わたくしと婚約破棄して、異母姉と婚約するですって? 宜しい、ならば追放だ!

月白ヤトヒコ

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わたし、割と詰んでね?

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 わたくし、子爵家の一人娘で跡取りとして育てられましたの。

 というのに、お母様が亡くなって早数年。

 ついこの間、わたくしに姉妹ができましたの。ええ、新しく姉妹……それも、異母姉・・・だそうなのですわ。

 なんでも、わたくしの母が亡くなって数年。喪に服したには十分だと宣い、ほとぼりが冷めた頃合いなので、母と結婚する前から囲っていた愛人を呼び寄せ、結婚したそうです。

 更に、わたくしが生まれる前に生まれていた異母姉を改めて認知し、我が子爵家の籍に加えるのだそうです。異母ならまだしも、異母を、です。

 しかも、全っ部事後報告っ!?

 まあ、アレですわね。控えめに言っても……結婚前からずっと母を裏切り続けやがって、マジクズだなクソ親父がっ!! あら、つい言葉が乱れてしまいましたわ。失礼。

 まあ? 一応? 市井で暮らしていた異母姉に子爵が務まるとは思ってはいないらしくて? とりあえず? 暫定で? わたしが次期当主候補のままというのは、多少マシではあるけどさ?

 このように、クソ親父が保身上手で小賢しいクズな上、物語などでよくあるように、我が家はお母様の血統で……ということもなく、うちは普通にクソ親父の血統だ。

 というワケで、わたしが後継というのも、いつ覆されるかわからん。

 更に言えば、異母姉は一応、マジでクソ親父の娘だそうだ。なんか、公的機関でちゃんと鑑定したらしい。

 わたし、割と詰んでね?

 とりあえず、使用人達には義母や父が性欲減退したり、妊娠し難くなるハーブや香辛料を取り寄せ、二人のお茶、料理にガンガン使うようお願いしといたけどな。明確な毒や避妊薬じゃないから、ギリセーフとしておこう。

 ほら? 今更弟妹が生まれても、後継をそっちにすると言われて困るのはわたしだし。最悪、これから生まれる弟妹が結婚するまでわたしに……十数年間くらい独身で領地経営の中継ぎを強要し、その後身一つで放り出すとかされる可能性もあるし?

 異母姉が貴族子女の教育を受けていないということのみがわたしのアドバンテージ!

 とは言え、弟妹が生まれずとも、自分が可愛がっている異母姉に優秀な婿を迎えれば万事OK! とか、クソ親父が急に言い出すかもしれん。

 そして、この状況だけでも割とアレな感じなのに。クソ親父はなにを思ったか、異母姉を貴族学園に入学させるとか、正気を疑うようなことを言い出した。

 嫁入りには貴族子女としての教養が必要だからとかそれらしいことを言っているが・・・無いわー。なんせ、異母姉は十七歳。貴族学園入学資格は十五歳から。

 いきなり二年に編入とか、できるワケないだろ……と、高を括っていた時期がありました。

 結論から言うと、クソ親父は異母姉を貴族学園に入学させやがった。入学金をちょっと多めに積んでな。但し、一年生として。

 わたしと同級生だ。クソがっ!!

 異母姉は、勉強はある程度できたらしい。平民の学校では成績が良かったとのこと。まあ、貴族学園では下から数えた方が早い成績みたいだが。

 うん? わたしの口が悪い? 気にするな。貴族家の当主後継として必須の、護身術を教えてくれた傭兵の師匠(女性)の口が悪くて、それが移っただけだ。だってお母様が亡くなってから、使用人以外では師匠が一番わたしを可愛がってくれたんだもん。

 敬愛する師匠からの影響を受けても、なんらおかしくはありませんことよ?

 うちの国、貴族家当主はある程度の武術が必修なんだよ。最低でも護身術は必須。実子が身体が弱い子ばかりだと、親戚筋から養子取って継がせることが多い。

 まあ、内心の口が悪いだけで、話すときは割とちゃんと貴族子女として猫を被ってるし。

 と、そんなことはどうでもいい。

 あの異母姉……入学初日から、色々とかましてくれやがったっ!?

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