夜は異世界で舞う

穂祥 舞

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16 熱誠

19

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 晶は晴也を抱く腕を少し緩めて、晴也がどんな表情をしているのかを確かめるように、顔をじっと見てきた。

「……ハルさんの希望はたぶん理解した、ちんこが可愛過ぎて集中し過ぎたのは反省する」

 ベクトルがやや変だが、晶は真面目に晴也に向かい合ってくれてはいる。

「ハルさんはこういう時凄く女子なんだな、そこを満たすには……ほぐれたら早めにれるほうがいいのかも」
「……そうなの?」
「よし、やろう」

 勝手に決めた晶はズボンを脱ぎ始める。彼の別人格は雄々しく屹立していて、水を差したことが申し訳なかった。晴也の見ている前で、それはコンドームを手早く被せられる。男とする時も使うのかと晴也は思いながら、身体を起こした。

「だいぶ解れてるから、俺のちんこの上に座ってみて」

 新しいステップを教えるかのような晶のてきぱきした指示に、晴也は首を傾げた。……座る?
 晴也の反応に苦笑した彼は少し脚を開き、晴也の二の腕を軽く引く。

「俺の脚をまたぐだろ? そう、こうなる訳だ、これが騎乗位です」

 確かに顔は良く見えた。ただ、寝ている時に顔を見合わせるよりも、晶の逞しい脚の上に座り真っ正面から向かい合うほうが、何故か数倍照れくさかった。
 晶が晴也の腰を両手で抱いて、尻の割れ目に自分の硬いものをこつんと当てる。晴也はぎょっとして尻を上げ、おかしな体勢になってしまった。晶はローションを手に出し、コンドームの上から手早く塗りつける。

「その格好何かそそられるけど……さあどうぞ、顔を見てセックスできるのは俺も嬉しい」

 晴也は戸惑うが、晶は晴也の腰を抱いて引き寄せる。そして自分が腰を動かして、晴也の穴に先っぽをこすりつけてきた。ローションでぬるぬるして、生温かい。

「……このまま挿れるのか?」
「初心者はこの体勢が楽なはずだ、痛かったらすぐやめて」

 晴也は晶のものと顔を順番に見た。彼は楽しげである。何だか大昔の拷問を連想するが、目を閉じて恐る恐る腰を落とす。指とは太さがかなり違うが、先っぽを受け入れた感触があった。
 あ、入った。胸がどきどきする。

「そうそう、ゆっくり……途中まででもいい、チャレンジだ」

 熱い棒がみちっと中を満たしていく。痛くはないが、質量が指とは全く違い、きつかった。

「ぱつぱつだよ……ショウさん大丈夫?」

 これでは晶も痛いのではないかと晴也は思ったが、意外にも晶はとろけた顔になっていた。

「大丈夫だハルさん、柔らかいのにきゅっときつくて、たまらないんだけど……」
「そっ、そうなのか、気持ち、いいのか?」

 晴也は細切れに言った。晶はうん、と頷く。がぜんやる気になる自分が、晴也は可笑しくなる。

「ハルさん、息を止めないで、脚で支える力以外はなるべく楽にして」

 腹の奥のほうが内側から圧迫される。違和感に思わず腰をむずむず動かすと、晶が小さく喘いだ。晴也は驚いたが、彼が気持ち良さそうなのが、ちょっとときめく。

「あ、ほんとぱつぱつだ……めちゃくちゃ気持ちいいけど、痛くない? 俺のために無理するなよ」
「大丈夫、何とか進めそう」

 秘境の探検かよ。晴也は笑いそうになった。それにしても、半目になり口をわずかに開く晶が、エロいことこのかたない。胸がきゅんとなる。
 ああ、ショウさんでいっぱいだ。晴也は晶の骨盤の上に、座骨が乗るのを感じた。女の人は、まあ一緒ではないけど、挿れられたらこんな感覚で、こんな気持ちになるんだな。
 何も話さず少し見つめ合って、唇を重ねた。晴也は、自分がこういう触れ合いかたを求めていたと合点し、幸せな気持ちになる。

「全部入った、もういきそう」

 晶は満足そうに言い、ちらっと晴也のものを見た。

「さっき1回いったから元気ないなぁ、今気持ち良くはない?」

 お世辞にも気持ちいいとは言えなかった。でも、悪い気分ではない。

「快感ではない、でも気持ち良さそうなショウさんを見てたら嬉しいからいい」

 晶は晴也の言葉に目を見開いて、久しぶりに目尻を下げたデロデロに溶けた表情を見せた。

「ああ、ハルさんは女神だ、ほんと大好き……我慢できないよ、ちょっと動いていい? 痛かったらすぐにやめるから」

 晴也がよくわからないまま頷くと、晶はこつんと腰を動かした。接合している場所から、微かにぬめった音がして、晴也の身体も僅かに持ち上がる。
 晴也が痛みを訴えなかったからか、晶は腰でリズムを小さく刻み始めた。上半身のバランスが取りにくいので、晴也は彼の両肩に手を置く。前傾姿勢になると、ぱつぱつに入っている晶の別人格が、中で擦れるのがわかった。

「あ……」

 思わず声が出た。内側の壁と接合部に摩擦が起きるのが、淡く未知の感覚をもたらす。
 晶は晴也の反応に気を良くしたように、ゆっくりと腰を上下させ続けた。

「あっ、ハルさん、あんまり保たないから、後でちゃんと、ああ、もう一度っ、いかせるから」

 晶は言葉を喘ぎに変えながら言った。それが可愛らしくて、揺らされている晴也は狙いを定め、彼の頬に唇を押しつける。

「うん、任せる、痛くないから、いいようにして」

 晴也もリズムに合わせて少しずつ話した。そのまま晶の首に腕を巻きつけると、彼にあやされているような気分になる。腰を抱かれ、下半身の微妙なところを擦られるのは悪くなかった。
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