異世界転生録~死と隣り合わせのこの世界で死なないため、力を付けます!!~

島津穂高

文字の大きさ
172 / 188

第172話 蟲のダンジョン 下層②

しおりを挟む
“毒魔法“を解除し、宝箱に近づいた。

“罠探知“を行使したが、こちらは罠が仕掛けられていなかった。

宝箱を開けると、中身はボロボロの鉄の片手剣だった。



『…まあそうだよな。さっきが異常だったんだ。』



少し落ち込んだが、気を取り直して攻略を再開しよう。

最後に十字路の真ん中、レイドパーティが通った道を進んだ。



見つけた敵は殲滅してくれているようで、特に戦闘もせずに進み、そして二層へ続く階段に到着した。



『いいペースだな。この調子で進もう。』



階段を登って二層に到達すると、今度は曲がりくねった道で構成されていた。

そのため、三層へ続く階段までの距離は長いと思われる。



『ちょっと早めに歩くか。』



しばらく道なりに進んだが、岐路が見つからない。

なので彼らが一掃してくれているので戦闘もまだしていない。



『楽は楽だけど…“マッピング“だけしてるのもつまらないな。』



そんなことを思っていると、十字路に出た。

彼らの足跡が左側の道にあるので、三層へ続く階段はそちら側にあるのだろう。

俺は右側の道に進んだ。



歩くこと数分、二層の魔物と初エンカウントをした。

二層は蚕の魔物のようで、見つかった瞬間に三体ともが口から糸を出して攻撃してきた。



『危ねっ!交戦的だな…』



俺は少し距離を取って“デッドリーポイズンエリア“を行使した。

蚕の魔物はHPがそこまで高くなかったようで、一、二秒で倒せた。

ドロップは想像通り、上質な糸だった。



『そういえばGからはドロップしなかったな。…まあ拾いたくないしちょうど良かったか。』



その先の宝箱に“罠探知“を行使すると、反応があったが毒魔法のスクロールのときほど強い反応ではなかった。

ボロボロの鉄の武器より多少は期待できるだろう。



蓋を開けると、“生命のリングD“という指輪だった。

効果はHP総量を100増やすと言うものだった。



『レアっぽいけど+100かぁ…せめて+○割だったらHP総量多いし使い道あったんだけどな…』



俺は海王の防具と海王のローブ以外に装備を付けていない。

なので、是非ダンジョンで良さげな装飾品を手に入れて装備したい。



『…気を取り直して次行くか。』



十字路に戻り、今度は中央の道に進んだ。

こちらも同じ手段で蚕の魔物を倒し、宝箱に辿り着いた。



こちらは“罠探知“に反応がなかったのでハズレだ。

一応中を見ると、ボロボロの鉄の短剣だった。



『“ウェポンマスター“で直線的に飛ばす武器として使えるな。今まで手に入れた全部“リペア“で鉄の剣に直しておくか。』



俺は物を捨てるのがもったいなく感じて躊躇い、前世ではゴミの山が出来てしまっていたが“アイテムボックス“のおかげで実害はない。

…その内部はさておき。



『…移動中暇だし整理するか。』



今更だが“アイテムボックス“はパソコンのようなので機能を持っていた。

俺は魔物の死体を“解体“して魔石と素材に分け、魔石は“魔石吸収“でステータスに加算した後ファイルを作成して素材や装備などジャンル別に分けた。



『おぉ…!めちゃくちゃ便利だな…!!』



作業をしながら十字路に戻り、左側の道を進んで三層に登った。

すると、目の前の広場でレイドパーティが集会をしていた。



「依頼分の素材は回収できたから帰還するぞ!!帰るまで気を抜くなよ!!!」



「おおおおおおお!!!!!」



俺は隅で待機し、“アイテムボックス“を整理しながら彼らが帰るのを待った。



数分後



『ふぅ…やっと行ったか。…そういえば目的の素材って何だったんだ?』



それから三層の“マッピング“を終えたが、彼らは魔物を狩り尽くしてしまったようで一切遭遇しなかった。

しかし、三つ全ての宝箱には手をつけられていなかったのは幸運だった。



『“幸運“スキルの恩恵か?でもそれだったら宝箱の中身何とかしてくれよ…』



中身は“力のリングE“と“速さのリングE“、ボロボロの鉄の槍の三つで、どちらかと言うとハズレだ。



それから四層~十層の途中まで攻略し、ボスエリア前に到達した。



ドロップは全て“錬金“や“調合“に使えそうなものばかりで当たりだった。

しかし、残念ながら宝箱の方は全て○○のリング系で、+○割の効果をもつ装備品は未だに入手出来ずにいた。



『そういえば王都のダンジョンは五層毎にボス戦だったよな…?』



これは規模の違いの影響だろうか?

俺としてはボス戦の方がレアドロップ率が高いので、多い方が嬉しいが…



『…無いものねだりしてもしょうがないか。』



蟲のダンジョン初のボス戦だ。

果たして鬼が出るか蛇が出るか…



『…ってまあ蟲じゃないからその二つはあり得ないんだがな。』



…この通り冗談を言えるほどの余裕はある。

敵のステータス値は俺の何百分の一な訳だし、さっさとボス戦を済ませてしまおう。
しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ

天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。 ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。 そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。 よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。 そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。 こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

最強の異世界やりすぎ旅行記

萩場ぬし
ファンタジー
主人公こと小鳥遊 綾人(たかなし あやと)はある理由から毎日のように体を鍛えていた。 そんなある日、突然知らない真っ白な場所で目を覚ます。そこで綾人が目撃したものは幼い少年の容姿をした何か。そこで彼は告げられる。 「なんと! 君に異世界へ行く権利を与えようと思います!」 バトルあり!笑いあり!ハーレムもあり!? 最強が無双する異世界ファンタジー開幕!

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

ちっちゃくなった俺の異世界攻略

ちくわ
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた! 精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!

【改訂版】槍使いのドラゴンテイマー ~邪竜をテイムしたのでついでに魔王も倒しておこうと思う~

こげ丸
ファンタジー
『偶然テイムしたドラゴンは神をも凌駕する邪竜だった』 公開サイト累計1000万pv突破の人気作が改訂版として全編リニューアル! 書籍化作業なみにすべての文章を見直したうえで大幅加筆。 旧版をお読み頂いた方もぜひ改訂版をお楽しみください! ===あらすじ=== 異世界にて前世の記憶を取り戻した主人公は、今まで誰も手にしたことのない【ギフト:竜を従えし者】を授かった。 しかしドラゴンをテイムし従えるのは簡単ではなく、たゆまぬ鍛錬を続けていたにもかかわらず、その命を失いかける。 だが……九死に一生を得たそのすぐあと、偶然が重なり、念願のドラゴンテイマーに! 神をも凌駕する力を持つ最強で最凶のドラゴンに、 双子の猫耳獣人や常識を知らないハイエルフの美幼女。 トラブルメーカーの美少女受付嬢までもが加わって、主人公の波乱万丈の物語が始まる! ※以前公開していた旧版とは一部設定や物語の展開などが異なっておりますので改訂版の続きは更新をお待ち下さい ※改訂版の公開方法、ファンタジーカップのエントリーについては運営様に確認し、問題ないであろう方法で公開しております ※小説家になろう様とカクヨム様でも公開しております

独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活

髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。 しかし神は彼を見捨てていなかった。 そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。 これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。

処理中です...