最低級の探索者 幻のダンジョンを制覇し無敵の人と化す

カイガ

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18「迷惑系配信者たちを分からせる」2

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 「リスナーたちへの誤魔化しは、この勘違い野郎をどこかに埋めてから考えよっか」

 吉原の言葉に撮影者とスタッフは頷き、ナイフや鈍器を手に武装しはじめる。こいつらも探索者の資格持ちで、Dランクのエリアをうろつけるくらいは戦えるようだ。

 「勘違い?それは僕のことか?」
 「たりめーだろ。最低級のゴミが、何僕の動画配信をディスってんだ?とうとう人の悪口まで叩くようになったのかよ。弱者でクズとか、もう救いようがねーよな」
 「悪口叩いてんのはテメェも同じだろが。自分のこと棚に上げてんじゃねーぞオイ」
 「はぁ~~~?僕別にきみに悪口なんて言ってないけどぉ~~?事実を言った、ま・で・だ・か・らーーーっ」
 
 吉原のふざけた言い分に、怒りの沸点が再びピークに達する。

 「じゃあ何か、今までの僕に対する罵詈雑言には、悪意が無かったと?僕に対して悪いことを言ったとすら思ってなかったと。今までずっと、自覚無しにディスってたわけだ」
 「おいおい余裕かましてて良いのかな~?お喋りしてる暇があるならとっととここから逃げ出すべきだろうに。まあ、もう手遅れなんだけど」

 吉原がニチャっと笑って目配せする先には、撮影スタッフたちが僕の行く手を塞いでいた。

 「逃げる……?馬鹿が、くそムカつくテメェらを置いて、何で逃げなきゃならねーんだよ……っっ」
 「………え?ちょ、お前っ、何それ変身……!?」

 僕の声が途中から野太いものとなり、それに合わせて身体が大きく、膨れ上がる。内側から力がどんどん溢れてくる。そして殺意や破壊衝動まで膨れ上がり、危険な思考と思想が呼び起こされる。
 固有スキル「卑屈症候群」――このスキルは一日に何度使えるのだろうか。いざって時のこと考えて、検証する必要があるな。
 
 「まァいいや。今はそんな難しいこと考えてねーで、目の前のムカつくゴミクズどもをぐちゃぐちゃにしよーーーーーぜっ!!」

 ドン!地面を強く蹴って、吉原に飛びかかる。僕に気圧されたのか吉原は「うわ!?」と悲鳴を上げると、後ろに向かって走った。
 そんなスピードで僕から逃げられるかよ!――と両目をぎらつかせながら足が地面に着いた瞬間―――ボカンと爆発が起こった。

 「ばぁぁ~~か!まんまと引っかかりやがった!僕がきみにビビって逃げたとでも思ったか!こんな罠にかかる程度の雑魚なんかに!底辺を這いずり回っているきみ如きには、こういう搦め手に気付くことなんて、でき……な………い――?」

 自慢の爆弾トラップが作動してイキり散らしていた吉原だったが、ノーダメージの僕を目にした途端言葉をすぼめていく。ノーダメージ…は誇張が過ぎたな。江崎から奪ったもらったオーブが爆発でボロボロとなってしまった。ちっ、またシャツ一枚になっちまったじゃねーか…!
 着れなくなったオーブを吉原の顔に投げつけて、視界を奪う。

 「ぶっ!?何だこれは―――」
 
 オーブに視界を塞がれ慌てる吉原の右足を左手で握り、そのまま片手で持ち上げてやる。

 「ぅおおおおお―――――!?」

 狼狽える吉原の声が地面に近づくにつれて耳に近づき、そして――
 バガァン!顔面が地面におもいきり衝突した!

 ニィイと口の端を歪めて笑うと、もう一度片手で吉原を頭上まで持ち上げ、さっき以上の速度で吉原の顔や体を、地面に強く叩きつけてやる!
 
 ビタァアン!「ば……あ゛―――っ」
 
 顔が地面にへばりついてる為、ちゃんとした悲鳴が聞けない。
 
 「うっすいリアクションだな~~?テメェもタレントの端くれなら、もちっと良いリアクションをとれよなァ!」

 そう言葉をかけて吉原の足を掴んだまま近くの木までダッシュして、その木に背中をビタァンと叩きつけてやった。

 「ぅぼあ、あ゛……っ」
 「はぁ~~~あ。なんてつまんねぇリアクションだ。もういいや、ぐちゃぐちゃにしよう」

 がっかりしたため息をついた後すぐ、僕は散歩でもするかのように周囲をぐるぐるしながら、吉原を地面や木に何度も何度も強く叩きつけてやった。

 ビタン!ドガッ!グシャッ!「フン、フンフ~~~~~ン♪」
 
 地面に叩きつける度に舞い上がる吉原の血や歯。どこかの骨が折れて砕ける音。餅をこねて搗くように、肉を潰す感触。そのどれもが僕に心地よさがもたらされて、最高に気分が高揚する。
 反対に吉原の仲間たちは揃いも揃って悪夢でも見ているかのような、間抜け面を晒していた。そんなあいつらにちょっかいをかけてやろうと、吉原を持ち上げては地面に叩きつけながらこっちから近づいてやった。
 連中は怯みはしたものの、退くことはせず、ナイフを持った男が吉原に対する攻撃を止めさせようと僕目がけてナイフを投げつけてきた。
 
