あまにがショコラトリー!

二月十三日。明日はバレンタイン当日。
ショコラトリー・ブリュールでは、バレンタイン用のクッキーが飛ぶように売れていた。
今もまた、もう一つ。
「ありがとうございます、お兄さん! ハッピーバレンタイン~!」
浮かれきった女子学生は、店員の青年・ラズに向けて、明るい声で言う。
ラズは作り笑いを顔に貼り付けて、女子学生の客を見送った。やがて店内から客がいなくなると、彼は作り笑いを崩さぬまま吐き捨てる。
「……余計なお世話なんだけど?」

――ちょっとひねくれた青年と、天然で鈍感な少女のバレンタインの話。
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