異世界転生録~死と隣り合わせのこの世界で死なないため、力を付けます!!~

島津穂高

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第98話 襲撃者

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「…さん…ダグラスさん。」



誰かに呼ばれる声がして俺は意識を取り戻した。

そこは真っ白な空間がどこまでも続いている。



「なっ!!俺は死んだのか…?」



「いえ、亡くなっていませんよ。安心して下さい。」



「…神様!師匠も生きてますか!!」



「ええ。ダグラスさんがすぐにポーションをかけたおかげで。」



「そうですか…よかった。」



「…1つ警告です。」



「なんですか?」



「このまま強くなると、いずれ他の神にも目を付けられるでしょう。どうか気を付けてください。」



「分かりました。ところで、神様の名前を聞いてもいいですか?」



「ええ。私は…」



「…ス…ラス…ダグラス!!!」



「…師匠?」



「ああ。無事でよかった!!」



「ええ…本当によかったわ…」



「フィオナ先生も心配かけてすみません。」



「本当ですよ!!!全くもう…」



「フィオナに心配かけちゃだめだぞダグラス!!!」



「原因はカイルでしょう!!!」



「ガハハハッ!!!悪い悪い!!」



師匠たちに起こされて、神様の名前を聞き逃してしまった。



「まぁまた機会があるだろ…」



「ん?機会って?」



「ああいや、こっちの話だ。ところで師匠、結局どっちが勝ったんだ?」



「それはもちろん俺だ!!…って言いたいが俺の負けだ。強くなったな!!!」



「私もびっくりしましたよ!まさかダグラス君がこんなに強くなってるなんて思わなかったわ!!」



「ありがとうございます…」



「でも次戦ったら負けないぞ?」



「こちらこそ!!また打ち負かしますよ!!」



「2人とも!!まずは傷の完治を優先しなさい!!」



「ああそれなら…”パーフェクトヒール”」



俺は自身と師匠に光属性魔法S”パーフェクトヒール”を行使した。



「え…?」



「これで完治したはずです。」



「い、いやいや!!ダグラス君、この魔法一体どこで!!!」



「え…?練習しました。」



「そうじゃなくて!!…ってダグラス君なら大丈夫か。」



「…?」



「あのね、ダグラス君。”パーフェクトヒール”を使えるのはこの世界で数えられる程しかいないのよ!私にだって使えないわ!!」



「あっ…そうなんですね。」



「これを使える人はみんな聖教に引き込まれてるの。だからこの魔法は人前で使っちゃだめよ。」



「分かりました。」



確かに回復魔法の使い手は治癒院に引き抜かれている。

これからも奴隷を購入して治癒するときは人目に付かないところで行うようにしよう。



「それで、今はどんな状況ですか?」



「そうねぇ…優勝者も準優勝者も気を失っちゃったから閉会式は明日に延期になったわ。」



「そうですか…」



「ダグラス君の回復魔法で治ったとはいえ一応今日1日はここで安静にしてなさい。」



回復魔法は損傷を回復するが、出た血は元に戻らない。

俺の場合は”超回復”と”再生”の効果で出血まで回復するが、師匠はそうはいかないだろう。



「いや、俺はもう大丈夫だぞ!!」



「カイル!元はと言えばあなたが本気で戦いを仕掛けたのが悪いのよ!!!」



「すまない…」



「相手がダグラス君だったからいいものの…ダグラス君もおとなしくしているんだからカイルも見習いなさい!!」



「はい…」



どうやら師匠はフィオナ先生に尻に敷かれているようだ。

非常に仲がよく、対等の付き合いだと思っていたので驚いた。



それから俺は師匠と話しながら医療室で話していた。



「ところで侍って独学でも習得できるか?」



「必死に努力すればダグラスなら…」



師匠の顔が急に険しくなった。

その原因は俺も把握した。



「ダグラス、気づいたか?」



「ああ。誰かが殺気をもって近づいて来ているな。どうする?」



「おそらく相手は俺たちが弱ってるところを狙ってきたんだろう。」



「じゃあ寝ているふりをして奇襲するか?」



「そうだな。」



「一応バフをかけておくよ。」



「助かる。」



俺は目を瞑り、”気配察知”を行使して相手の位置を把握した。



相手は全く足音を立てずにどんどん近づいてくる。

そして、俺の目の前で足を止めた。



『来るっ!!!』



俺が急いで回避すると、師匠が背後から攻撃を仕掛けた。



「はぁぁぁ!!!!」



すると、相手は師匠の攻撃を難なく避けた。

師匠は貧血のため動きが若干鈍いが、それでもAランク冒険者くらいには動きにキレがあった。



何か嫌な感じがしたので”鑑定”してみると、正体は夢魔系統の魔族だった。



「なっ!?師匠気をつけろ!!!こいつは魔族だ!!」



「よくわかったな貴様!我はカルザイ!お前たちを消しに来た!!!」



『くっ!!』



「ダグラス殿!!!」



白虎が異空間から声を荒げて呼んだ。

こんなに焦っている姿は初めて見る。



『どうした?』



「こやつが我ら四神を洗脳した奴だ!!!」



『っ!!』



「ダグラス殿!!我々に復讐の機会をください!!!」



『…分かった。』



「師匠、ちょっと場所を変えるぞ。」



「ああ。助かる。」



俺は魔族と師匠を含んで”領域転移”をし、四神の住処である秘境に移動した。

そして周辺に結界魔法S”絶対不可侵結界”を展開し、魔族を逃がさないようにした。



「なっ!!貴様…!!」



「来い!!白虎、朱雀、青龍、玄武!!」
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