ行く時はいつも、生きた心地がしなかった。
そして、勇者の叙爵。
城塞都市とその周辺の村を取られたのはまあいい。どうせ最後に残るのは領都だけなのだから。
だが周り全土が魔族の領土となった時に、私と家族を守るための大事な戦力である従士の引き抜きは頂けなかった。
思わず陛下にたてついてしまい、『王国の敵』とまで言われてしまった。
◇ ◆ ◇ ◆
地獄の日々も、もうすぐ終わる。
魔王が復活し、王国の滅亡とともに、私の地獄も終わるはずだ。
そして、今。
目の前には、スピオーネが立っている。
出会ったころと変わらない、若く美しいスピオーネ。
「魔物の集団暴走が領都にまで押し寄せてきたぞ!」
「演出だよ。領都だけまったく襲われてないと、逆に不審がられるだろう?」
「そんな……話が違うではないか! 私がどれだけ怖かったか……」
「話が違うのは、こっちも同じなんだけどね」
スピオーネの冷たい声。
「領地貴族の8割が勇者支持だって? 悪化する一方じゃないか。現に今も、魔物の集団暴走を捌かれてる」
スピオーネが1振りの短刀を取り出した。
「7年かけて用意した蟲毒の剣だ。これ使って勇者を殺しな」
スピオーネが、ひどく冷めた目で私を見てくる。
知っていた。分かっていた。14歳だった頃の日々に私の話を聞いてくれて、私を支えてくれたのは、あくまで演技でしかなかったことは。
「失敗したら、城伯の話はナシだ」
**************************
からの、前回ラストにつながります。
次回、アリスの人生2周目スタート!
能天気アリス「とりま【ふっかつのじゅもん】で養殖して、MP十倍に増やしますか!」
第1章で主人公が奮闘している裏で何があったのかというお話です。
****************************
14の時に、父が死んだ。
嫡男だった私は、何の準備も覚悟もないまま、ロンダキルア辺境伯となった。
毎日が恐怖の連続だった。
いつ攻めてくるやもしれぬ魔王国、どこで発生するやもしれぬ魔物の集団暴走。
味方であるはずの王国の貴族たちからは、デタラメなウワサを流され、後ろ指を指される日々。利権や領土を毟り取ろうと虎視眈々と狙ってくる貴族家や、年若い上流貴族である私に年増の娘を嫁がせようとする親族たち……。
父に依存しきっていた母は、糸の切れた人形のように伏せってしまい、まるで役に立たなかった。
何もかもが上手くいかない。ある日、執務室に飾られていた調度品のひとつがなくなり、執事にそれを指摘しても、しらを切られる。
回り全てが敵だった。貴族社会も、役立たずの母も、親族も、部下であるはずの陪臣も、使用人たちも。
毎晩、ベッドの中でひっそりと泣いた。
「何をそんなに泣いているんだい、坊や?」
そんな時、私はスピオーネに出会った。
「だ、誰だ!?」
初対面は、驚愕。
厳重に見張りを立たせておいたはずの寝室で、いきなり声がしたのだから。
唯一使える光魔法【灯火】を声の方へ投げかけると、そこには妙齢の女性が立っていた。
見張りの買収、暗殺の可能性まで考えた。だがおかしい。暗殺するつもりなら声なぞかけないだろうし、そもそも相手は無手の女ひとり。
「あたし? あたしはスピオーネ。流れの魔法使いさ。」
「ど、どういうつもりだ!? ここで何をしている!」
「旅の途中、立ち寄った領の領主様が最近変わったって聞いたんで、どんなやつか見てみようと思ったのさ。まぁ単なる興味本位――ヒマつぶしさね」
「誰か! 誰かぁっ! 見張りはいないのか!」
「【物理防護結界】を張ってるからねぇ、扉の外に声は聞こえないよ。これは善意からの忠告だけど、いくら厳重に見張りを立てても、魔法に対する防御がザルだとなんの意味もないよ。ほれ、この魔道具をあげよう……魔法の発動を検知すると、光る腕輪さ」
