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16 熱誠
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「待って、しないつもりでいたんじゃないのか」
晴也の言葉に晶は小さく笑う。
「しないとはひと言も言ってない、よく寝てたから起こさないでおこうと思ったけど」
晶に何か返すのはやめた。というよりは、舌の先で尖ったところをつつかれて、違う声が出てしまった。
「あ……っ、やめ……」
「たまにはもっとして、とかいう言葉も聞きたいなあ」
晴也は目を閉じて、自分の心臓が跳ねるのに耐える。して欲しいとまでは言わなくても、しないのかな、とは思っていた。だから、嫌ではないのだ。ただ、それを晶に悟られたくはない。
晶は上半身裸になって、晴也の寝間着も引っ剥がしてしまった。そのままぎゅっと抱きしめられ、触れ合う肌の感触と温度に頭がくらくらする。
「ハルさん……大好き……」
それを聞いて、何故こんなに懐かれたのだろうかと思う。顎や首に口づけを浴びせられながら、晴也は気持ちいいと感じる分だけ、早くも股間に熱が集まり始めたのを意識した。
晶は再度乳首に舌を這わせながら、ズボンと下着の中に右手を入れてくる。
「待って、あっ!」
緩く立ち上がりかけていたものをいきなり扱かれて、晴也は思わず腰を引いた。構わずに晶の手が動き、下半身につけているものを足から全て脱がされる。
「ショウさん、待って、何でそんな急ぐの」
晴也はぎゅっと掴まれて声を高くした。最近、こんな風に反応するのが当たり前になっている。それが本当に恥ずかしい。
「急いでないよ、俺のペースでやってるだけ……嫌なら言って」
身体を起こした晶は、ひとつ軽い口づけを晴也の額に落としてから、何処からともなくコンドームを取り出した。袋を割いて左手の中指につけ始める。えっ、もう解すのか? 晴也は驚いたが、晶はサイドテーブルに何気に用意されていたローションの蓋を開けて、中身をゴムで覆われた指に落とす。
「はい、福原さん、軽く脚開いてくださーい」
晶に明るく命じられ、お医者さんごっこかと突っ込む余裕も無い晴也は、迷いながら彼の言う通りにする。後ろの穴に、温かくてぬるっとしたものが当たり、そっと分け入ってきた。同時に性器への愛撫が再開する。
にちゃっといやらしい音がして、指が出入りするのがわかる。前を擦られるのはやたらに気持ち良くて、内腿がじんじんしてきた。もう、こんなこと、ほんとにみんなやってるのか? 晴也は目を閉じて、恥ずかしさに耐えた。
「ハルさん、我慢しなくてもいいから好きな時にいって」
晴也は一度、同じようにされていってしまい、晶の顔に精液を引っかけてしまったことを思い出した。晶は異様に興奮して、晴也が触るとすぐに自分もいってしまったのだが、あんなことになるのは嫌だった。
晴也がサイドテーブルに手を伸ばすので、どうしたの、と晶が訊いた。
「おまえの顔には射精しない、あっ」
晴也はいきそうになるのを堪えて、ティッシュの箱を枕元に落とした。
「いくらでもかけてくれたらいいよ……」
「嫌だ、この変態」
晴也は箱に手を突っ込んで、柔らかい紙を掴み出す。晶は中指を奥まで沈め、前を扱く手に力を加えた。脊髄をびりっと駆け上がった電撃に、ああっ、と晴也はのけぞる。
「俺の小鳥ちゃんは何をしてるんだ?」
晶の口調にからかいが混じったのが、やや腹立たしい。しかし快感には抗い難く、晴也はティッシュの束を股間にあてがおうとした。晶は驚いたように言う。
「タオル敷いてるから」
「そういう……問題じゃないっ」
