「強くてニューゲーム」で異世界無限レベリング ~美少女勇者(3,077歳)、王子様に溺愛されながらレベリングし続けて魔王討伐を目指します!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
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第3章 「私が魔王国内で大暴れする話」
135(3,032歳)「魔王のママになる」
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「もう1回! もう1回!」
「ハイハイ。でももうだーいぶ長いことやったから、次が最後ね!」
「分かったから早く!」
「ハイハイせーのっ」
「「対よろです!」」
ファイ!
魔王キュンは『アリスト○ートファイターII』にドハマりした。そして意外に強かった。
……というか私が弱すぎた。
『YOU LOSE』
「ぐぬぬぬ!!」
悔しいけれど、内部時間でいえばもう夕方相当。
「ほら、晩御飯にしよう」
格ゲーの筐体から立ち上がると、
「うんっ!」
魔王キュンが4歳児っぽい感じの、満面の笑みを見せてくれた。
いやぁたった半日で、驚くほど打ち解けられた!
やっぱりTVゲームは偉大だ!
「じゃあ次は、一緒に晩御飯を作ろう!」
「ごはんを作る?」
「そぉだよ~。あ、もしかして包丁とか使ったことない?」
「剣ならある。いちおう」
「うーん……剣とはちょっと違うかなぁ」
そんなことを言いながらキッチンへご案内し、
「あ、じゃあ魔法でやろっか」
【アイテムボックス】からキュウリを取り出し、【ウィンドカッター】でスパスパと切って見せる。
「それならできそう」
【浮遊】で高さを稼いだ魔王キュンがマネするも、まな板ごといってしまった。
「あ、コラコラ!」
細切りになったまな板を示しながら、
「まな板切っちゃダメでしょう?」
「……?」
「……?」
「アリソンは今、僕に命令をしたのか?」
「命令? 命令っていうよりお説教かな」
「『おせっきょう』……?」
「あー……そうか、教育も指導もされたことがないのかぁ。あのね、世間には『やって良いことと悪いこと』があるの。で、『まな板を破壊する』のは『悪いこと』になるの。だから私が今、キミに『ダメだよ』って言ったわけ」
「うーん……?」
「えーと、キミは、例えばどんなことが『やって良いこと』だと思う?」
「人族の『せんめつ』」
「…………。『悪いこと』は?」
「それを邪魔するすべてのこと」
「Oh……それは、誰から教えられたの?」
「魔法神様」
「だよねー。だろうと思った」
さて、どうしたものか。
「じゃあ、これからは、私が教える『やって良いことと悪いこと』に従ってもらいます」
「なんで?」
「そりゃ私がキミに『魔法決闘』で勝って、私がキミを従属させる権利を有するからだよ」
「――…」
「あと、従わなかったらゲームは取り上げます」
「それはヤダ!!」
「じゃあまずは、まな板を切らずにキュウリだけ切れるように練習してみようよ」
「うん」
と、そんな感じで一緒に料理を作りつつ、ふと思い至った。
「そう言えば、キミの名前を聞いてなかった!」
「ないよ」
「へっ?」
「僕に名前はない。魔法神様からもただ『魔王』って呼ばれてる」
「ひでぇ……」
「ルキフェル王国第13代国王とか、ルキフェル13世って呼ばれることもある」
「じゃあルキくんって呼んでもいい?」
「…………うん」
魔王キュン改めルキくんは、なんだかうれしそうにもじもじして、うつむいてしまった。……か、可愛いやんけ。
◇ ◆ ◇ ◆
夜には一緒に眠った。
8歳当時のフェッテン様にやったのと同じやつ。
同じ布団に入り、ルキくんの背中をトントンしてやりながら、テキトーなアニソン、Jポップのバラードを子守唄に唄う。
愛に飢えてる――ルキくんの場合は愛を知らない――子供に対する、ある種の精神汚染攻撃だね。
まぁ立派な同衾だしフェッテン様に対する浮気行為ではあるものの、なぁに相手は体は4歳、中身は半端な知識と自意識だけを持った0.2歳児。
晩御飯作りながらいろいろ会話した感じ、『性別』とか『異性』、『恋』やなんかは知識としては知っていても、まったく理解していない様子だった。
時々私に対して顔を赤らめてたけど、ありゃ恥ずかしがってる感じだ。本人は『恥ずかしい』もまだ理解していないみたいだけど。
そんな感じで1週間、魔王ルキくんをデロデロに甘やかしつつ教育した。
◇ ◆ ◇ ◆
「【瞬間移動】!」
「なっ……!?」
外部時間で0.数秒後、再び魔王城の決闘会場に戻ってきた。
目の前には驚愕するレヴィアタン氏。そして周囲には魔力切れで倒れる魔族の人たち。約半数は全裸。
まぁ1秒も経っていないんだもの。状況は変わらんわな。
「今一瞬、おふたりの姿が消えたような……?」
「決めたぞリヴァイア! 僕はママの従魔になる!」
「ま、ママ……?」
戸惑うレヴィアタン氏。
そう!
