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異世界での新たな生活
05
しおりを挟む結局、私の扱いは『外国で暮らしていたタロットワークの一族の1人が戻ってきて滞在している』という形へと落ち着いた。
それ以上、の扱いはないものね。
ただし、コーネリア姫の時のような煩わしさはない。
今の私はアラフォー!
はっきりとは書かないけれど、もう誰かの奥様に収まるような年齢ではないのです!
故に、夜会に出る必要も『ほとんど』なく、以前のような気ままな生活。…の、はずだったのだが。
「うああああああ、戻ってきてくれたぁぁぁぁぁ」
「お願いします、アレがないと・・・!」
「俺達ではもう無理なんです!!!」
「ちょっと!何このゾンビ達は!」
「お前達ちーと落ち着けー」
「無理ですよ師匠!!!」
「あんなに調合スキルあげたのに!!!」
「あの味は出せないんです!!!」
「その前に!なんでこの人達、私の事がわかるの!」
「「「そんなの魔力の色を見てるからですよ」」」
「へっ!?魔力の色?」
********************
人はそれぞれ、魔力を持つ。
それはパターンとも呼ばれる性質があり、人それぞれ違うのだとか。
高い魔力を持つ人については、その魔力が色がついているようにも見えるそうで。
「僕等はですね、この眼鏡です」
「この部屋の人間だけなんですけどね」
「この眼鏡通すと、人の魔力パターンが見えるんですよ」
「何そのぺ○ソナ眼鏡・・・」
ほら、あのゲームって霧を見通すのにみんなで眼鏡付けるじゃない?だからほら、これも同じようなもの?かなって。
それで私の魔力パターンがわかったらしく、『コズエ』=『コーネリア』=『エンジュ』という図式が彼等の中では成り立ったそうだ。
「お前達、この事は言うでないぞ」
「言いませんよー」
「僕等に関係ないですし」
「元々コズエ様もコーネリア様も一緒ですし、今更エンジュ様と呼ぶようにと言われても『はいそうですか』ですし」
「・・・物わかりがいいというのかなんなのか」
「「「だからお願いですあの『翼を授けるボトル』を」」」
「誰か作れるようになってよ、頼むから」
ちなみに、興味津々で集まってきた彼等によって、『翼を授けるボトル』の製作教室が始まりました。
あれだけ飲んでるし、味は覚えているのならなんとかイメージで作れるようになると思うんだけどね?
その他にも色々とポーションを作り、皆は嬉嬉としてそれをボトル詰めしている。
…私、これでひと財産稼げるんじゃないかしら?
「・・・さて、エンジュ、用意出来たぞ」
「うーん、久しぶりですねこれ」
「そうさのう。さて、どれだけ変化があるか楽しみだの」
「変化、ありますかね」
「恐らくな」
ゼクスさんと魔術研究所に来たのは、魔力測定の為だ。
以前は少女の体で計測をした。しかし、今は『私』本来の姿。ということは、魔力測定にも変化があるかもしれない。
ということで、もう一度測ってみようということに。
あの時と同じ、石にぺとっと手をつける。
ほわん、と光ったあの時と違い、なんだか今回はチカチカチカ、と点滅した。
ん?何か違うぞ?
出てきた測定値はこちら。
『火』 A
『水』 A
『風』 A
『土』 A
『光』 A
『闇』 A
『聖』 SSS
魔力量 S
魔力回復速度 SSS
「・・・なんか、揃った感じ?」
「おお~、凄いですよこれ!」
「これってもしかして、師匠・・・」
「いけそうでは?」
「えっ?そんなに凄くは・・・」
「エンジュ、覚えておるか?そなたは攻撃魔法が『全く』使えなかったろう」
「あ、はい。でも今もいっしょですよ?」
「・・・ちーと、こっちに来てみい」
ゼクスさんに連れられ、隣の大きな部屋へ。
何も無いように見えるが、どうやらここは攻撃魔法なんかの試し打ちをするためのスペースらしい。
周りには衝撃を吸収する結界が貼られているそうだ。
「さてさて、試しに火炎球なんてどうかの」
「いや、それって何か詠唱とかいるでしょ?適当に『火炎球』とかって言」
明後日の方向に手を出し、ゼクスさんの言うように『火炎球』と言った瞬間、手から何か出た感覚がした。
ん?と思った瞬間、とてつもない爆音と熱風。
しかし私の周りは瞬時に防御膜が貼られた。
「・・・えっ、嘘でしょ」
「これはまた・・・」
「うわ、すげー」
「詠唱も破棄可能かー凄いなエンジュ様」
「どこまで詠唱を破棄できるんですかね?上級魔法もできそうですよね」
「えっ?私攻撃魔法使えないのでは?」
「いや、ここ見てくだされ、エンジュ」
魔力測定の数値。
私が今まで見てなかった場所。
魔法攻撃力 S
魔法防御力 SS
…なにこの項目。
ゼクスさんに聞くと、私は今までここが『魔法攻撃力 ─ 』となっていたそうだ。ここに数値がない、ということは攻撃魔法が使えない、という結論になるらしい。
しかし、先程確認した数値だと、ここが数値化されていたので、もしかして?と思ったそうだ。
「えええ、何でも使えちゃうんですかね?」
「ちなみにエンジュ?攻撃用の魔法を見たことは」
「ここではないですけど」
「・・・向こうでは魔法はないと聞いているが」
「ないですよ?だからゲームとか、映画とか。作り物の世界ですけど、そういう映像だけなら山ほど」
「ちなみに、召喚とかはせんよな?」
「えっ、さすがに・・・」
とはいえ、ペル○ナみたいに格好いいやつ出せたらいいなあ。私は戦えないけど代わりにズバッとやってくれたり?
そうねえ、タナトスとかすごく好きなんだけど。思い出せって言われたら普通に思い出せちゃうけど。
そう思った時だ、体からズルッと何か出ていく感覚。
だるいなぁ、なんて思ったけどすぐに治る。気のせいかな?と思っていたら、目の前の皆さんが私の上を見ている。
ダメだ見たら負けだ、何も無い、きっと無い。
「・・・エンジュ、それをどうするんじゃ」
「待ってゼクスさん、見たら負ける気がする」
「いやいやいや、儂は『出せんよな?』と聞いただけで『出せ』とは言っとらんのだぞ・・・?」
「うわ、なんすかあれ」
「格好いい!すげえ!」
「確実に強いのでは」
「ちなみに、どんなのいます?なんか棺桶みたいの8個くらい連なったの背負ってます?」
「・・・知っとるんじゃろ、アレ」
そーっと上を見る。
そこには、私の脳内で再生された立派なタナトスがいた。
うわー…これいけるなら、私全ペルソ○出せるんじゃないかな?
ヨシツネとか出せたら、八艘飛びとかできる?確実に最強なんですけど…?
「これ、どうしたらいいんでしょうか」
「・・・儂にもわからんよ」
「引っ込んだり・・・しますかね?」
「引っ込まんと、問題だの・・・」
その後、なんとか話しかけてお帰り頂いた。
どうやら何らかの召喚獣で、形は私が想像したからああなった様子。恐らく呼べば出てきて戦ってくれるらしい。
…うわぁい、護衛を手に入れたよ…?
色々と試した結果、ある程度の攻撃魔法が使えるようになった。
主に自分の脳内でイメージできるものは大抵使える。
という訳で、明日からの勉強がまたひとつ増えました。
攻撃魔法の初歩から、魔術書を読む、という作業が…
まあ、正しく使うためには、どういう風に成り立ってて、どんな威力があります、とか知ることは必要だよね!
「よっと、『風刃』」
「そこ、もうちょっと刈り込んでください、エンジュ様」
「こう?・・・ていっ」
しゅぱぱぱぱ。
「・・・いいのですか旦那様。エンジュ様にああして攻撃魔法など使わせて」
「まあええんじゃないかの。どう見ても平和な利用方法じゃろ」
「確かにそうですね、風刃でああして庭木の手入れをする人などいませんね」
「魔力の質や、量が有り余っとるからこそできる事じゃがの」
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