晴也は晶の手ごと、自分のものを掴んだ。このままいってしまえば、晶に恥ずかしいことをさせられなくて済む。爆ぜる寸前のそこに加えられた力は、晴也の頭の中を真っ白にするのに十分だった。
「ハルさん、ちょ……えっ!」
「あ……っ、いく……」
晴也は震えながらティッシュの中に熱い液体を吐き出す。晶は思わずといったように手を離し、後ろの穴からも指を抜いた。
「どうしたんだ、何で俺にやらせてくれないんだよ」
いつもベッドの上では従順な晴也が、突然想定外の行動に出たので、晶の声には微かに苛立ちのようなものが混じっていた。
彼に申し訳なく思ったが、晴也は呼吸を整え、じっとしたまま小さく言った。
「嫌なら言えって言った」
「え……何が嫌だったんだ、ちゃんと教えて」
それでも晶は、ティッシュで晴也のものをきれいに拭いてくれている。
「ショウさんが挿れるために俺のちんこと尻の穴ばっかり弄っておもちゃにするなら……俺ずっと手コキでいい」
晴也は言って、晶の手から逃れるように身体を丸めた。
「おもちゃに……まあ多少してた、嫌だったのか……ごめん」
「こんな風にしたら……ショウさんは尻の周りにしか触れてくれない、デリヘルってこんなんなんだろ? 俺ショウさんと風俗ごっこなんか別にしたくない」
晶は晴也の言葉に、困惑しているようである。晴也もいまひとつ、言いたいことが伝わっていない気がする。どうしよう、これじゃショウさんは誤解してしまう。
「……もっと俺に触れていて欲しい」
晴也は言葉を探しながら、訴える。
「腕の中に抱いて、キスして欲しいんだ」
晶が覗き込んできた。晴也がちょっと顔を上げると、上半身をゆっくりと抱きしめてくれた。温もりに包まれ、思わず深呼吸する。
「こんな風に?」
「……うん」
「そうか、ちんこばっかりじゃ足りないということか……贅沢な小鳥だな……」
いや、そういう意味じゃない。
「ショウさんが座って俺の下半身ばかり触ってたら、俺にはショウさんの顔が見えないし、どれだけ気持ち良くても何だか手持ちぶさたというか……寂しい」
晴也の言葉に晶は小さく笑う。
「しないとはひと言も言ってない、よく寝てたから起こさないでおこうと思ったけど」
晶に何か返すのはやめた。というよりは、舌の先で尖ったところをつつかれて、違う声が出てしまった。
「あ……っ、やめ……」
「たまにはもっとして、とかいう言葉も聞きたいなあ」
晴也は目を閉じて、自分の心臓が跳ねるのに耐える。して欲しいとまでは言わなくても、しないのかな、とは思っていた。だから、嫌ではないのだ。ただ、それを晶に悟られたくはない。
晶は上半身裸になって、晴也の寝間着も引っ剥がしてしまった。そのままぎゅっと抱きしめられ、触れ合う肌の感触と温度に頭がくらくらする。
「ハルさん……大好き……」
それを聞いて、何故こんなに懐かれたのだろうかと思う。顎や首に口づけを浴びせられながら、晴也は気持ちいいと感じる分だけ、早くも股間に熱が集まり始めたのを意識した。
晶は再度乳首に舌を這わせながら、ズボンと下着の中に右手を入れてくる。
「待って、あっ!」
緩く立ち上がりかけていたものをいきなり扱かれて、晴也は思わず腰を引いた。構わずに晶の手が動き、下半身につけているものを足から全て脱がされる。
「ショウさん、待って、何でそんな急ぐの」
晴也はぎゅっと掴まれて声を高くした。最近、こんな風に反応するのが当たり前になっている。それが本当に恥ずかしい。
「急いでないよ、俺のペースでやってるだけ……嫌なら言って」
身体を起こした晶は、ひとつ軽い口づけを晴也の額に落としてから、何処からともなくコンドームを取り出した。袋を割いて左手の中指につけ始める。えっ、もう解すのか? 晴也は驚いたが、晶はサイドテーブルに何気に用意されていたローションの蓋を開けて、中身をゴムで覆われた指に落とす。