ベッドのそばまでズカズカと歩いてきた女が、光り輝く腕輪を差し出す。
……少なくとも害意・殺意はないようだった。
「……な、何が目的だ?」
「言ったろう? ヒマつぶしだと。あたしゃ人並み以上に魔法が使えるから、お金には困らないんだ。だからこうして旅をしながら、面白そうなやつを見つけて、話し相手になってもらっている。ほれ!」
女の手のひらから次々と生み出される、精巧な金細工の数々。
「な、な、な……」
「あげるよ。お近づきのしるしさ」
◇ ◆ ◇ ◆
その日から、女――スピオーネが、数日おきに夜な夜な寝室に現れるようになった。
スピオーネは私の話を聞いてくれた。それは生まれて初めての快感だった。
独善的な父、そんな父の方しか見ていなかった母、父の死以降はあからさまに私を見下してくる陪臣たち、舐め切った使用人……。
「……それで、陪臣たちが言うことを聞いてくれないんだ」
「言うこと聞かせりゃいいじゃないか。あんた、この領で一番偉いんだろう?」
「そんなに簡単な話じゃないんだよ」
「いくらでも方法はあると思うんだけどねぇ……【精神汚染】魔法で脳ミソ空っぽにさせて操るもよし、【従魔】して使役するもよし」
「スピオーネみたいにすごい魔法は使えないよ……っていうか、人間を【従魔】できるの!?」
「できるさ、そりゃ魔物相手よりは魔力は食うけど、バカな人族なんて、高い知能を持った一部の魔物を相手にするより簡単なくらいさ」
「でも……僕にはそんな魔力はない」
「そうさねぇ……あ、じゃあ塩を絞ればいいじゃないか。塩がなければ、人族は生きていけないんだから」
◇ ◆ ◇ ◆
そこから、何もかもが上手く回り始めた。
領主権限で塩を専売化し、塩ギルドを立ち上げさせ、塩の流通を制御するだけで、今まで舐めた態度を取っていた陪臣や使用人、果ては領都にいつく貴族たちまでもが揉み手ですり寄ってくるようになった。
塩のことを教えてくれただけじゃない。スピオーネは、私が望めばなんでも出してくれた。
金銀財宝。
魔法を跳ね返す特殊な煉瓦。
魔物の接近を検知する魔道具。
塩だけでは言うことを聞かない貴族の心を操縦するアクセサリー……。
私はスピオーネに溺れ切った。スピオーネは私の全てだった。
◇ ◆ ◇ ◆
「坊や、結婚しないのかい? そろそろ人族の適齢期だろう」
スピオーネと出会ってから数年たった頃、スピオーネがそう言った。
「僕は――…。スピオーネは、僕のことをどう思う?」
「はぁ? ……ぷっ、くくっ、あっはっはっはっ!」
スピオーネが冷たく笑い、
「魔族たる私が、坊や程度の魔力しかない男に嫁ぐ? 天地がひっくり返ってもありえないね。魔族は魔力至上主義。男の価値は魔力で決まるのさ」
「……え? ま……ぞ……く……?」
「ほれ」
言って頭上をふわりと指で示すスピオーネ。そこには今まで見たことがなかった、2本の角が生えていた。漆黒の、不吉なねじれ角。
「な、な、それは――」
「結界魔法の一種だよ。特定の空間の視覚を欺瞞するのさ」
「そっちの話じゃない!」
「だから言ったろう、魔族だと。魔王国領と国境を接する領に取り入り、反逆を促す……それがあたしの任務さ。魔王様のご復活は、きっと近い。魔王様に忠誠を誓い、入念に【従魔】して頂いているあたしには、感じることができるんだ。
改めてコンニチハ、坊や。あたしの名前は『間諜の女』。稀代の魔法使いにして、魔王国四天王のひとりだよ。
――あんた、今さらあたし抜きでやっていけるのかい? ほれ、アンタに好意を持たせる魔法がこめられたネックレスだよ。上流貴族家のデビュタントにでも行って、気に入ったご令嬢に渡してきな。
なぁに、あたしの言う通りにさえしていれば、命までは取らないさ」
