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第15話 冒険者ギルド
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俺は卒業試験に合格した翌日、両親と話し合いをしていた。
「ダグラスは学校に行きたいかい?」
「ううん、それより冒険者になりたい!」
「そうなのね。あなた、どう思う?」
「いいんじゃないかな?卒業試験に合格したら冒険者登録を許すつもりだったし。」
「やった!約束だよ?」
「うん、約束ね。」
この世界では12歳が成人で10歳~12歳は学校に通うことが通例とされている。
しかし、家庭教師の指導のおかげで履修内容はすでに終わっており、俺は学校に通う価値を感じなかった。
冒険者ギルドは10歳から登録が可能である。
少しして誕生日になり、俺は10歳になった。
「ダグラス、冒険者登録しておいで!」
「うん!ありがとう父さん!」
俺は父さんとの約束通り、冒険者登録をしに街の冒険者ギルドに向かった。
念願だったので胸が弾んだ。
父さんが治めているここヴァーリ領は自然に囲まれており、その分魔物も多いらしい。
そのせいか騎士団や魔法騎士団の団員数が多く、その上一人一人が強い。
俺は初めて家を出て街に行った。
そこはとても賑やかで笑顔で溢れていた。
『父さんは領主として優秀だったんだ…すごいな!』
そう思いながら、俺は冒険者ギルドへと足を運んだ。
ドアを開けてギルドに入ると、クエストが貼ってある看板とそれを見る大きな人、奥のカウンターでギルド職員と相談している人、談笑をしている人などたくさんの人がいた。
俺はその陽気な雰囲気と人込みに飲み込まれながらもカウンターへ向かった。
そこにはきれいなお姉さんと優しそうなおじさんのギルド職員がいた。
お姉さんは忙しそうだったので、俺はおじさんの方へ向かった。
「おじさん、冒険者登録をしに来ました!」
「はい。ちょっと待っててね。」
そう言ってカウンターの奥に行った。
子供が来ると誰かしら絡んだりしてきそうなものだが、そんなことはなかった。
「じゃあまずここに名前と習得しているスキルを書いてね。」
「はい!」
名前:ダグラス
スキル:片手剣A 両手剣C 細剣C 短剣C 槍B 弓C 盾A 体術A
俺は貴族だとばれたら何かと問題に巻き込まれそうなので、ダグラスとだけ書いた。
また、師匠たちに習っていないスキルは伏せた。
「…これ嘘書いてない?」
「嘘じゃありません、本当です!」
「そっか。一応鑑定機で測るからちょっと待っててね!」
俺は偽装スキルですでにステータスを偽っているので準備万端だった。
ギルド員が鑑定機をもって帰ってきた。
「じゃあここの水晶の上に手をのせてね。」
「はい。」
手をのせると、ステータスウィンドウがギルド員のほうに浮かび上がった。
すると次の瞬間、ギルド員の顔が真っ青になった。
「し、失礼しました!あ、あなたがアイザック家の方だと知らず、無礼を働いてしまいました。申し訳ございません!」
と、突然大きな声で謝られた。
『あ…やべ。名前偽装するの忘れてた。』
今まで騒がしかったギルドは急に静かになり、注目されてしまった。
「だ、大丈夫ですから気にしないでください!そ、それに俺もこれから冒険者です!