「はい、福原さん、軽く脚開いてくださーい」
晶に明るく命じられ、お医者さんごっこかと突っ込む余裕も無い晴也は、迷いながら彼の言う通りにする。後ろの穴に、温かくてぬるっとしたものが当たり、そっと分け入ってきた。同時に性器への愛撫が再開する。
にちゃっといやらしい音がして、指が出入りするのがわかる。前を擦られるのはやたらに気持ち良くて、内腿がじんじんしてきた。もう、こんなこと、ほんとにみんなやってるのか? 晴也は目を閉じて、恥ずかしさに耐えた。
「ハルさん、我慢しなくてもいいから好きな時にいって」
晴也は一度、同じようにされていってしまい、晶の顔に精液を引っかけてしまったことを思い出した。晶は異様に興奮して、晴也が触るとすぐに自分もいってしまったのだが、あんなことになるのは嫌だった。
晴也がサイドテーブルに手を伸ばすので、どうしたの、と晶が訊いた。
「おまえの顔には射精しない、あっ」
晴也はいきそうになるのを堪えて、ティッシュの箱を枕元に落とした。
「いくらでもかけてくれたらいいよ……」
「嫌だ、この変態」
晴也は箱に手を突っ込んで、柔らかい紙を掴み出す。晶は中指を奥まで沈め、前を扱く手に力を加えた。脊髄をびりっと駆け上がった電撃に、ああっ、と晴也はのけぞる。
「俺の小鳥ちゃんは何をしてるんだ?」
晶の口調にからかいが混じったのが、やや腹立たしい。しかし快感には抗い難く、晴也はティッシュの束を股間にあてがおうとした。晶は驚いたように言う。
「タオル敷いてるから」
「そういう……問題じゃないっ」
晴也は晶の手ごと、自分のものを掴んだ。このままいってしまえば、晶に恥ずかしいことをさせられなくて済む。爆ぜる寸前のそこに加えられた力は、晴也の頭の中を真っ白にするのに十分だった。
「ハルさん、ちょ……えっ!」
「あ……っ、いく……」
晴也は震えながらティッシュの中に熱い液体を吐き出す。晶は思わずといったように手を離し、後ろの穴からも指を抜いた。
「どうしたんだ、何で俺にやらせてくれないんだよ」
いつもベッドの上では従順な晴也が、突然想定外の行動に出たので、晶の声には微かに苛立ちのようなものが混じっていた。
彼に申し訳なく思ったが、晴也は呼吸を整え、じっとしたまま小さく言った。
「嫌なら言えって言った」
「え……何が嫌だったんだ、ちゃんと教えて」
それでも晶は、ティッシュで晴也のものをきれいに拭いてくれている。
「ショウさんが挿れるために俺のちんこと尻の穴ばっかり弄っておもちゃにするなら……俺ずっと手コキでいい」
晴也は言って、晶の手から逃れるように身体を丸めた。
「おもちゃに……まあ多少してた、嫌だったのか……ごめん」
「こんな風にしたら……ショウさんは尻の周りにしか触れてくれない、デリヘルってこんなんなんだろ? 俺ショウさんと風俗ごっこなんか別にしたくない」
晶は晴也の言葉に、困惑しているようである。晴也もいまひとつ、言いたいことが伝わっていない気がする。どうしよう、これじゃショウさんは誤解してしまう。
「……もっと俺に触れていて欲しい」
晴也は言葉を探しながら、訴える。
「腕の中に抱いて、キスして欲しいんだ」
晶が覗き込んできた。晴也がちょっと顔を上げると、上半身をゆっくりと抱きしめてくれた。温もりに包まれ、思わず深呼吸する。
「こんな風に?」
「……うん」
「そうか、ちんこばっかりじゃ足りないということか……贅沢な小鳥だな……」
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