……そう。この日から、私の地獄の日々が始まったのだ。
◇ ◆ ◇ ◆
正室と側室2人を娶り、息子が4人、娘が2人生まれた。
長男と次男は正室から生まれ、次男は15の時に家出してしまった……まぁ数年後に【竜殺し】の称号とともに戻ってきて、城塞都市を守る役目を国王陛下に任じられたが。
その間、私はスピオーネから離れられなかった。
私はスピオーネに言われるがまま、城塞都市の予算と塩を絞って砦と壁の弱体化に努め、内務閥を煽って軍務閥への悪感情を醸成させた。
国王陛下からの【契約】に縛られる身として、反逆できるギリギリのラインだ。毎日、頭痛や吐き気に苦しめられた。
どうすればいいのか分からなかった。
今さらスピオーネからの援助の数々を失って、貴族社会を生き抜けるとはとても思えなかった。
さりとて、国王陛下に面と向かって反逆することもできない……。
◇ ◆ ◇ ◆
「第二王子が邪魔だ」
ある日、スピオーネが言った。
場所はいつもの寝室。時間はいつもの通り、夜。部屋に他の人間がいても、睡眠魔法と結界魔法があるからお構いなしだ。
「聞けば第二王子、若干8歳にして軽く【闘気】をまとうらしいじゃないか。あんたの次男に匹敵する武術の天才さね。軍務閥とも仲がいい。対して第一王子は腑抜け。どちらが次代の王になった方が魔王国にとって有利かなんて自明の理だろう?」
「私にどうしろと言うんだ……?」
「第二王子の暗殺」
「なっ!? そんなことをしたら私は死んでしまう! 今でも頭が痛みで震えているというのに……」
「だから、前々から言っているようにあたしの従魔になればいいだろう」
……そう、スピオーネの従魔になれば、【契約】はスピオーネへの忠誠で上書きされるのだそうだ。
だが私は未だに、踏ん切りをつけることができずにいた。
「第二王子を殺すのは決定事項だ。悪いけど坊や、あんたを【従魔】させてもらうよ」
「待て、待ってくれ! 確約が欲しい。私を最後まで見捨てないと、約束してくれ!」
「魔王国がこの国を支配するのは変わらない。だが辺境伯領都だけは侵攻しないと約束しよう。王国滅亡の暁には、魔王様に口利きして坊やをこの都の城伯にしてやる。それでどうだい?」
「本当だな!?」
「約束するさ」
そうして私はついに、反逆の徒になってしまった。
長年苦しめられてきた頭痛と吐き気から解放され、晴れやかな気分になったのを、よく覚えている。
「だが……具体的にどう殺せというんだ? 私には第二王子に会う機会などないし、王城に忍び込んだり、暗殺する能力などない。暗殺者へのツテもない」
「まずは弱らせる……科学的にね」
「かがく……?」
「この国の文明は随分と遅れてるからねぇ……第二王子が召し上がるメニューにちょちょいと手を加えるだけで、簡単に病気にさせることができるよ。そして、病気で弱ってるところを一気に叩く。相手は【闘気】使いだ。慎重にやらなきゃ返り討ちにあっちまう。
本当はもっと派手な病気の方がいいんだけど、第一王子にまで移っちゃ意味がないからね」
◇ ◆ ◇ ◆
えいようがく? とかいうらしい。
内務閥の、第一王子の母親である第二王妃に近しい貴族家にその情報を流すと、貴族家は嬉々として第二王子の元へ料理人を送り込んだ。
もちろん、私にまで累が及ばぬよう、情報は慎重に慎重を重ねて流したさ。
◇ ◆ ◇ ◆
国王陛下からの【契約】から解放された私は、今まで以上に精力的に、スピオーネの計略に加担した。
城塞都市を預かる次男からはたびたび抗議の手紙が来たが、全て黙殺し、王都にまで話した伝わらないよう、情報操作に努めた。
そんな折り、究極の衝撃が訪れた。
……次男からの、1通の手紙。
「……スピオーネ、大変なことが起こった」
「なんだい真っ青な顔をして」