だから身分とかそんな些細なことは気にしません!むしろ、俺のほうが新参者なのでいろいろ教えてください!」
混乱しながらもなんとか答えた。
「ワッハッハッハ!確かにその通りだな!威勢のいい坊ちゃんじゃないか!」
近くで談笑していた大男がそう言うと、
「違いねぇ!これからよろしくな小僧!」
「小さな冒険者の誕生だ!」
「小さなは余計だよ!」
「ワッハッハ!」
ギルド内はまた騒がしさを取り戻した。
俺は少し気恥ずかしくなった。
「ありがとうございます。カードを作ってきますね。」
「あ、あの!少し相談があるんですけど…」
「分かりました。では少々お待ちください。」
少ししてギルド職員が冒険者カードを持ってきた。
相談通り、名前はただの”ダグラス”にしてもらった。
「では、ここに血を一滴垂らしてください。」
俺はペーパーナイフで親指の先を切り、血を垂らした。
「はい、これで登録完了だよ。」
「ありがとうございます!」
「では、冒険者ギルドの説明をしますがいいですか?」
「お願いします!」
話の内容をまとめる。
冒険者ギルドはF~Sのランク制になっている。
F→EはFランクのクエストを50回、
E→DはEランクのクエストを100回、
D→CはDランクのクエストを300回、
C→BはCランクのクエストを500回、
B→AはBランクのクエストを1000回達成することで昇格試験を受ける権利を得て、その試験に合格するとランクが上がる。
A→SはAランクのクエストを2000回達成することで昇格試験を受ける権利を得て、その試験に合格するとランクが上がる。
また、例外として現・元Sランク冒険者の推薦やギルドマスター、国王の推薦をもらうことでランクが上がる。
クエストには有効期限があり、失敗すると違約金を払わなければならない。
違約金はクエスト報酬の1/5と、まあまあ高い。
クエストは自分の冒険者ランク+1までしか受けられない。
(俺の場合、FランクだからEランクまでということになる。)
犯罪を犯すとギルドカードが永久凍結される。
ギルドカードは自動的に行動が記録されるからすぐにわかるらしい。
と、大体こんな感じだ。
ちょうど昼頃になったので、一度自宅へ帰った。
「おかえり!」
「無事登録できたかい?」
「うん。ただ、アイザック家の人だとばれて少し騒ぎになったけどね。」
「そうだったのか。まあ気にするな。そのうち慣れるさ!」
その後父さんと昼食をとった。
「ダグラス、少し話があるんだけどいいかな?」
「どうしたの父さん?」
「ダグラスが登録に行っている間に母さんと話したんだけど…
そんなに生き急ぐことはないし心配だから12歳になって成人するまでは昇格しないでもらえるかな?」
「えぇ…それは嫌だよ。できるクエストの幅が少ないからせめてEランクには昇格したい。」
「そうか…じゃあ分かった。Eランクまでならいいよ。ただし、くれぐれも無茶しないでよ?」
「うん!わかってる。」
「21時には帰ってくるんだよ!(この世界は一日=30時間なので前世の17時くらい)」
「はーい!」
そう言って俺はまた冒険者ギルドに向かった。
「ダグラスは学校に行きたいかい?」
「ううん、それより冒険者になりたい!」
「そうなのね。あなた、どう思う?」
「いいんじゃないかな?卒業試験に合格したら冒険者登録を許すつもりだったし。」
「やった!約束だよ?」
「うん、約束ね。」
この世界では12歳が成人で10歳~12歳は学校に通うことが通例とされている。
しかし、家庭教師の指導のおかげで履修内容はすでに終わっており、俺は学校に通う価値を感じなかった。
冒険者ギルドは10歳から登録が可能である。
少しして誕生日になり、俺は10歳になった。
「ダグラス、冒険者登録しておいで!」
「うん!ありがとう父さん!」
俺は父さんとの約束通り、冒険者登録をしに街の冒険者ギルドに向かった。
念願だったので胸が弾んだ。
父さんが治めているここヴァーリ領は自然に囲まれており、その分魔物も多いらしい。
そのせいか騎士団や魔法騎士団の団員数が多く、その上一人一人が強い。
俺は初めて家を出て街に行った。
そこはとても賑やかで笑顔で溢れていた。
『父さんは領主として優秀だったんだ…すごいな!』
そう思いながら、俺は冒険者ギルドへと足を運んだ。
ドアを開けてギルドに入ると、クエストが貼ってある看板とそれを見る大きな人、奥のカウンターでギルド職員と相談している人、談笑をしている人などたくさんの人がいた。
俺はその陽気な雰囲気と人込みに飲み込まれながらもカウンターへ向かった。
そこにはきれいなお姉さんと優しそうなおじさんのギルド職員がいた。
お姉さんは忙しそうだったので、俺はおじさんの方へ向かった。
「おじさん、冒険者登録をしに来ました!」
「はい。ちょっと待っててね。」
そう言ってカウンターの奥に行った。
子供が来ると誰かしら絡んだりしてきそうなものだが、そんなことはなかった。
「じゃあまずここに名前と習得しているスキルを書いてね。」
「はい!」
名前:ダグラス
スキル:片手剣A 両手剣C 細剣C 短剣C 槍B 弓C 盾A 体術A
俺は貴族だとばれたら何かと問題に巻き込まれそうなので、ダグラスとだけ書いた。
また、師匠たちに習っていないスキルは伏せた。
「…これ嘘書いてない?」
「嘘じゃありません、本当です!」
「そっか。一応鑑定機で測るからちょっと待っててね!」
俺は偽装スキルですでにステータスを偽っているので準備万端だった。
ギルド員が鑑定機をもって帰ってきた。
「じゃあここの水晶の上に手をのせてね。」
「はい。」
手をのせると、ステータスウィンドウがギルド員のほうに浮かび上がった。
すると次の瞬間、ギルド員の顔が真っ青になった。
「し、失礼しました!あ、あなたがアイザック家の方だと知らず、無礼を働いてしまいました。申し訳ございません!」
と、突然大きな声で謝られた。
『あ…やべ。名前偽装するの忘れてた。』
今まで騒がしかったギルドは急に静かになり、注目されてしまった。
「だ、大丈夫ですから気にしないでください!そ、それに俺もこれから冒険者です!
