異世界転生録~死と隣り合わせのこの世界で死なないため、力を付けます!!~

島津穂高

文字の大きさ
25 / 188

第25話 道のり

しおりを挟む
「メリルは何を売買してるんだ?」



「そうねぇ。色々あるけど一番力を入れてるのは魔道具かな。」



「へぇー…難しそう。」



「ええ…どれも高価だから一つでも仕入れに失敗したら金貨何枚~何十枚もの損失になるのよ…

だから見る目を鍛えなきゃね!」



「すごいな…メリルは将来世界に名を轟かす商人になりそうだね。」



「そ、そんなことないわよ。」



「そうかなぁ…?」



「そろそろ日が暮れてきたわね。今日はここら辺で野営しましょうか。」



「そうだな。」



街道から少し外れたところに馬車を停めた。



「ダグラスは携帯食持ってる?」



「ああ。家を出たときに家族にいっぱいもらったんだ。メリルは?」



「私はこれから作ろうかなって。」



「自炊するのか!」



「よかったらダグラスも食べる?」



「ああ、じゃあいただこうかな。」



メリルの料理はとてもおいしかった。

きっといい嫁になるだろう。



「じゃあそろそろ寝ようか。ちょっと待っててね。」



そう言ってメリルは荷台から魔道具を取ってきた。



「それは?」



「これは結界を張れる魔道具だよ!」



「すごいな…そんな便利な魔道具があるのか…」



「まあなんといっても”サンチェス魔法商店”のチェーン店だからね!」



「えっ…!?魔法関連の分野で世界を牛耳ってるあの”サンチェス魔法商店”?」



「そう、そのサンチェス魔法商店だよ!」



「そうなのか…じゃあメリルはすごい商人だったんだな!」



「そんなことないよ!…じゃあそろそろ寝ようか。」



「ああ。俺は見張りをするよ。」



「しなくていいよ。魔道具の結界のおかげで中には魔物も人も入れないからね!」



「すごいな…でも俺働かなさすぎじゃないか?」



「そんなことないよ。もともと私は昼の護衛を頼むつもりだったし。」



「そうか。お言葉に甘えて寝かせてもらうよ。」



しかし、その晩俺は胸騒ぎがして眠れなかった。



『魔力探知』



すると、結界の近くに4人の気配があった。



『盗賊か…?』



俺はばれないようにこっそりとそいつらのところに向かった。



「なあ、この馬車があの”サンチェス魔法商店”のって本当か?」



「情報通りならそうだ。」



「でもそれにしては見張りの一人もいないじゃないか。」



「確かに…なんか怪しいな。」



「なんでもいいさ。じゃあ行くぞ!って…ん?入れないぞ?」



「本当だ…何か透明なものにぶつかって入れない…」



「何かしら抜け道があるはずだ!探せ!」



魔道具の効果は本当のようだ。

おかげで安全なので俺は寝ることにした。



翌朝、起きると盗賊は消えていた。

結界内に入った痕跡がないので諦めて帰ったのだろう。



「あ、おはようダグラス!」



「おはようメリル、早いな。」



「うん!もうすぐ朝食できるから待っててね!」



「ありがとう!でもどうしてこんなに懇意にしてくれるの?」



「それはねーダグラスが将来有望株だからだよ!」



「…というと?」



「ラウラのお墨付きをもらうくらいだから、将来Sランク冒険者になりそうだなって。」



「まあ目指してはいるが…」



「だから今のうちに知り合っておこうかなと思って。」



「まあ俺もメリルと知り合えたのはよかったかな。これからメリルの魔道具が必要になってくると思うし。」



「ダグラスは王都に着いたらやっぱりダンジョンに潜るの?」



「ああ。自分の実力がどこまで通用するか試したいしな。」



「そっか!その時はぜひうちの魔道具を買ってね?」



「資金に余裕ができたらな。」



朝食を終え、魔道具を回収して出発した。



「メリル、止まって。」



「…どうしたの?」



「前方に10人盗賊がいる。どうする?」



「うーん…ここで待ってるから任せてもいいかな?」



「分かった。取り押さえて拘束した方がいいか?」



「うん。よろしく。」



「了解。」



俺は気配を殺して盗賊に近づき、次々気絶させた。

盗賊の頭は気配察知スキルを持っており、気づかれたが闇属性魔法”スリープ”で眠らせた。

土属性魔法”アースバインド”で身柄を拘束しメリルのもとへ連れて行った。



「早かったね。お疲れ様。」



「ありがとう。こいつらはどうする?」



「後ろの空いてる荷台のところに入れておいて。王都に着いたら憲兵に差し出すから。」



「分かった。」



その後何回か盗賊や魔物に襲われたが、全部返り討ちにした。

そしてついに王都に着いた。



問題なく門を抜け、盗賊の身柄を渡した。

盗賊の頭に金貨10枚の懸賞金がかかっていたようで、思わぬ報酬を得た。



「これで護衛の仕事は終わりよ。ありがとう。」



「そうか。こちらこそいろいろお世話になった。」



「また護衛やってくれる?」



「ああ、もちろん!」



「ありがとう!じゃあこれからもよろしくね!」



「ああ、こちらこそよろしく!」



いい繋がりを得られてよかった。

この調子でたくさんの人と繋がりを持てるように頑張りたい。
しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

異世界転生、防御特化能力で彼女たちを英雄にしようと思ったが、そんな彼女たちには俺が英雄のようだ。

Mです。
ファンタジー
異世界学園バトル。 現世で惨めなサラリーマンをしていた…… そんな会社からの帰り道、「転生屋」という見慣れない怪しげな店を見つける。 その転生屋で新たな世界で生きる為の能力を受け取る。 それを自由イメージして良いと言われた為、せめて、新しい世界では苦しまないようにと防御に突出した能力をイメージする。 目を覚ますと見知らぬ世界に居て……学生くらいの年齢に若返っていて…… 現実か夢かわからなくて……そんな世界で出会うヒロイン達に…… 特殊な能力が当然のように存在するその世界で…… 自分の存在も、手に入れた能力も……異世界に来たって俺の人生はそんなもん。 俺は俺の出来ること…… 彼女たちを守り……そして俺はその能力を駆使して彼女たちを英雄にする。 だけど、そんな彼女たちにとっては俺が英雄のようだ……。 ※※多少意識はしていますが、主人公最強で無双はなく、普通に苦戦します……流行ではないのは承知ですが、登場人物の個性を持たせるためそのキャラの物語(エピソード)や回想のような場面が多いです……後一応理由はありますが、主人公の年上に対する態度がなってません……、後、私(さくしゃ)の変な癖で「……」が凄く多いです。その変ご了承の上で楽しんで頂けると……Mです。の本望です(どうでもいいですよね…)※※ ※※楽しかった……続きが気になると思って頂けた場合、お気に入り登録……このエピソード好みだなとか思ったらコメントを貰えたりすると軽い絶頂を覚えるくらいには喜びます……メンタル弱めなので、誹謗中傷てきなものには怯えていますが、気軽に頂けると嬉しいです。※※

酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ

天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。 ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。 そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。 よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。 そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。 こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

ちっちゃくなった俺の異世界攻略

ちくわ
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた! 精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!

家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜

奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。 パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。 健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。

異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~

夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。 雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。 女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。 異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。 調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。 そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。 ※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。 ※サブタイトル追加しました。

処理中です...