なんとルキくんの呼び名が、この一週間で『アリソン』⇒『お姉ちゃん』と変遷し、私が『家族』や『母親』という概念をルキくんに体感させてしまったがために、ついに『ママ』になったのだ!
今やルキくんは私にべったりで、とはいえゲームを取り上げられたくないがために、私が教える『やって良いことと悪いこと』を必死に覚えようとしてくれている。
いやぁ、ショタっ子美少年を自分好みに育てることができるとは! 光源氏の気持ちが分かるような気がするよ。
「ってことで同意が得られたので【従魔】します。【従魔】!」
手の中にほんのり輝く首輪が生成される。
その首輪を、ルキくんがウキウキ顔で差し出してくる首に巻いた。
首輪は一瞬ぱぁっと光った後、光を失う。
――ヨシ!(指差呼称)
今度こそ【従魔】成功!
魔王討伐ならぬ、魔王従魔化達成だぁ!!!!
************************************************
追記回数:551,551回 通算年数:3,032年 レベル:5,100
次回、最終章「私が魔王になって右往左往する話」突入。
アリス・アリソン・フォン・ロンダキルア・ルキフェル14世爆誕!!
「ハイハイ。でももうだーいぶ長いことやったから、次が最後ね!」
「分かったから早く!」
「ハイハイせーのっ」
「「対よろです!」」
ファイ!
魔王キュンは『アリスト○ートファイターII』にドハマりした。そして意外に強かった。
……というか私が弱すぎた。
『YOU LOSE』
「ぐぬぬぬ!!」
悔しいけれど、内部時間でいえばもう夕方相当。
「ほら、晩御飯にしよう」
格ゲーの筐体から立ち上がると、
「うんっ!」
魔王キュンが4歳児っぽい感じの、満面の笑みを見せてくれた。
いやぁたった半日で、驚くほど打ち解けられた!
やっぱりTVゲームは偉大だ!