 「バ~~~リアっ」
 グサッ「ぎゃあああああああーーー!」

 男が投げたナイフは吉原の肩甲骨にぶっ刺さってしまった!馬鹿が、味方に当ててやんの!まあ実際は僕が咄嗟に吉原を盾にしたんだが。
 ナイフを投げた男が狼狽して隙を見せたので、今度は僕が吉原をブン投げて、ナイフ使いの男に命中させた。強烈な衝撃に男は白目を剥いて気絶した。それを見た残りがさらに浮足立って隙を晒したので、空間収納ボックスから取り出した拳銃で発砲し、全員を無力化させた。
 拳銃だけでは飽き足らず、動けなくなった連中を一人ずつ踏みつけ、奪ったナイフで手足をぶっ刺して、完全に起き上がれなくさせてやった!

 「ふい~~~っ。とりあえずこんなもんか。さぁ~~て、後は……オイ、いつまで寝転がったままだ、アアン!?」

 ドコッ「ぐほご……ぅ」

 腹を蹴ってやると吉原は血が混じったよだれを吐き散らしながらも、膝を使って立ち上がる。

 「ほー、国内200位内だけあって、あれくらいの暴力を受けてもまだ壊れねーか。へへ、まだまだ甚振り甲斐がありそうだな」

 邪悪な笑みを浮かべながら指をバキボキ鳴らしてやると、吉原は顔を真っ青にさせて後ずさる。すかさず距離を詰めようとした…その時、

 ガッッ 両足が何かに挟み付けられた。足下を見下ろすと左右の足首どちらにもギザギザ尖った物が、噛みつくように足首に刃を立てていた。邪魔なので二つとも足首から引き離す。
 よく見るとこれは魔物相手を想定して改造されたトラバサミだ。かかれば刃が足首に深く刺さるか、切断する威力をもつトラップアイテムだ。まあ、今の僕には文字通り刃が立たなかったようだがなぁ!

 「そんな、馬鹿な!?人間の足なら余裕でちょん切ってみせる威力に改造した、特製のトラバサミが、通用しないなんて………」
 「危ねぇもんつくりやがって!つーかまだそんな小細工が出来る余裕あるみてぇだなーー!」
 
 その場で跳躍して、吉原の真上から急降下し、パワーと体重が乗ったドロップキックを叩き込んだ!相手の肋骨か胸骨かが砕ける音がした。

 「そういやテメェは罠を駆使した戦いが得意なんだったな。油断ならねぇなー。これ以上下らねぇ手を打たせねぇよう、もっとぶっ壊しておくか!」
 
 ドォンドォン!拳銃で手指を吹き飛ばして……
 グサグサ、ドシュ!スキル「錬成」でつくった三叉の槍で腕と脚を執拗に刺しまくった!

 「あああああああああーーー!いやあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」

 吉原は涙と鼻水を垂らしながら、無様にみっともなく泣き喚き散らしましたとさ!
 
 「ひゃっひゃっひゃっ!ひゃーーーっはっはっはぁーーーーー!!最っ高の気分だぜぇ!!」

 手指が全て吹き飛ばされ、文字通り指一本動かせなくなった吉原の頭に足を置いて、ぐりぐりとにじってやる。

 「なァオイ。よくも僕の醜態を動画にして、ネットに上げやがったな。人の必死な姿を笑いものに仕立て上げて、僕の尊厳を踏みにじって貶めたことで、テメェはネットの人気者にのし上がりやがった!!
 テメェの人気アップの為に踏み台にした僕の怒りと屈辱と憎しみを、思い知りやがれえええええええーーー!!」
 ミシメシミシ……ッ「ぎ、、、、ゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ、ごべんなざい。すみまぜんでじだぁあああ……!
 「あア!?今さら泣いて謝ったっておせぇんだよ!!言ったろ、テメェはぐちゃぐちゃにした後、ぶっ殺してやるってな」

 慈悲の無い殺害予告をしてやると、吉原の絶望の表情がさらに濃く見えるようになった。
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