「そ、それが……息子の、4歳になる娘が【勇者】だと」
「……ほぅ? これはいよいよ、魔王様の復活も近いね! 勇者といえどもたかが4歳の子供。適当に呼び出して、殺しちまいな」
「それが……殺すのは難しいかもしれない。息子からの手紙の中に、勇者の武力や魔力について記載されている。なんでも、オークの集落を丸ごと焼き滅ぼしたらしい……」
怖かった。
スピオーネに運命を託すと決めた私にとって、勇者、それも自分の親族内に発生した勇者なぞ、恐怖の象徴でしかなかった。
◇ ◆ ◇ ◆
数日後、勇者の偵察に行っていたスピオーネが戻ってきた。
「見てきたけど、ありゃ無理だね。4歳で【瞬間移動】に【闘気】まで使える。一番ヤバいのが、少なくとも魔物100体が入り、テントやら家具やらが無尽蔵に収納可能な【アイテムボックス】だ。
知ってるかい? 【アイテムボックス】の容量は【時空魔法】レベルと魔力の掛け算で決まる。仮にあの娘の【時空魔法】レベルが6とすれば、魔力は100万を超えてるね。魔王様やあたしにゃ遠く及ばないまでも、魔族でも滅多と見ない数字さ。
作戦を変える。魔王様がお目覚めになるまでの時間の限りを尽くして、最高の猛毒を作り、それで勇者を殺すとしよう」
◇ ◆ ◇ ◆
第二王子は順調に弱っているようだった。
私も白米と牛肉はよく食べていたものだが、玄米と豚肉を食べるようになってから急に体調が良くなり、驚いたものだった。
そんなある日、またスピオーネがやって来た。
「そ、それは……?」
「魔物の集団暴走を引き起こせる魔道具。件の王子サマ、湯治から帰ってくるんだろう? いくら【闘気】持ちの達人でも、脚気で弱ったところに森全ての魔物をけしかけりゃ、さすがに死んでくれるだろうさ」
「死……」
「なんだい、今さら。今まで何年間もかけて、じっくり殺してきたんだ。とどめを刺すだけのことさ」
◇ ◆ ◇ ◆
この日のために慎重に作ってきたツテを使い、闇市へ魔道具を流した。
第二王子に料理長を出した例の貴族家を動かし、第二王子の馬車列が通る森に魔物の集団暴走を発生させるようにことを運んだ。
ちょうど準備が終わったころ、次男と、件の勇者が現れた。
……会いたくはなかった。が、実の息子とその家族を門前払いしては、外聞が悪い。大事なこの時期に、無用な波は立てたくなかった。
だから会った。
……勇者は、不吉な娘だった。
顔立ちこそ息子に似ていたが、女のクセに射貫くような、値踏みするような目で私を見つめてきた。まるで死神に睨まれているような気分だった。
息子との話は平行線をたどる。
当たり前だ。私は王国に反逆しているのだから。
……すまんな、ジークフリート。お前とその娘はスピオーネにとって――魔王国にとっての脅威でしかない。お前は見捨てざるを得ない。
話の中で、娘を侮辱されたと感じたらしい息子が怒りをあらわにした。昔から変わっていない……こいつは怒ると【威圧】が漏れる。
そりゃあ多少の恐怖は感じるが、こいつのそういう気質は幼児の頃から知っているし、私も貴族社会の中でさんざん揉まれてきたから、何ほどのものでもなかった。
……が、私は恐怖した。
息子にではない。
平然とした顔で息子の隣に座る、勇者にだ。
竜をも殺す息子の【威圧】をそよ風のように受け流し、息子をなだめようとしているその姿。
……怖い。怖い怖い怖い! あのスピオーネですら面と向かっては殺せないと判断した娘。5歳児の皮をかぶった悪魔。
……オークの集落を丸ごと焼き滅ぼすほどの力!
その刃が私に向かってきたとしたら――…
涙が出てくる前に、席を立った。
◇ ◆ ◇ ◆
……第二王子の暗殺計画が、失敗した。
何年もの年月を費やし、膨大な資金を使った。
……なのに。
なのに、なのに、なのに!
