異世界転生録~死と隣り合わせのこの世界で死なないため、力を付けます!!~

島津穂高

文字の大きさ
126 / 188

第126話 魔王簒奪戦開始

しおりを挟む
「グレイ、俺はイワンの相手をするから従者の方を頼む。」



「はっ!承知いたしました。」



イワンは俺に激怒し、身体から死の魔力を放出した。



「フハハハハハ!!!!これこそ俺様が魔王候補者たる所以、死の魔力だ!!」



とても自慢げに言い放っているが、大して量が多いわけでも密度が高いわけでもない…

ごく普通の死の魔力だった。



「…それがどうしたんだ?」



他者の死の魔力を見るのは初めてなので油断してはいけない。

もしかしたらごく普通に見えて特殊効果が付いているかもしれない。



「フハハ!!馬鹿なお前にはわからなかったか?まあ無理もない!俺様は選ばれた存在なのだからな!!!」



「それで…?」



「俺様より魔力量の少ない者がこれに触れれば即死だ!!せいぜい逃げ回って俺様を楽しませろ!!」



口ぶり的にも、俺の死の魔力と変わらないもののようだ。

とはいえ、イワンは本気で俺に勝てるとでも思っているのだろうか。

単純なステータス差は3倍近く開いているのに。



「…相手の力量も見極められないのか。魔王候補者も案外大したことないな。」



「あぁ!?なんだと!?そこまで俺様を怒らせたいのか…なら死ね!!!」



そういうと、イワンは俺を死の魔力で覆った。



「フハハハハハ!!!口答えしていた割にあっけない最期だったな!!!」



「…何かしたか?」



これは全く持って強がりなどではない。

俺が常に身体から放出させている死の魔力量の方が多いため、本当に何も感じなかったのだ。



「…は!?何故だ!!何故俺様の死の魔力を喰らって生きているんだ!!!有り得ない!!」



「はぁ…これで終わり?」



「ま、まだまだーーー!!!」



そう言うと、先程の倍ほど死の魔力を放出し、俺にまとわりついた。

だが、それでも俺の漏れ出す魔力より量も濃度も低い。



『もう少し他の魔王候補者のデータを取りたかったんだが…もういいや。最後に他の魔王候補者を喰らうと強くなるっていう話だけ試してみるか。』



「なっ!お、お前!!随分と余裕そうにしているが…はったりだな?」



本当にイワンはどこまで頭がお花畑なのだろうか。



「…はぁ。もういいよ。死の魔力はこう使うんだよ!!!」



俺は魔力を10倍ほどに練って密度を上げ、イワンにぶつけた。



「あああああぁぁぁぁ!!!!い、痛い痛い痛い痛い痛い痛い―――!!!!」



イワンの身体で俺の魔力が当たった箇所は全細胞までも死に、そして粉になっていった。



「ど、どうして俺様がこんな目に!!!お、お前も魔王候補者だったのか!!俺様を騙しやがって…!!」



「今更気づいたのか。でも…もう遅い。死ね。」



今度は魔力をそのまま放出し、イワンに当て続けた。



「ああああぁぁぁぁぁぁ!!!痛い痛い痛いーー!!!だ、誰かぁーー!!!だ、だ…れ…か…」



『ふむ…魔力を10倍に練ってぶつけるのとそのままの魔力を10倍分当て続けるのとは同じか。』



丁度グレイも戦闘を終えたようだ。

もちろん戦闘というよりも蹂躙だったが。



「ダグラス様、魔王因子の吸収を。」



「どうやってやるんだ?」



「ただ相手の死の魔力を吸収すればいいかと。」



「分かった。」



辺りをよく見てみると、イワンが死んだら辺の空中に死の魔力が留まっていた。

変化を観察するため、一応”鑑定”してその画面を開いたままにした。



『よし、吸え!!』



すると、みるみるうちに空中の黒い魔力は全て俺の身体に入っていった。

鑑定画面を見ると、死の魔力の質と量が上がっただけでなく、ステータスも上昇していた。



『なるほど…こんな力を得られるからいつの世も魔王は一人しか存在しなかったのか。』



「ダグラス様、お疲れ様でした。」



「ああ。グレイもな。」



「恐縮です。ところで、今回他の魔王候補者を倒して吸収したことで魔王の座を狙った簒奪戦が始まりました。」



「あ、ああ。そうだな。」



「それで、この領地に名前を付けてはいかがですか?簒奪戦時の名称は候補者の名前か領地の名前からとられますので…」



「…そうなのか。…考えておこう。とりあえず散策に戻る。」



「かしこまりました。」



領地の名前はできるだけかっこいいものを付けたい。

こういったとき、失われたはずの厨二心がくすぐられる。



『とはいってもネーミングセンス皆無だからぁ…』



それから数時間考えたが、全く思いつかなかった。



帰宅後グレイ達幹部と話し合い、くじ引きで決めることになった。

結果、グレイの意見であるヴァルハラに決定した。



これは古の時代の神々が住まうとされている宮殿の名前らしい。



『厨二病全開だなぁ…』
しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ

天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。 ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。 そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。 よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。 そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。 こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

最強の異世界やりすぎ旅行記

萩場ぬし
ファンタジー
主人公こと小鳥遊 綾人(たかなし あやと)はある理由から毎日のように体を鍛えていた。 そんなある日、突然知らない真っ白な場所で目を覚ます。そこで綾人が目撃したものは幼い少年の容姿をした何か。そこで彼は告げられる。 「なんと! 君に異世界へ行く権利を与えようと思います!」 バトルあり!笑いあり!ハーレムもあり!? 最強が無双する異世界ファンタジー開幕!

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

ちっちゃくなった俺の異世界攻略

ちくわ
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた! 精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!

【改訂版】槍使いのドラゴンテイマー ~邪竜をテイムしたのでついでに魔王も倒しておこうと思う~

こげ丸
ファンタジー
『偶然テイムしたドラゴンは神をも凌駕する邪竜だった』 公開サイト累計1000万pv突破の人気作が改訂版として全編リニューアル! 書籍化作業なみにすべての文章を見直したうえで大幅加筆。 旧版をお読み頂いた方もぜひ改訂版をお楽しみください! ===あらすじ=== 異世界にて前世の記憶を取り戻した主人公は、今まで誰も手にしたことのない【ギフト:竜を従えし者】を授かった。 しかしドラゴンをテイムし従えるのは簡単ではなく、たゆまぬ鍛錬を続けていたにもかかわらず、その命を失いかける。 だが……九死に一生を得たそのすぐあと、偶然が重なり、念願のドラゴンテイマーに! 神をも凌駕する力を持つ最強で最凶のドラゴンに、 双子の猫耳獣人や常識を知らないハイエルフの美幼女。 トラブルメーカーの美少女受付嬢までもが加わって、主人公の波乱万丈の物語が始まる! ※以前公開していた旧版とは一部設定や物語の展開などが異なっておりますので改訂版の続きは更新をお待ち下さい ※改訂版の公開方法、ファンタジーカップのエントリーについては運営様に確認し、問題ないであろう方法で公開しております ※小説家になろう様とカクヨム様でも公開しております

独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活

髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。 しかし神は彼を見捨てていなかった。 そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。 これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。

処理中です...