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最恐ドラゴンが恋愛相談を受ける時。
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「おかえりなさい。アストリッド様。お昼ご飯ありますけど、どうしますか?」
帰ってきてもアストリッド様は「ただいま」も言わない。本当にどういう教育を受けてきたのか!親の顔が見てみたい!
「……昼ご飯……そうだな、もらおう」
おや?アストリッド様の顔色が悪い気がする。
いつもわがままで威張り散らして、人を人とも思っていない、弱肉強食を地で行くような人間と言う皮を被った凶悪な別次元の生き物なのに……。
「何か、ありましたか?」
「…………いや……」
そのまま、フラフラしながらダイニングチェアではなくてソファに座ってしまった。これでは食事をするのかどうかも分からない。
朝ごはんを食べた時には普通だった、気がする。いつも無口だから分からない。昨日の帰りも大人しく馬車に乗って帰ってた。そう言えば無言だった。いつものことだけど。
帰ってからはどうだったかな?部屋が別々だから分からない。
……まぁ良いや。人には聞かれたくないこともあるのだろう。
「お昼ご飯はいらないですか?じゃあ俺は部屋に行きますね」
部屋で漫画を読もう。今日はのんびりしたい。
「――――ふえ?アストリッド様?」
踵を返したところで服をがっしり掴まれた。なんだか様子がおかしい……気がする。
無言のままじっと見つめていると、重い口を開いた。
「…………実は昨夜、好きな人ができた」
「え⁉︎いつの間に!だから昨日のパーティーに最後までいたんですね。って事はパーティーの出席者?誰?第二王子じゃないし?」
これはびっくりだ!まさかの展開!どうりで様子が変なわけだ。そう言えば少女向けの恋愛漫画では、良くこう言う風になるヒロインがいた。まさか現実でも見れるとは!しかもそれがアストリッド様とは!
「ウェイターがいただろう。赤ワインを薦めてくれた……」
「黒髪のモブ顔?」
「モブ?」
「普通の顔って意味です。って待って、待って!魔法を展開しないで下さい!良い子でしたよね?赤ワイン美味しかったですよね!しかもプロ意識完璧!アストリッド様の凄まじい威圧の中で、飲み物を持って来れるなんてすごいですよ!他のウェイターは近寄れなかったのに!」
怖い!本当のことを言っただけなのに殺されかかった。これが恋する女なのか。やはり小説とは違う。
そうしてアストリッド様はポツリポツリとお相手の男の話を始めた。
◇◇◇
話を聞くためにアストリッド様の対面に座った俺は、たった半日でそこまで突き詰めてきたアストリッド様の積極性に怯えつつも、それを見せないように口を開いた。
「レオン様…ですか。食堂で働いてるんですよね?生活も苦しい」
アストリッド様がやっていた事はストーカーだ。恐ろしい。一歩間違えば犯罪だ……ではなく間違いなく犯罪だ。本人に悪気がないことが、なおタチが悪い。良かった点を挙げるなら、そのレオン様の家に侵入しなかった事だけだ。
アストリッド様は決意を込めた目で俺を見る。
「そうらしい。だからまずは家と金でも贈ろうかと思うのだが?」
「いや……何言ってるんですか?それでは本物の愛は育めないですよ?まずはアストリッド様をレオン様に認識してもらわないとダメです」
力尽くでなんでも解決する人は恋愛すら力尽くらしい。アストリッド様は理解できないと言った表情で俺を見る。
「どうやって?」
「まずは食堂の常連になりましょう!毎日行く事により、顔を覚えてもらい、そこから自然に外で会える様にしましょう。アストリッド様は食べ方も所作も綺麗なので、問題ないです。俺も一緒に行ってさりげなくサポートします!」
「しかし何を話したら外で会える様になるんだ?」
「そこは臨機応変ですよ。それじゃあ服を買ってくるんでお金ください」
「服⁉︎なぜまた……とは思うが、そうだな。私には何が正解か分からない。お前に任せよう」
俺の頭の中では小さい俺がガッツポーズをしている。
なんであんなモブにアストリッド様が恋したかは全く分からないが、こちらとしてはラッキーだ。
金がない貧乏な人だと言うなら大金持ちのアストリッド様は魅力的だろう。貧乏から抜け出せる。そう言った意味では簡単に恋愛成就できるかもしれない。だけどそれでは意味がない。そんな恋愛は俺は嫌だから、そうなったら阻止しよう。
だけど、もし見た目通りの真面目な青年であったら、恋愛が成功するようにアストリッド様を導けば良い。作戦名は『あなただけに見せる、本当の私』!ギャップ萌えで恋愛を導くぞ!