勇者と次男が邪魔をした。
数年来をかけた計画をあっさり覆し、魔物の集団暴走から第二王子を助け、王子の脚気をあっさりと治してしまった。
「なに失敗してんだい、あんた」
……スピオーネの、底冷えするような声。
「あれは、勇者が邪魔をして――」
「なんだって勇者が通過するタイミングでやるかね。坊やのミスだ」
「たったの十日足らずであそこまで進むなんて誰も思わな――」
「勇者の【瞬間移動】能力と魔力量については、事前に伝えておいた通りなんだがね」
その日から、スピオーネからの援助が急に乏しいものに変わった。
何もかも勇者の所為だ――
◇ ◆ ◇ ◆
そこからの数年間は、まるで悪夢のようだった。
勇者が発案した新塩製法によって塩の相場が大暴落し、私は辺境伯領都にはびこる貴族たちを操縦するすべを失った。
勇者が何かするたびに城塞都市や領内が発展し、結果として私を無能呼ばわりする貴族が増えた。
いくつもの家が、私から勇者へと支持を鞍替えした。
勇者は辺境伯領で成功した製品や製法を全国に広め、次々と味方を増やしていった。陛下からの覚えもめでたく、反対に、私は今までの行いが陛下の目に留まり、厳しい叱責を受けることもしばしばだった。
もし、高位の【鑑定】持ちに私のステータスを見られたら、私が『陛下の家臣』という【契約】から外れていることがバレてしまうだろう。
王城へ行く時はいつも、生きた心地がしなかった。
そして、勇者の叙爵。
城塞都市とその周辺の村を取られたのはまあいい。どうせ最後に残るのは領都だけなのだから。
だが周り全土が魔族の領土となった時に、私と家族を守るための大事な戦力である従士の引き抜きは頂けなかった。
思わず陛下にたてついてしまい、『王国の敵』とまで言われてしまった。
◇ ◆ ◇ ◆
地獄の日々も、もうすぐ終わる。
魔王が復活し、王国の滅亡とともに、私の地獄も終わるはずだ。
そして、今。
目の前には、スピオーネが立っている。
出会ったころと変わらない、若く美しいスピオーネ。
「魔物の集団暴走が領都にまで押し寄せてきたぞ!」
「演出だよ。領都だけまったく襲われてないと、逆に不審がられるだろう?」
「そんな……話が違うではないか! 私がどれだけ怖かったか……」
「話が違うのは、こっちも同じなんだけどね」
スピオーネの冷たい声。
「領地貴族の8割が勇者支持だって? 悪化する一方じゃないか。現に今も、魔物の集団暴走を捌かれてる」
スピオーネが1振りの短刀を取り出した。
「7年かけて用意した蟲毒の剣だ。これ使って勇者を殺しな」
スピオーネが、ひどく冷めた目で私を見てくる。
知っていた。分かっていた。14歳だった頃の日々に私の話を聞いてくれて、私を支えてくれたのは、あくまで演技でしかなかったことは。
「失敗したら、城伯の話はナシだ」
**************************
からの、前回ラストにつながります。
次回、アリスの人生2周目スタート!
能天気アリス「とりま【ふっかつのじゅもん】で養殖して、MP十倍に増やしますか!」
21
あなたにおすすめの小説
爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。
秋田ノ介
ファンタジー
88歳の爺さんが、異世界に転生して農業の知識を駆使して建国をする話。
異世界では、戦乱が絶えず、土地が荒廃し、人心は乱れ、国家が崩壊している。そんな世界を司る女神から、世界を救うように懇願される。爺は、耳が遠いせいで、村長になって村人が飢えないようにしてほしいと頼まれたと勘違いする。
その願いを叶えるために、農業で村人の飢えをなくすことを目標にして、生活していく。それが、次第に輪が広がり世界の人々に希望を与え始める。戦争で成人男性が極端に少ない世界で、13歳のロッシュという若者に転生した爺の周りには、ハーレムが出来上がっていく。徐々にその地に、流浪をしている者たちや様々な種族の者たちが様々な思惑で集まり、国家が出来上がっていく。
飢えを乗り越えた『村』は、王国から狙われることとなる。強大な軍事力を誇る王国に対して、ロッシュは知恵と知識、そして魔法や仲間たちと協力して、その脅威を乗り越えていくオリジナル戦記。
完結済み。全400話、150万字程度程度になります。元は他のサイトで掲載していたものを加筆修正して、掲載します。一日、少なくとも二話は更新します。
~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間スキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がり、英雄となる
静内燕
ファンタジー
【カクヨムコン最終選考進出】
【複数サイトでランキング入り】
追放された主人公フライがその能力を覚醒させ、成り上がりっていく物語
主人公フライ。
仲間たちがスキルを開花させ、パーティーがSランクまで昇華していく中、彼が与えられたスキルは「精霊王」という伝説上の生き物にしか対象にできない使用用途が限られた外れスキルだった。
フライはダンジョンの案内役や、料理、周囲の加護、荷物持ちなど、あらゆる雑用を喜んでこなしていた。
外れスキルの自分でも、仲間達の役に立てるからと。
しかしその奮闘ぶりは、恵まれたスキルを持つ仲間たちからは認められず、毎日のように不当な扱いを受ける日々。
そしてとうとうダンジョンの中でパーティーからの追放を宣告されてしまう。
「お前みたいなゴミの変わりはいくらでもいる」
最後のクエストのダンジョンの主は、今までと比較にならないほど強く、歯が立たない敵だった。
仲間たちは我先に逃亡、残ったのはフライ一人だけ。
そこでダンジョンの主は告げる、あなたのスキルを待っていた。と──。
そして不遇だったスキルがようやく開花し、最強の冒険者へとのし上がっていく。
一方、裏方で支えていたフライがいなくなったパーティーたちが没落していく物語。
イラスト 卯月凪沙様より
最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした
服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜
大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。
目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!
そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。
まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!
魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!
神様、ちょっとチートがすぎませんか?
ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】
未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。
本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!
おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!
僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。
しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。
自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
---------------
※カクヨムとなろうにも投稿しています
転生の水神様ーー使える魔法は水属性のみだが最強ですーー
芍薬甘草湯
ファンタジー
水道局職員が異世界に転生、水神様の加護を受けて活躍する異世界転生テンプレ的なストーリーです。
42歳のパッとしない水道局職員が死亡したのち水神様から加護を約束される。
下級貴族の三男ネロ=ヴァッサーに転生し12歳の祝福の儀で水神様に再会する。
約束通り祝福をもらったが使えるのは水属性魔法のみ。
それでもネロは水魔法を工夫しながら活躍していく。
一話当たりは短いです。
通勤通学の合間などにどうぞ。
あまり深く考えずに、気楽に読んでいただければ幸いです。
完結しました。
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?
【完結】487222760年間女神様に仕えてきた俺は、そろそろ普通の異世界転生をしてもいいと思う
こすもすさんど(元:ムメイザクラ)
ファンタジー
異世界転生の女神様に四億年近くも仕えてきた、名も無きオリ主。
億千の異世界転生を繰り返してきた彼は、女神様に"休暇"と称して『普通の異世界転生がしたい』とお願いする。
彼の願いを聞き入れた女神様は、彼を無難な異世界へと送り出す。
四億年の経験知識と共に異世界へ降り立ったオリ主――『アヤト』は、自由気ままな転生者生活を満喫しようとするのだが、そんなぶっ壊れチートを持ったなろう系オリ主が平穏無事な"普通の異世界転生"など出来るはずもなく……?
道行く美少女ヒロイン達をスパルタ特訓で徹底的に鍛え上げ、邪魔する奴はただのパンチで滅殺抹殺一撃必殺、それも全ては"普通の異世界転生"をするために!
気が付けばヒロインが増え、気が付けば厄介事に巻き込まれる、テメーの頭はハッピーセットな、なろう系最強チーレム無双オリ主の明日はどっちだ!?
※小説家になろう、エブリスタ、ノベルアップ+にも掲載しております。
[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~
k33
ファンタジー
初めての小説です..!
ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる