私は幼い頃に死んだと思われていた侯爵令嬢でした

さこの

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バースデーパーティー

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「うちの愛娘のパーティーに来てくれて心から感謝致します」

 侯爵の挨拶から始まった。高位貴族と呼ばれる家はほぼ出席。ジェラール殿下は婚約間近の西の大国の王女と参加している。

 マリアは俺の腕に絡みつき終始嬉しそうに挨拶をしていた。

 参加者たちは皆が笑顔で祝福しているようだ。マリアとのダンスを披露し、拍手を貰った。俺以外と踊りたくないというが、侯爵やヴェルナー殿は別物。公爵殿も、その息子も別物……文句は言えまい。

 学園の友人(子息)にダンスに誘われたようだが、疲れた。と言って俺のところへ戻ってきた。

 侯爵の言った通り笑顔溢れるパーティーになりマリアは退場するようで、あとは大人の時間だ。俺もホテルに帰る事にした。


 
 次の日に王宮へ行きいろんな説明をして侯爵に頼み込んでマリアと遠出をする事になった。マリアを見つけたあの場所へ。



「へぇ変わってないな……マリアはここでぐったりとしていたんだ」

 今思えば何故こんなところに来たのだろうか……

「へぇ、覚えてない」

 それから住んでいた山の小屋に行った。誰も住んでないようで年月が経ちボロボロで隙間風や雨が入りそうだ。

「わぁ、懐かしいね! こんなところに住んでいてよく見つかったもんだね」

「……それにしても経年劣化が酷いな。せっかくマリアと住んでいた家を見て昔を懐かしもうと思っていたのにこれじゃ廃屋だ」


「来られてよかったよ! リアンさんに約束したもん、また絶対戻って来るからって! 約束は守れたね」

「俺も出て行ったけどな」


 二人で笑い合った。


 それからマリアが好きだったスズラン畑に行った。何もないところだったから更にスズランが群生していて風に揺れる様は綺麗だった。

「わぁぁぁ! 懐かしいねっ!」

 

 もうここにくる事はないだろうから一緒に来たいと思った。



「マリア」

「うん? なぁに」

 風に靡くマリアの髪がとても美しい。

 跪き手を取った。



「え?」

「マリアベル・ロマーニ嬢。もう貴女を不安にさせない。永遠に貴女を愛し守り抜くとここに誓います。どうか私と結婚してください」


 ちゃんと求婚をしていなかった愚かな自分への戒めとして思い出の地で求婚をしようとここへ来た。

「……はい」

 マリアは涙を流して喜んでくれた。たったこれだけのことなのに。

 マリアの手にキスを落とし、シンプルな指輪を付けた。もちろんサイズはピッタリだ。

 マリアが読んでいた本で求婚の際にお揃いの指輪を贈ったヒーローがいた。マリアはその場面を気に入っていた事は知っている。シンプルな指輪は生活をしていても邪魔にならないデザインの物を特注した。

「俺にも付けてくれ」


 ポケットから自分の分の指輪を取り出してマリアに渡した。その指は震えていてこっちまで緊張してくる。

「知ってたの? この指輪の事」

「あぁ、ここで求婚したら喜んでくれるかな……と思っていたが、色々あって……遅くなって悪かった」

 言い訳だよな……


「憧れていたの。好きな人から求婚されること……マリアばっかり結婚してって言っていたけどリアンさん緊張した? いっぱい考えてくれた?」

 ……しました。どこでしようかも迷った。断られる事はないだろうが、せっかくなら喜んでもらいたかった。


「案としては、夜空に花火を上げようかとか……部屋を花で埋め尽くそうかとか……町中に風船を飛ばそうとか……スイーツで家を作ろうとか……宝石でドレスを作ろうとまで考えた」

 流石にやめた。

「……わぁ、それはちょっと、だね」

 笑いながら言うが、嫌そうではないようだ。

「それくらいやりそうなほど、本気だと言う事だ。形で見せなきゃ俺の気持ちが伝わらないかと思った」

 今までの情けない自分からの脱却……

「それだけマリアのことが好きって事だ!」
 
「……これ」

 ポケットから出したスズランの髪飾り。昔マリアに買ってやったものだった。

「! っこれ!」

「覚えているか?」

「クマさんを持ってきたのにこの髪飾りを持っていかなかったのを後悔してたの。戻って来るって思っていたから。リアンさんが持ってたんだね。良かった」

 心から嬉しそうな表情をするマリア。

「これは手放せなくてずっと持ってたんだよ。マリアとの思い出だしな……」


「ねぇ、リアンさん、お願いがあるの。来年スズランの咲く頃に二人だけで結婚式しよ」

 結婚は来年の秋の予定だ。だがスズランの咲く頃に二人だけで式を挙げるなんて最高だな……


「実はな……家の敷地の一部にスズランが咲いているんだ……マリアが喜ぶかと思って準備、」

 どすっとマリアが腹めがけて突撃抱きしめてしてきた。腹は……今やめて欲しいんだ……肋骨の骨が……腰が砕けそうだが、なんとか踏ん張った。


「約束ね!」





 ******


 ~一年後~

「二人きりと言うわけには行かなくなったな……」
 
 大公家の広い敷地内にスズランが群生している。花嫁のブーケもスズランで統一されていた。

 二人だけで式を挙げたいと言うマリアの願いを叶えるはずが……

「キレイよマリーちゃん」
「うむ。美しいな」

「お嬢様ステキです」

 オットー家の使用人一同ざっと100人ほどが仕事の手を止め、式に参加していた。

「みんなにお祝いされるのって幸せだね」

 ロマーニ家には内緒である。最愛の娘のこんな姿を見たら面倒くさそうだから本番だけで良いだろう。



「二人きりじゃないが良かったか?」

 準備をしてもらうには使用人の手を借りなきゃ出来ない。そうなると皆の耳に入るわけで……皆が祝いたいのだという声を聞いた。本番は使用人全員を呼ぶ事は出来ない。


 この機に使用人を労わる場も設けることにして、俺とマリアからのささやかな気持ちとして立食パーティースタイルとなった。


 マリアも喜んでいるし、今日は良い日になった。司祭がいるわけでもなく父が悪ノリで司祭の真似をして皆の前でマリアを愛する事を誓った。


 ヒューヒュー! と揶揄うような声もあったが今日は無礼講だ。

 誓いのキスはマリアから俺にしてきた。誰がどう見ても俺はマリアの尻に敷かれている構図だ。

 使用人は皆が笑顔で、マリアがそうさせた。

「わたくし、マリアベルはフロリアン様を一生愛し支えていく事をここに誓います。みなさんもお願いです。未熟なわたくしを支えてくださいね!」

 そういうと拍手喝采。俺の出番はなし……結婚式の主役は新婦だ。

 

 未だにマリアが何故ここまで俺のことが好きなのか分からないが、ふっふふと勝ち誇るように笑うマリアは今まで見た中で一番美しかった。


 【完】


******


 ちょっと長くなってしまいましたが、これで終わりになります。ラストはリアンさん視点でした。
 前作同様? 年齢差のあるカップルの話になりました。最後までお付き合いくださりありがとうございました。

 また新作も投稿したいと思います。よろしくお願いします、( .ˬ.)"

 
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