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告。新入生諸君
最終話 支配者は嗤う 4
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がらり。
と、先ほどの再現のように、部員たちの見ている先でドアが開いた。
そこに立っていたのは、燈が想像した通りの人だった。
「丸山。さん?」
走ってきたのか、息を切らせて立っているのは、確かに丸山浩紀だった。呪いに耐性があったおかげで、精神汚染の度合いはひどいものではなく、先日退院したという話は聞いていた。彼は被害者だと燈や紅二が証言したから、刑事罰を受けることもなく、学校に戻れたらしい。
「おい! 集合場所、E号電算室じゃねえじゃねーか」
入ってくるなり、つかつか。と、小華のところまで歩いてきて、彼は言った。
「おや? A号電算室だと言ったはずだが?」
ほとんど表情を変えずに小華は答える。
「Eっつった」
小華のそんな様子にも全く怯まずに、丸山は言い返す。さすがは4年生。と、変なところに感心してしまう。
「……耳が悪いんじゃないですか? 老化が始まっているのかな」
やれやれ。と、両手を広げて、小華がため息交じりに言った。一応、敬語は使ってはいるが、敬意が籠っていない。
「そんなことで、電算部員が務まりますかね?」
「は?」「え?」「んん?」
と、小華が言った一言に、部員たちから声が上がる。驚いていないのは和彦だけだ。
「ちょ。李先輩。部員ってどういうことですか?」
戸惑う部員たちを代表して燈は質問した。
丸山は4年生だ。燈や電算部に対して攻撃する意思があったわけではないけれど、特別好意的でもない。スレイヤー資格も持っているし、一般教養も修了しているから、実習が多い。今さら『文化部』に所属するメリットもないはずだ。
「ああ。彼は4年混合A組丸山浩紀『先輩』。入部希望者だ」
小華は丸山をお披露目するかのように、彼の前で両手を広げる。『先輩』の言葉にはやはり敬意など微粒子単位でも感じない。
「俺は、希望してねえ」
むすっとして、丸山が答える。
「おや。そうでしたか? それなら、やめておきますか?」
小華の口角が上がる。笑顔だ。けれど、それは笑顔というには黒い何かを内包していた。
「ただ、丸山『先輩』が部員でないなら、庇いきれないかもしれないですが……」
小華はわずかに困ったような表情を浮かべた。芝居がかっている。と、燈は思う。浄眼がなくても、何か良からぬことを考えているのが目に見えるようだ。
「うちの部員が……」
そう言って、小華は燈の横に立って肩に手を置く。
「呪いの標的にされているのを、あなたは知っていましたよね?」
小華の言葉に丸山はぐ。と、喉を鳴らして、黙り込む。
丸山は小林茉優の従兄だそうだ。本家と分家で呪いの作法も近い。最初にあった時点ではともかく、そののちに燈が付きまとわれていることで、少しずつ呪いをかけられていることに気付いていたとしても不思議ではない。
「別に彼女が最初から『燈を狙って近づいた』なんて思ってはいないですよ? たとえ、これが……」
そう言って、小華は、燈の肩を押して、丸山の前に立たせた。
「優秀で、家柄も申し分なく、顔も性格も悪くないとしても。あなたがそれを止めようとして、あの日彼女を追っていたとしても」
「は?」
と、先ほどの再現のように、部員たちの見ている先でドアが開いた。
そこに立っていたのは、燈が想像した通りの人だった。
「丸山。さん?」
走ってきたのか、息を切らせて立っているのは、確かに丸山浩紀だった。呪いに耐性があったおかげで、精神汚染の度合いはひどいものではなく、先日退院したという話は聞いていた。彼は被害者だと燈や紅二が証言したから、刑事罰を受けることもなく、学校に戻れたらしい。
「おい! 集合場所、E号電算室じゃねえじゃねーか」
入ってくるなり、つかつか。と、小華のところまで歩いてきて、彼は言った。
「おや? A号電算室だと言ったはずだが?」
ほとんど表情を変えずに小華は答える。
「Eっつった」
小華のそんな様子にも全く怯まずに、丸山は言い返す。さすがは4年生。と、変なところに感心してしまう。
「……耳が悪いんじゃないですか? 老化が始まっているのかな」
やれやれ。と、両手を広げて、小華がため息交じりに言った。一応、敬語は使ってはいるが、敬意が籠っていない。
「そんなことで、電算部員が務まりますかね?」
「は?」「え?」「んん?」
と、小華が言った一言に、部員たちから声が上がる。驚いていないのは和彦だけだ。
「ちょ。李先輩。部員ってどういうことですか?」
戸惑う部員たちを代表して燈は質問した。
丸山は4年生だ。燈や電算部に対して攻撃する意思があったわけではないけれど、特別好意的でもない。スレイヤー資格も持っているし、一般教養も修了しているから、実習が多い。今さら『文化部』に所属するメリットもないはずだ。
「ああ。彼は4年混合A組丸山浩紀『先輩』。入部希望者だ」
小華は丸山をお披露目するかのように、彼の前で両手を広げる。『先輩』の言葉にはやはり敬意など微粒子単位でも感じない。
「俺は、希望してねえ」
むすっとして、丸山が答える。
「おや。そうでしたか? それなら、やめておきますか?」
小華の口角が上がる。笑顔だ。けれど、それは笑顔というには黒い何かを内包していた。
「ただ、丸山『先輩』が部員でないなら、庇いきれないかもしれないですが……」
小華はわずかに困ったような表情を浮かべた。芝居がかっている。と、燈は思う。浄眼がなくても、何か良からぬことを考えているのが目に見えるようだ。
「うちの部員が……」
そう言って、小華は燈の横に立って肩に手を置く。
「呪いの標的にされているのを、あなたは知っていましたよね?」
小華の言葉に丸山はぐ。と、喉を鳴らして、黙り込む。
丸山は小林茉優の従兄だそうだ。本家と分家で呪いの作法も近い。最初にあった時点ではともかく、そののちに燈が付きまとわれていることで、少しずつ呪いをかけられていることに気付いていたとしても不思議ではない。
「別に彼女が最初から『燈を狙って近づいた』なんて思ってはいないですよ? たとえ、これが……」
そう言って、小華は、燈の肩を押して、丸山の前に立たせた。
「優秀で、家柄も申し分なく、顔も性格も悪くないとしても。あなたがそれを止めようとして、あの日彼女を追っていたとしても」
「は?」
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