異世界転生録~死と隣り合わせのこの世界で死なないため、力を付けます!!~

島津穂高

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第71話 ゴーレム

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ワームを倒した後、”鑑定&略奪”をすると”軟体F”のスキルを習得した。

これは体を柔らかくしたり、衝撃を分散できるようだ。



それからそのまま進んでいくと、明るく広い空間に出た。

そこでは何人かの人が採掘をしている。



皆体がぼろぼろで悪臭がし、死んだ目をしていていた。

おそらく貧民層の人々だろう。


『戦闘能力もまともな装備もないもんな…こんな何も採掘できなさそうなところでしか…』



惨めに思い同情したが、俺は偽善者ではないので無視することにした。



この広い空間は3つの道に分岐しており、それぞれ看板が立っている。



右:この先落盤事故発生

中央:鉱山続き

左:この先足場崩壊



とのことだ。



『足場が崩壊したってことは下に空間があるのか…?』



とりあえず今は中央だけ下見をし、あとで残りを見に来ればいいだろう。



何度かワームと戦闘をしながら中央の道を抜けると、再び広場にでた。

ここもさっきと同じで何人かの貧民が採掘をしていた。



『もしかして鉱山都市は貧民層が多いのか…?』



それはさておきここは5つの道に分かれており、どれも続きがあるようだ。



『アリの巣みたいに入り組んでるな…”マッピング”を埋めて見ながら進もう。』



それから何度もワームと戦いながら進んでいると、賑やかになってきた


正規の鉱山労働者たちの作業拠点に着いたのだ。



「おい君、1人で来たのか?採掘道具も持っていないようだし…迷ったのか?」



30代くらいの無精髭の生えた男性に話しかけられた。



「いや、道はちゃんと覚えてる。ありがとう。」



「そうか。ここから先はワームの他にゴーレムも現れるから気を付けるんだぞ!」



「ああ。ありがとう。」



ゴーレムはまだ対峙したことがないので装備とバフをし、万全を期した。



『よし、行くか!』



それからどれだけ進んだだろうか。

まだ1度も魔物と遭遇していない。



『異常事態…なのか?』



採掘は初めてなので、俺には判断が付かない。

ひとまず異常事態なのか調べるため、鉱山労働者のところに戻った。



「なあ、あれからまあまあ進んだんだが1度も魔物と遭遇しなかった。もしかして異常事態だったりするか?」



「どうだろうなぁ…いないときはいないしいるときはいるって感じだからわからん。」



「そうか。ありがとう。」



俺はそのまま鉱山を出た。

”マッピング”以外特に何も得られなかったが、気が付けば昼を回っていたので1度食事をとりに行った。



そして、鉱山に帰ってくると通行禁止になっていた。

もしかして本当に異常事態だったのだろうか。



「あの、何かあったんですか?」



近くにいた門番に話を聞いた。



「鉱山内のゴーレムが急激に増加したらしい。それで鉱山労働者が犠牲に…」



「なっ…!?ありがとうございます。」



近くにあった救命テントに入ると、とても重い空気だった。

そして中には先ほど親切にしてくれた男性がいた。



「君か。無事でよかったな…」



「あんたは…大丈夫か?」



「骨が何本も逝ったな。おそらく折れた骨が内臓に刺さってる…」



「ちょっと安静にしていてくれ。」



俺は光属性魔法”パーフェクトヒール”を行使した。



「おっ!痛みが…!」



「さっき親切にしてくれた礼だ。俺のことは秘密にしておいてくれ。」



「ああ。俺はアッシンだ。君は?」



「俺はダグラスだ。」



「ダグラス、俺の仲間たちも治してもらえないか?」



「…分かった。案内してくれ。」



それから俺は全員を回復した。



「助かったよ!ありがとう!」



「気にするな。」



「なあダグラス、依頼を出すのは可能か?」



「内容は?」



「何人かがまだ鉱山に取り残されてる。救出してくれないか?」



「分かった。報酬は今度鉱山都市の情報を話すことで手を打とう。」



「それでいいのか…?」



「ああ。金より情報の方が欲しい。」



「ありがとう…ダグラスの武器はなんだ?」



「片手剣だ。」



「そうか…ゴーレムに斬撃は効きにくい。せめてこれを持って行ってくれ。」



俺はアッシンにピッケルを渡された。



「ピッケル…?」



「ああ。本で読んだんだがゴーレムは”採掘”できるらしい。」



「なるほど…ありがとう。」



俺は万全の装備をし、隠れて通行禁止の鉱山に入った。

その瞬間”レーダー”に多くの反応があった。



『なっ!?』



入り口付近から早速、先程見かけなかったゴーレムで溢れていた。

正面がまるで壁に見えるほどゴーレムでいっぱいだった。



『初戦でこれは厄介だな…』



鉱山内で魔法を使うのは落盤の危険性があるため一掃できない。

近接攻撃で殲滅するしかないのだ。



『仕方ない…』



アッシンに渡されたピッケルはまだ使い慣れていないので、海王の片手剣で斬りかかった。

すると、まるでゼリーを斬るように軽く両断できた。



『やっぱりSSSランク装備は強いな。』



それからどれだけゴーレム系を倒しただろうか。

やっと最初の広場に着いた。



『なっ!?まだ続くのか…』



この広場からはゴーレムの上位互換であるギガントゴーレムD、アイアンゴーレムCで溢れていた。



『面倒だな…』



しかし、そうは思いつつもゴーレムと同じように簡単に斬れたので殲滅しながら進んだ。

次の広場にたどり着くと、鉱山労働者と思われる人たちは潰されて死んでいた。



『…まあそうだよな。』



俺はその人だと分かる遺品を回収した。
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