「じゃあ次は、一緒に晩御飯を作ろう!」
「ごはんを作る?」
「そぉだよ~。あ、もしかして包丁とか使ったことない?」
「剣ならある。いちおう」
「うーん……剣とはちょっと違うかなぁ」
そんなことを言いながらキッチンへご案内し、
「あ、じゃあ魔法でやろっか」
【アイテムボックス】からキュウリを取り出し、【ウィンドカッター】でスパスパと切って見せる。
「それならできそう」
【浮遊】で高さを稼いだ魔王キュンがマネするも、まな板ごといってしまった。
「あ、コラコラ!」
細切りになったまな板を示しながら、
「まな板切っちゃダメでしょう?」
「……?」
「……?」
「アリソンは今、僕に命令をしたのか?」
「命令? 命令っていうよりお説教かな」
「『おせっきょう』……?」
「あー……そうか、教育も指導もされたことがないのかぁ。あのね、世間には『やって良いことと悪いこと』があるの。で、『まな板を破壊する』のは『悪いこと』になるの。だから私が今、キミに『ダメだよ』って言ったわけ」
「うーん……?」
「えーと、キミは、例えばどんなことが『やって良いこと』だと思う?」
「人族の『せんめつ』」
「…………。『悪いこと』は?」
「それを邪魔するすべてのこと」
「Oh……それは、誰から教えられたの?」
「魔法神様」
「だよねー。だろうと思った」
さて、どうしたものか。
「じゃあ、これからは、私が教える『やって良いことと悪いこと』に従ってもらいます」
「なんで?」
「そりゃ私がキミに『魔法決闘』で勝って、私がキミを従属させる権利を有するからだよ」
「――…」
「あと、従わなかったらゲームは取り上げます」
「それはヤダ!!」
「じゃあまずは、まな板を切らずにキュウリだけ切れるように練習してみようよ」
「うん」
と、そんな感じで一緒に料理を作りつつ、ふと思い至った。
「そう言えば、キミの名前を聞いてなかった!」
「ないよ」
「へっ?」
「僕に名前はない。魔法神様からもただ『魔王』って呼ばれてる」
「ひでぇ……」
「ルキフェル王国第13代国王とか、ルキフェル13世って呼ばれることもある」
「じゃあルキくんって呼んでもいい?」
「…………うん」
魔王キュン改めルキくんは、なんだかうれしそうにもじもじして、うつむいてしまった。……か、可愛いやんけ。
◇ ◆ ◇ ◆
夜には一緒に眠った。
8歳当時のフェッテン様にやったのと同じやつ。
同じ布団に入り、ルキくんの背中をトントンしてやりながら、テキトーなアニソン、Jポップのバラードを子守唄に唄う。
愛に飢えてる――ルキくんの場合は愛を知らない――子供に対する、ある種の精神汚染攻撃だね。
まぁ立派な同衾だしフェッテン様に対する浮気行為ではあるものの、なぁに相手は体は4歳、中身は半端な知識と自意識だけを持った0.2歳児。
晩御飯作りながらいろいろ会話した感じ、『性別』とか『異性』、『恋』やなんかは知識としては知っていても、まったく理解していない様子だった。
時々私に対して顔を赤らめてたけど、ありゃ恥ずかしがってる感じだ。本人は『恥ずかしい』もまだ理解していないみたいだけど。
そんな感じで1週間、魔王ルキくんをデロデロに甘やかしつつ教育した。
◇ ◆ ◇ ◆
「【瞬間移動】!」
「なっ……!?」
外部時間で0.数秒後、再び魔王城の決闘会場に戻ってきた。
目の前には驚愕するレヴィアタン氏。そして周囲には魔力切れで倒れる魔族の人たち。約半数は全裸。
まぁ1秒も経っていないんだもの。状況は変わらんわな。
「今一瞬、おふたりの姿が消えたような……?」
「決めたぞリヴァイア! 僕はママの従魔になる!」
「ま、ママ……?」
戸惑うレヴィアタン氏。
そう!
なんとルキくんの呼び名が、この一週間で『アリソン』⇒『お姉ちゃん』と変遷し、私が『家族』や『母親』という概念をルキくんに体感させてしまったがために、ついに『ママ』になったのだ!
今やルキくんは私にべったりで、とはいえゲームを取り上げられたくないがために、私が教える『やって良いことと悪いこと』を必死に覚えようとしてくれている。
いやぁ、ショタっ子美少年を自分好みに育てることができるとは! 光源氏の気持ちが分かるような気がするよ。
「ってことで同意が得られたので【従魔】します。【従魔】!」
手の中にほんのり輝く首輪が生成される。
その首輪を、ルキくんがウキウキ顔で差し出してくる首に巻いた。
首輪は一瞬ぱぁっと光った後、光を失う。
――ヨシ!(指差呼称)
今度こそ【従魔】成功!
魔王討伐ならぬ、魔王従魔化達成だぁ!!!!
************************************************
追記回数:551,551回 通算年数:3,032年 レベル:5,100
次回、最終章「私が魔王になって右往左往する話」突入。
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