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第64話 企業進出
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商会で買い物を終えるともう夕方になっていたので、俺は海鮮亭に戻った。
屋敷はまだ掃除や家具の配置をしていないので明日から住むつもりだ。
「おうおかえり英雄!!」
「亭主、だから英雄は恥ずかしいからやめてくれ…」
「そうだったな!!それで、海鮮亭は明日にでも発つのか?」
「ああ。その予定だ。」
「了解!!じゃあ余った5日分の金は返す。」
俺は5日分の金貨1枚と銀貨5枚を受け取った。
「ありがとう。」
俺は部屋に着き、奴隷企業の進出について考えていた。
『有用な人材の死が刻一刻と迫っているかもしれないしな…』
そう思い、俺はこれから世界中の街を転々として屋敷と奴隷、必需品を買って規模を拡大することにした。
『3日で1つの拠点を構えるのが理想かな…頑張るか。』
そんなことを考えながら眠りについた。
翌朝、俺は最後の朝食をとって屋敷に来た。
『掃除するか!』
俺は屋敷全体に”クリーン”を行使した。
体積が大きくて汚れていたので思ったよりもMPを消費したが、ドアを開けて入ってみると新築同然の綺麗さになっていた。
『よし、じゃあ作業始めますか!!』
各部屋の割り振りをし、そして家具を設置した。
気がつけば正午手前になっていた。
『もうこんな時間…これから昼食作ってもいいけど面倒くさいなぁ…』
この後の予定は海上都市以外の街へ行って奴隷を購入し、この屋敷に連れてくるだけだ。
収容人数は40人なのでメイドと屋敷経営人員で10人、冒険者を30人購入するつもりだ。
『せっかくだし奴隷を買いに行った先で昼食をとるか!!』
俺は世界地図を広げ、これから向かう街を探した。
『ここから近いのは聖教都市か。あまり気が乗らないが…行くか。』
この世界の宗教は大きく2つに分かれている。
それはカトヤ教と聖教の2つだ。
カトヤ教は平等・自由が掲げられている宗教で、全種族で差別がなくこの世界のほとんどの人がカトヤ教を信仰している。
それに対し、聖教は人間至上主義で人間以外の亜人を迫害するとても害悪なものだ。
『聖教のやり方は虫唾が走るんだよ…!!』
しかし、聖教は奴隷数が多いと言われているので俺にとって都合がいいのだ。
”マッピング”で精密な世界地図を作成するため、俺は”偽装”と”気配遮断”を行使して他者から見えないようにして空を飛んで向かった。
『豪華すぎるというか…趣味が悪いな…』
黄金の装飾品や宝石で施設全体を飾っていた。
聖教は”光属性魔法”の使い手をかき集め、前世で言う病院の役割をする治療院を経営しているため儲かっているのだ。
門前には行列ができており、俺は最後尾に並んだ。
そして数十分が経ち、俺の番が来た。
「君、ギルドカードを見せてくれ。」
「ああ。」
「問題ない。聖教都市へようこそ!!ゆっくりしていきな!!」
このように人間に対しては親切なのでなんとも言いづらい。
『亜人にもこんな感じで対応すればいいのにな…』
ともかく無事に聖教都市に入ることができた。
そして次の瞬間俺は苛立った。
飢えてぼろぼろになったたくさんの亜人たちが居たのだ。
一方では殴る蹴るといった暴力を受け、他方では路地裏に横たわっている。
『酷い…!!』
俺はすぐに奴隷商会に向かった。
「いらっしゃいませ。どのような奴隷をお探しで?」
「怪我や病気で先が短い亜人を。使い道は聞くな。」
「…かしこまりました。奥へどうぞ。」
敢えて亜人を差別するような発言をすることでオーナーに
『この人は聖教徒だな。これからもいい関係が築けそうだ。』
と思わせて心象をよくするためだ。
「っ!?」
オーナーについていった先は悲惨だった。
皆ボロボロで、感染症も流行していた。
「ごゆっくりお選びください。」
「ああ。」
俺は亜人が迫害されていることに苛立ちを感じながらも優秀な人材を探した。
数えきれないほどの奴隷数だったので、時間はかかったもののしっかり選考できた。
結果、戦闘能力が高い奴隷30人とメイド7人、”経営”、”会計”のスキル所持者3人を仕入れた。
購入ではなく仕入れに分類されたので代金が安く済み、40人で金貨20枚だった。
『奴隷数が多いとはいえ1人の命が安すぎる…!!』
人間からひどい扱いを受けていたので皆俺に怯えていた。
なので、俺は40人を屋敷へ連れて帰り美味しい食事や広い風呂、きれいな部屋、豪華なベッド等でもてなした。
翌日、皆の怯えは警戒心へと変わり、1日中交流をしたら何とか打ち解けることができた。
全員に企業のことを説明し、それぞれに仕事を与えることに成功した。
『予定通り3日で1拠点完成したな…拡大は海上都市から近い街から始めていくか!!』
それから俺は6日かけて”鉱山都市”と”山岳都市”で屋敷を購入し、それぞれ聖教都市で奴隷を買って配置した。
鉱山都市は山の形をしたダンジョンから鉱石が取れることで有名な場所だ。
ダンジョンの魔物は弱いが数が多いので仕事が多いらしい。
よって、ここには冒険者40人とメイド7人、経営関係者3人を配置した。
山岳都市は険しい山々に囲まれており、その峡谷には強い魔物が跋扈しているという。
しかし、峡谷の魔物が山岳都市に上がってきた記録はないので安全らしい。