帰ってきてもアストリッド様は「ただいま」も言わない。本当にどういう教育を受けてきたのか!親の顔が見てみたい!
「……昼ご飯……そうだな、もらおう」
おや?アストリッド様の顔色が悪い気がする。
いつもわがままで威張り散らして、人を人とも思っていない、弱肉強食を地で行くような人間と言う皮を被った凶悪な別次元の生き物なのに……。
「何か、ありましたか?」
「…………いや……」
そのまま、フラフラしながらダイニングチェアではなくてソファに座ってしまった。これでは食事をするのかどうかも分からない。
朝ごはんを食べた時には普通だった、気がする。いつも無口だから分からない。昨日の帰りも大人しく馬車に乗って帰ってた。そう言えば無言だった。いつものことだけど。
帰ってからはどうだったかな?部屋が別々だから分からない。
……まぁ良いや。人には聞かれたくないこともあるのだろう。
「お昼ご飯はいらないですか?じゃあ俺は部屋に行きますね」
部屋で漫画を読もう。今日はのんびりしたい。
「――――ふえ?アストリッド様?」
踵を返したところで服をがっしり掴まれた。なんだか様子がおかしい……気がする。
無言のままじっと見つめていると、重い口を開いた。
「…………実は昨夜、好きな人ができた」
「え⁉︎いつの間に!だから昨日のパーティーに最後までいたんですね。って事はパーティーの出席者?誰?第二王子じゃないし?」
これはびっくりだ!まさかの展開!どうりで様子が変なわけだ。そう言えば少女向けの恋愛漫画では、良くこう言う風になるヒロインがいた。まさか現実でも見れるとは!しかもそれがアストリッド様とは!
「ウェイターがいただろう。赤ワインを薦めてくれた……」
「黒髪のモブ顔?」
「モブ?」
「普通の顔って意味です。って待って、待って!魔法を展開しないで下さい!良い子でしたよね?赤ワイン美味しかったですよね!しかもプロ意識完璧!アストリッド様の凄まじい威圧の中で、飲み物を持って来れるなんてすごいですよ!他のウェイターは近寄れなかったのに!」
怖い!本当のことを言っただけなのに殺されかかった。これが恋する女なのか。やはり小説とは違う。
そうしてアストリッド様はポツリポツリとお相手の男の話を始めた。
◇◇◇
話を聞くためにアストリッド様の対面に座った俺は、たった半日でそこまで突き詰めてきたアストリッド様の積極性に怯えつつも、それを見せないように口を開いた。
「レオン様…ですか。食堂で働いてるんですよね?生活も苦しい」
アストリッド様がやっていた事はストーカーだ。恐ろしい。一歩間違えば犯罪だ……ではなく間違いなく犯罪だ。本人に悪気がないことが、なおタチが悪い。良かった点を挙げるなら、そのレオン様の家に侵入しなかった事だけだ。
アストリッド様は決意を込めた目で俺を見る。
「そうらしい。だからまずは家と金でも贈ろうかと思うのだが?」
「いや……何言ってるんですか?それでは本物の愛は育めないですよ?まずはアストリッド様をレオン様に認識してもらわないとダメです」
力尽くでなんでも解決する人は恋愛すら力尽くらしい。アストリッド様は理解できないと言った表情で俺を見る。
「どうやって?」
「まずは食堂の常連になりましょう!毎日行く事により、顔を覚えてもらい、そこから自然に外で会える様にしましょう。アストリッド様は食べ方も所作も綺麗なので、問題ないです。俺も一緒に行ってさりげなくサポートします!」
「しかし何を話したら外で会える様になるんだ?」
「そこは臨機応変ですよ。それじゃあ服を買ってくるんでお金ください」
「服⁉︎なぜまた……とは思うが、そうだな。私には何が正解か分からない。お前に任せよう」
俺の頭の中では小さい俺がガッツポーズをしている。
なんであんなモブにアストリッド様が恋したかは全く分からないが、こちらとしてはラッキーだ。
金がない貧乏な人だと言うなら大金持ちのアストリッド様は魅力的だろう。貧乏から抜け出せる。そう言った意味では簡単に恋愛成就できるかもしれない。だけどそれでは意味がない。そんな恋愛は俺は嫌だから、そうなったら阻止しよう。
だけど、もし見た目通りの真面目な青年であったら、恋愛が成功するようにアストリッド様を導けば良い。作戦名は『あなただけに見せる、本当の私』!ギャップ萌えで恋愛を導くぞ!
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