だから身分とかそんな些細なことは気にしません!むしろ、俺のほうが新参者なのでいろいろ教えてください!」
混乱しながらもなんとか答えた。
「ワッハッハッハ!確かにその通りだな!威勢のいい坊ちゃんじゃないか!」
近くで談笑していた大男がそう言うと、
「違いねぇ!これからよろしくな小僧!」
「小さな冒険者の誕生だ!」
「小さなは余計だよ!」
「ワッハッハ!」
ギルド内はまた騒がしさを取り戻した。
俺は少し気恥ずかしくなった。
「ありがとうございます。カードを作ってきますね。」
「あ、あの!少し相談があるんですけど…」
「分かりました。では少々お待ちください。」
少ししてギルド職員が冒険者カードを持ってきた。
相談通り、名前はただの”ダグラス”にしてもらった。
「では、ここに血を一滴垂らしてください。」
俺はペーパーナイフで親指の先を切り、血を垂らした。
「はい、これで登録完了だよ。」
「ありがとうございます!」
「では、冒険者ギルドの説明をしますがいいですか?」
「お願いします!」
話の内容をまとめる。
冒険者ギルドはF~Sのランク制になっている。
F→EはFランクのクエストを50回、
E→DはEランクのクエストを100回、
D→CはDランクのクエストを300回、
C→BはCランクのクエストを500回、
B→AはBランクのクエストを1000回達成することで昇格試験を受ける権利を得て、その試験に合格するとランクが上がる。
A→SはAランクのクエストを2000回達成することで昇格試験を受ける権利を得て、その試験に合格するとランクが上がる。
また、例外として現・元Sランク冒険者の推薦やギルドマスター、国王の推薦をもらうことでランクが上がる。
クエストには有効期限があり、失敗すると違約金を払わなければならない。
違約金はクエスト報酬の1/5と、まあまあ高い。
クエストは自分の冒険者ランク+1までしか受けられない。
(俺の場合、FランクだからEランクまでということになる。)
犯罪を犯すとギルドカードが永久凍結される。
ギルドカードは自動的に行動が記録されるからすぐにわかるらしい。
と、大体こんな感じだ。
ちょうど昼頃になったので、一度自宅へ帰った。
「おかえり!」
「無事登録できたかい?」
「うん。ただ、アイザック家の人だとばれて少し騒ぎになったけどね。」
「そうだったのか。まあ気にするな。そのうち慣れるさ!」
その後父さんと昼食をとった。
「ダグラス、少し話があるんだけどいいかな?」
「どうしたの父さん?」
「ダグラスが登録に行っている間に母さんと話したんだけど…
そんなに生き急ぐことはないし心配だから12歳になって成人するまでは昇格しないでもらえるかな?」
「えぇ…それは嫌だよ。できるクエストの幅が少ないからせめてEランクには昇格したい。」
「そうか…じゃあ分かった。Eランクまでならいいよ。ただし、くれぐれも無茶しないでよ?」
「うん!わかってる。」
「21時には帰ってくるんだよ!(この世界は一日=30時間なので前世の17時くらい)」
「はーい!」
そう言って俺はまた冒険者ギルドに向かった。
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