ここには冒険者35人、メイド7人、経営関係者3人を配置した。
この調子でどんどん規模を拡大していきたい。
屋敷はまだ掃除や家具の配置をしていないので明日から住むつもりだ。
「おうおかえり英雄!!」
「亭主、だから英雄は恥ずかしいからやめてくれ…」
「そうだったな!!それで、海鮮亭は明日にでも発つのか?」
「ああ。その予定だ。」
「了解!!じゃあ余った5日分の金は返す。」
俺は5日分の金貨1枚と銀貨5枚を受け取った。
「ありがとう。」
俺は部屋に着き、奴隷企業の進出について考えていた。
『有用な人材の死が刻一刻と迫っているかもしれないしな…』
そう思い、俺はこれから世界中の街を転々として屋敷と奴隷、必需品を買って規模を拡大することにした。
『3日で1つの拠点を構えるのが理想かな…頑張るか。』
そんなことを考えながら眠りについた。
翌朝、俺は最後の朝食をとって屋敷に来た。
『掃除するか!』
俺は屋敷全体に”クリーン”を行使した。
体積が大きくて汚れていたので思ったよりもMPを消費したが、ドアを開けて入ってみると新築同然の綺麗さになっていた。
『よし、じゃあ作業始めますか!!』
各部屋の割り振りをし、そして家具を設置した。
気がつけば正午手前になっていた。
『もうこんな時間…これから昼食作ってもいいけど面倒くさいなぁ…』
この後の予定は海上都市以外の街へ行って奴隷を購入し、この屋敷に連れてくるだけだ。
収容人数は40人なのでメイドと屋敷経営人員で10人、冒険者を30人購入するつもりだ。
『せっかくだし奴隷を買いに行った先で昼食をとるか!!』
俺は世界地図を広げ、これから向かう街を探した。
『ここから近いのは聖教都市か。あまり気が乗らないが…行くか。』
この世界の宗教は大きく2つに分かれている。
それはカトヤ教と聖教の2つだ。
カトヤ教は平等・自由が掲げられている宗教で、全種族で差別がなくこの世界のほとんどの人がカトヤ教を信仰している。
それに対し、聖教は人間至上主義で人間以外の亜人を迫害するとても害悪なものだ。
『聖教のやり方は虫唾が走るんだよ…!!』
しかし、聖教は奴隷数が多いと言われているので俺にとって都合がいいのだ。
”マッピング”で精密な世界地図を作成するため、俺は”偽装”と”気配遮断”を行使して他者から見えないようにして空を飛んで向かった。
『豪華すぎるというか…趣味が悪いな…』
黄金の装飾品や宝石で施設全体を飾っていた。
聖教は”光属性魔法”の使い手をかき集め、前世で言う病院の役割をする治療院を経営しているため儲かっているのだ。
門前には行列ができており、俺は最後尾に並んだ。
そして数十分が経ち、俺の番が来た。
「君、ギルドカードを見せてくれ。」
「ああ。」
「問題ない。聖教都市へようこそ!!ゆっくりしていきな!!」
このように人間に対しては親切なのでなんとも言いづらい。
『亜人にもこんな感じで対応すればいいのにな…』
ともかく無事に聖教都市に入ることができた。
そして次の瞬間俺は苛立った。
飢えてぼろぼろになったたくさんの亜人たちが居たのだ。
一方では殴る蹴るといった暴力を受け、他方では路地裏に横たわっている。
『酷い…!!』
俺はすぐに奴隷商会に向かった。
「いらっしゃいませ。どのような奴隷をお探しで?」
「怪我や病気で先が短い亜人を。使い道は聞くな。」
「…かしこまりました。奥へどうぞ。」
敢えて亜人を差別するような発言をすることでオーナーに
『この人は聖教徒だな。これからもいい関係が築けそうだ。』
と思わせて心象をよくするためだ。
「っ!?」
オーナーについていった先は悲惨だった。
皆ボロボロで、感染症も流行していた。
「ごゆっくりお選びください。」
「ああ。」
俺は亜人が迫害されていることに苛立ちを感じながらも優秀な人材を探した。
数えきれないほどの奴隷数だったので、時間はかかったもののしっかり選考できた。
結果、戦闘能力が高い奴隷30人とメイド7人、”経営”、”会計”のスキル所持者3人を仕入れた。
購入ではなく仕入れに分類されたので代金が安く済み、40人で金貨20枚だった。
『奴隷数が多いとはいえ1人の命が安すぎる…!!』
人間からひどい扱いを受けていたので皆俺に怯えていた。
なので、俺は40人を屋敷へ連れて帰り美味しい食事や広い風呂、きれいな部屋、豪華なベッド等でもてなした。
翌日、皆の怯えは警戒心へと変わり、1日中交流をしたら何とか打ち解けることができた。
全員に企業のことを説明し、それぞれに仕事を与えることに成功した。
『予定通り3日で1拠点完成したな…拡大は海上都市から近い街から始めていくか!!』
それから俺は6日かけて”鉱山都市”と”山岳都市”で屋敷を購入し、それぞれ聖教都市で奴隷を買って配置した。
鉱山都市は山の形をしたダンジョンから鉱石が取れることで有名な場所だ。
ダンジョンの魔物は弱いが数が多いので仕事が多いらしい。
よって、ここには冒険者40人とメイド7人、経営関係者3人を配置した。
山岳都市は険しい山々に囲まれており、その峡谷には強い魔物が跋扈しているという。
しかし、峡谷の魔物が山岳都市に上がってきた記録はないので安全らしい。
ここには冒険者35人、メイド7人、経営関係者3人を配置した。
この調子でどんどん規模を拡大していきたい。
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