初心なイケメンくんの初体験は異世界の騎士団長と 《もだもだラブコメBL》

らくタ

文字の大きさ
18 / 37
第1章 出会い

16.なでなで

しおりを挟む

「ハルカ、すまなかった」

シモンさんがリベルトのところに行ってしまってから、1人で魔法の練習を続けていると、シモンさんではなくリベルトが来て、突然俺の目の前で頭を下げた。

「リベルト?どうしたんですか?」

急にどうしたんだろう。あの時子供の作り方とか恥ずかしいことを聞いちゃったのと、最近はずっとまともに会話が出来ていなかったからちょっと緊張する。

「最近、ハルカとあまり顔を合わせられていなかったのは私が意図的にそうしていた」

「それって…」

やっぱりリベルトは俺のことが迷惑になったのかな。俺はリベルトに与えられるばかりで俺からは何もあげられてない。リベルトに得なんかないはずなのに、優しくしてくれた。俺がそれに甘えてた。リベルトに謝る必要なんてあるわけがない。
早く言わないと、もう俺のことは気にしなくていい、もうそんなに優しくしてくれなくても大丈夫だって。

「ハルカ、今日からまた共に食事をしてもいいだろうか」

「えっ?」

「それと、ハルカはまだ城下町に行ったことがないだろう?明日、案内させてくれないか?」

突然の思いもよらなかった言葉についていけない。リベルトは俺にもう構ってられないって話じゃなかったのか?

「でも、迷惑なんじゃ…」

そう、リベルトにこれ以上迷惑をかけないようにしようと思ったばかりなのに。

「私がハルカと居たいんだ。駄目だろうか?」

俺と?本当に?
リベルトにそんな風に誘われたら断るわけがない。

「駄目じゃない!…嬉しいです」

思わず前のめりに答えてしまって、顔が熱くなる。でも、リベルトが力の抜けたように笑ってくれて、俺も自然と口角が上がった。
なんだか、全部俺の考えすぎだったのかな。

「そうか、良かった」

リベルトが俺の頭にポンと大きい手のひらを置いた。久しぶりの手のぬくもりが気持ちいい。

でも、ちょっと待った。ついうっとりしてしまったけど、こういうことばかりしてたからこの前ロタくんとかに誤解されたんじゃ。

前は何も知らなくて、リベルトは男から見ても憧れるかっこよくて頼れるお兄さんだと思ってたけど、ここでは男同士でも普通に恋愛するんだ。

そう思うと、どう見てもリベルトは女の子じゃないのに、この世界では女の子に撫でられてるのと同じようなものだと考えてしまう。

「リベルト、俺はもうこういうのは大丈夫です」

俺が変に意識してしまいそうというのもあるけど、リベルトだって俺と恋人だと間違われたら迷惑だろう。

リベルトがさり気なさすぎて前までは気にならなかったけど、俺も子供じゃないし、今は辛いことなんかないから撫でて慰めてもらう必要もない。それがもうなくなると思うと何だか少し寂しいけど、リベルトにいつまでも気遣ってもらうわけにはいかない。

だからこそ、もう俺は元気だから大丈夫だと伝えたつもりだったのに、何故かリベルトはまるで耳が垂れた大型犬のように項垂れてしまった。

「…すまない、嫌だったか?」

こんな風に切実さが滲むワインレッドの瞳でじっと見つめられると、何だかドキドキするからやめてほしい。やっぱりリベルトはカッコいいのに、こういう時は大型犬みたいで可愛いからずるい。

「もちろん嫌じゃないです。でも、また誤解させてしまうかもしれないから…」

「それなら、二人きりの時ならしてもいいか?」

二人きり?俺の部屋でご飯食べる時のことかな。確かにそれなら他の人の目を気にする必要はないけど。

「それは大丈夫ですが…その、もしかしてリベルトは人を撫でるのが好きなんですか?」

「それは…そうかもな」

リベルトはまるで今そのことに気づいたような様子で頷いた。
なるほど。それなら納得だ。リベルトは世話焼きな性格だから、撫でることも自然と身についたのかな。でも、普段から他の人にもこんなことをしてるならちょっと心配だな。こんなカッコいい騎士団長に頭ポンポンとかされたら女の子はひとたまりもないだろう。少女漫画だったら一発で恋が始まってる。いや、この世界なら男でも恋が始まるのか。

リベルトが他の人にも撫でて慰めてあげたりしてる姿を想像してみると、何だかモヤモヤした。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう

水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」 辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。 ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。 「お前のその特異な力を、帝国のために使え」 強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。 しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。 運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。 偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!

平凡なぼくが男子校でイケメンたちに囲まれています

七瀬
BL
あらすじ 春の空の下、名門私立蒼嶺(そうれい)学園に入学した柊凛音(ひいらぎ りおん)。全寮制男子校という新しい環境で、彼の無自覚な美しさと天然な魅力が、周囲の男たちを次々と虜にしていく——。 政治家や実業家の子息が通う格式高い学園で、凛音は完璧な兄・蒼真(そうま)への憧れを胸に、新たな青春を歩み始める。しかし、彼の純粋で愛らしい存在は、学園の秩序を静かに揺るがしていく。 **** 初投稿なので優しい目で見守ってくださると助かります‼️ご指摘などございましたら、気軽にコメントよろしくお願いしますm(_ _)m

異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました

ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載

優しい檻に囚われて ―俺のことを好きすぎる彼らから逃げられません―

無玄々
BL
「俺たちから、逃げられると思う?」 卑屈な少年・織理は、三人の男から同時に告白されてしまう。 一人は必死で熱く重い男、一人は常に包んでくれる優しい先輩、一人は「嫌い」と言いながら離れない奇妙な奴。 選べない織理に押し付けられる彼らの恋情――それは優しくも逃げられない檻のようで。 本作は織理と三人の関係性を描いた短編集です。 愛か、束縛か――その境界線の上で揺れる、執着ハーレムBL。 ※この作品は『記憶を失うほどに【https://www.alphapolis.co.jp/novel/364672311/155993505】』のハーレムパロディです。本編未読でも雰囲気は伝わりますが、キャラクターの背景は本編を読むとさらに楽しめます。 ※本作は織理受けのハーレム形式です。 ※一部描写にてそれ以外のカプとも取れるような関係性・心理描写がありますが、明確なカップリング意図はありません。が、ご注意ください

【BL】捨てられたSubが甘やかされる話

橘スミレ
BL
 渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。  もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。  オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。  ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。  特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。  でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。  理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。  そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!  アルファポリス限定で連載中  二日に一度を目安に更新しております

若さまは敵の常勝将軍を妻にしたい

雲丹はち
BL
年下の宿敵に戦場で一目惚れされ、気づいたらお持ち帰りされてた将軍が、一週間の時間をかけて、たっぷり溺愛される話。

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

処理中です...