18 / 60
18「迷惑系配信者たちを分からせる」2
しおりを挟む「リスナーたちへの誤魔化しは、この勘違い野郎をどこかに埋めてから考えよっか」
吉原の言葉に撮影者とスタッフは頷き、ナイフや鈍器を手に武装しはじめる。こいつらも探索者の資格持ちで、Dランクのエリアをうろつけるくらいは戦えるようだ。
「勘違い?それは僕のことか?」
「たりめーだろ。最低級のゴミが、何僕の動画配信をディスってんだ?とうとう人の悪口まで叩くようになったのかよ。弱者でクズとか、もう救いようがねーよな」
「悪口叩いてんのはテメェも同じだろが。自分のこと棚に上げてんじゃねーぞオイ」
「はぁ~~~?僕別にきみに悪口なんて言ってないけどぉ~~?事実を言った、ま・で・だ・か・らーーーっ」
吉原のふざけた言い分に、怒りの沸点が再びピークに達する。
「じゃあ何か、今までの僕に対する罵詈雑言には、悪意が無かったと?僕に対して悪いことを言ったとすら思ってなかったと。今までずっと、自覚無しにディスってたわけだ」
「おいおい余裕かましてて良いのかな~?お喋りしてる暇があるならとっととここから逃げ出すべきだろうに。まあ、もう手遅れなんだけど」
吉原がニチャっと笑って目配せする先には、撮影スタッフたちが僕の行く手を塞いでいた。
「逃げる……?馬鹿が、くそムカつくテメェらを置いて、何で逃げなきゃならねーんだよ……っっ」
「………え?ちょ、お前っ、何それ変身……!?」
僕の声が途中から野太いものとなり、それに合わせて身体が大きく、膨れ上がる。内側から力がどんどん溢れてくる。そして殺意や破壊衝動まで膨れ上がり、危険な思考と思想が呼び起こされる。
固有スキル「卑屈症候群」――このスキルは一日に何度使えるのだろうか。いざって時のこと考えて、検証する必要があるな。
「まァいいや。今はそんな難しいこと考えてねーで、目の前のムカつくゴミクズどもをぐちゃぐちゃにしよーーーーーぜっ!!」
ドン!地面を強く蹴って、吉原に飛びかかる。僕に気圧されたのか吉原は「うわ!?」と悲鳴を上げると、後ろに向かって走った。
そんなスピードで僕から逃げられるかよ!――と両目をぎらつかせながら足が地面に着いた瞬間―――ボカンと爆発が起こった。
「ばぁぁ~~か!まんまと引っかかりやがった!僕がきみにビビって逃げたとでも思ったか!こんな罠にかかる程度の雑魚なんかに!底辺を這いずり回っているきみ如きには、こういう搦め手に気付くことなんて、でき……な………い――?」
自慢の爆弾トラップが作動してイキり散らしていた吉原だったが、ノーダメージの僕を目にした途端言葉をすぼめていく。ノーダメージ…は誇張が過ぎたな。江崎から奪ったオーブが爆発でボロボロとなってしまった。ちっ、またシャツ一枚になっちまったじゃねーか…!
着れなくなったオーブを吉原の顔に投げつけて、視界を奪う。
「ぶっ!?何だこれは―――」
オーブに視界を塞がれ慌てる吉原の右足を左手で握り、そのまま片手で持ち上げてやる。
「ぅおおおおお―――――!?」
狼狽える吉原の声が地面に近づくにつれて耳に近づき、そして――
バガァン!顔面が地面におもいきり衝突した!
ニィイと口の端を歪めて笑うと、もう一度片手で吉原を頭上まで持ち上げ、さっき以上の速度で吉原の顔や体を、地面に強く叩きつけてやる!
ビタァアン!「ば……あ゛―――っ」
顔が地面にへばりついてる為、ちゃんとした悲鳴が聞けない。
「うっすいリアクションだな~~?テメェもタレントの端くれなら、もちっと良いリアクションをとれよなァ!」
そう言葉をかけて吉原の足を掴んだまま近くの木までダッシュして、その木に背中をビタァンと叩きつけてやった。
「ぅぼあ、あ゛……っ」
「はぁ~~~あ。なんてつまんねぇリアクションだ。もういいや、ぐちゃぐちゃにしよう」
がっかりしたため息をついた後すぐ、僕は散歩でもするかのように周囲をぐるぐるしながら、吉原を地面や木に何度も何度も強く叩きつけてやった。
ビタン!ドガッ!グシャッ!「フン、フンフ~~~~~ン♪」
地面に叩きつける度に舞い上がる吉原の血や歯。どこかの骨が折れて砕ける音。餅をこねて搗くように、肉を潰す感触。そのどれもが僕に心地よさがもたらされて、最高に気分が高揚する。
反対に吉原の仲間たちは揃いも揃って悪夢でも見ているかのような、間抜け面を晒していた。そんなあいつらにちょっかいをかけてやろうと、吉原を持ち上げては地面に叩きつけながらこっちから近づいてやった。
連中は怯みはしたものの、退くことはせず、ナイフを持った男が吉原に対する攻撃を止めさせようと僕目がけてナイフを投げつけてきた。
「バ~~~リアっ」
グサッ「ぎゃあああああああーーー!」
男が投げたナイフは吉原の肩甲骨にぶっ刺さってしまった!馬鹿が、味方に当ててやんの!まあ実際は僕が咄嗟に吉原を盾にしたんだが。
ナイフを投げた男が狼狽して隙を見せたので、今度は僕が吉原をブン投げて、ナイフ使いの男に命中させた。強烈な衝撃に男は白目を剥いて気絶した。それを見た残りがさらに浮足立って隙を晒したので、空間収納ボックスから取り出した拳銃で発砲し、全員を無力化させた。
拳銃だけでは飽き足らず、動けなくなった連中を一人ずつ踏みつけ、奪ったナイフで手足をぶっ刺して、完全に起き上がれなくさせてやった!
「ふい~~~っ。とりあえずこんなもんか。さぁ~~て、後は……オイ、いつまで寝転がったままだ、アアン!?」
ドコッ「ぐほご……ぅ」
腹を蹴ってやると吉原は血が混じったよだれを吐き散らしながらも、膝を使って立ち上がる。
「ほー、国内200位内だけあって、あれくらいの暴力を受けてもまだ壊れねーか。へへ、まだまだ甚振り甲斐がありそうだな」
邪悪な笑みを浮かべながら指をバキボキ鳴らしてやると、吉原は顔を真っ青にさせて後ずさる。すかさず距離を詰めようとした…その時、
ガッッ 両足が何かに挟み付けられた。足下を見下ろすと左右の足首どちらにもギザギザ尖った物が、噛みつくように足首に刃を立てていた。邪魔なので二つとも足首から引き離す。
よく見るとこれは魔物相手を想定して改造されたトラバサミだ。かかれば刃が足首に深く刺さるか、切断する威力をもつトラップアイテムだ。まあ、今の僕には文字通り刃が立たなかったようだがなぁ!
「そんな、馬鹿な!?人間の足なら余裕でちょん切ってみせる威力に改造した、特製のトラバサミが、通用しないなんて………」
「危ねぇもんつくりやがって!つーかまだそんな小細工が出来る余裕あるみてぇだなーー!」
その場で跳躍して、吉原の真上から急降下し、パワーと体重が乗ったドロップキックを叩き込んだ!相手の肋骨か胸骨かが砕ける音がした。
「そういやテメェは罠を駆使した戦いが得意なんだったな。油断ならねぇなー。これ以上下らねぇ手を打たせねぇよう、もっとぶっ壊しておくか!」
ドォンドォン!拳銃で手指を吹き飛ばして……
グサグサ、ドシュ!スキル「錬成」でつくった三叉の槍で腕と脚を執拗に刺しまくった!
「あああああああああーーー!いやあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」
吉原は涙と鼻水を垂らしながら、無様にみっともなく泣き喚き散らしましたとさ!
「ひゃっひゃっひゃっ!ひゃーーーっはっはっはぁーーーーー!!最っ高の気分だぜぇ!!」
手指が全て吹き飛ばされ、文字通り指一本動かせなくなった吉原の頭に足を置いて、ぐりぐりとにじってやる。
「なァオイ。よくも僕の醜態を動画にして、ネットに上げやがったな。人の必死な姿を笑いものに仕立て上げて、僕の尊厳を踏みにじって貶めたことで、テメェはネットの人気者にのし上がりやがった!!
テメェの人気アップの為に踏み台にした僕の怒りと屈辱と憎しみを、思い知りやがれえええええええーーー!!」
ミシメシミシ……ッ「ぎ、、、、ゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ、ごべんなざい。すみまぜんでじだぁあああ……!
「あア!?今さら泣いて謝ったっておせぇんだよ!!言ったろ、テメェはぐちゃぐちゃにした後、ぶっ殺してやるってな」
慈悲の無い殺害予告をしてやると、吉原の絶望の表情がさらに濃く見えるようになった。
23
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
クラス転移したからクラスの奴に復讐します
wrath
ファンタジー
俺こと灞熾蘑 煌羈はクラスでいじめられていた。
ある日、突然クラスが光輝き俺のいる3年1組は異世界へと召喚されることになった。
だが、俺はそこへ転移する前に神様にお呼ばれし……。
クラスの奴らよりも強くなった俺はクラスの奴らに復讐します。
まだまだ未熟者なので誤字脱字が多いと思いますが長〜い目で見守ってください。
閑話の時系列がおかしいんじゃない?やこの漢字間違ってるよね?など、ところどころにおかしい点がありましたら気軽にコメントで教えてください。
追伸、
雫ストーリーを別で作りました。雫が亡くなる瞬間の心情や死んだ後の天国でのお話を書いてます。
気になった方は是非読んでみてください。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。
異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。
せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。
そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。
これは天啓か。
俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。
転落貴族〜千年に1人の逸材と言われた男が最底辺から成り上がる〜
ぽいづん
ファンタジー
ガレオン帝国の名門貴族ノーベル家の長男にして、容姿端麗、眉目秀麗、剣術は向かうところ敵なし。
アレクシア・ノーベル、人は彼のことを千年に1人の逸材と評し、第3皇女クレアとの婚約も決まり、順風満帆な日々だった
騎士学校の最後の剣術大会、彼は賭けに負け、1年間の期限付きで、辺境の国、ザナビル王国の最底辺ギルドのヘブンズワークスに入らざるおえなくなる。
今までの貴族の生活と正反対の日々を過ごし1年が経った。
しかし、この賭けは罠であった。
アレクシアは、生涯をこのギルドで過ごさなければいけないということを知る。
賭けが罠であり、仕組まれたものと知ったアレクシアは黒幕が誰か確信を得る。
アレクシアは最底辺からの成り上がりを決意し、復讐を誓うのであった。
小説家になろうにも投稿しています。
なろう版改稿中です。改稿終了後こちらも改稿します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる