1 / 5
わたし、割と詰んでね?
しおりを挟むわたくし、子爵家の一人娘で跡取りとして育てられましたの。
というのに、お母様が亡くなって早数年。
ついこの間、わたくしに姉妹ができましたの。ええ、新しく姉妹……それも、異母姉だそうなのですわ。
なんでも、わたくしの母が亡くなって数年。喪に服したには十分だと宣い、ほとぼりが冷めた頃合いなので、母と結婚する前から囲っていた愛人を呼び寄せ、結婚したそうです。
更に、わたくしが生まれる前に生まれていた異母姉を改めて認知し、我が子爵家の籍に加えるのだそうです。異母妹ならまだしも、異母姉を、です。
しかも、全っ部事後報告っ!?
まあ、アレですわね。控えめに言っても……結婚前からずっと母を裏切り続けやがって、マジクズだなクソ親父がっ!! あら、つい言葉が乱れてしまいましたわ。失礼。
まあ? 一応? 市井で暮らしていた異母姉に子爵が務まるとは思ってはいないらしくて? とりあえず? 暫定で? わたしが次期当主候補のままというのは、多少マシではあるけどさ?
このように、クソ親父が保身上手で小賢しいクズな上、物語などでよくあるように、我が家はお母様の血統で……ということもなく、うちは普通にクソ親父の血統だ。
というワケで、わたしが後継というのも、いつ覆されるかわからん。
更に言えば、異母姉は一応、マジでクソ親父の娘だそうだ。なんか、公的機関でちゃんと鑑定したらしい。
わたし、割と詰んでね?
とりあえず、使用人達には義母や父が性欲減退したり、妊娠し難くなるハーブや香辛料を取り寄せ、二人のお茶、料理にガンガン使うようお願いしといたけどな。明確な毒や避妊薬じゃないから、ギリセーフとしておこう。
ほら? 今更弟妹が生まれても、後継をそっちにすると言われて困るのはわたしだし。最悪、これから生まれる弟妹が結婚するまでわたしに……十数年間くらい独身で領地経営の中継ぎを強要し、その後身一つで放り出すとかされる可能性もあるし?
異母姉が貴族子女の教育を受けていないということのみがわたしのアドバンテージ!
とは言え、弟妹が生まれずとも、自分が可愛がっている異母姉に優秀な婿を迎えれば万事OK! とか、クソ親父が急に言い出すかもしれん。
そして、この状況だけでも割とアレな感じなのに。クソ親父はなにを思ったか、異母姉を貴族学園に入学させるとか、正気を疑うようなことを言い出した。
嫁入りには貴族子女としての教養が必要だからとかそれらしいことを言っているが・・・無いわー。なんせ、異母姉は十七歳。貴族学園入学資格は十五歳から。
いきなり二年に編入とか、できるワケないだろ……と、高を括っていた時期がありました。
結論から言うと、クソ親父は異母姉を貴族学園に入学させやがった。入学金をちょっと多めに積んでな。但し、一年生として。
わたしと同級生だ。クソがっ!!
異母姉は、勉強はある程度できたらしい。平民の学校では成績が良かったとのこと。まあ、貴族学園では下から数えた方が早い成績みたいだが。
うん? わたしの口が悪い? 気にするな。貴族家の当主後継として必須の、護身術を教えてくれた傭兵の師匠(女性)の口が悪くて、それが移っただけだ。だってお母様が亡くなってから、使用人以外では師匠が一番わたしを可愛がってくれたんだもん。
敬愛する師匠からの影響を受けても、なんらおかしくはありませんことよ?
うちの国、貴族家当主はある程度の武術が必修なんだよ。最低でも護身術は必須。実子が身体が弱い子ばかりだと、親戚筋から養子取って継がせることが多い。
まあ、内心の口が悪いだけで、話すときは割とちゃんと貴族子女として猫を被ってるし。
と、そんなことはどうでもいい。
あの異母姉……入学初日から、色々とかましてくれやがったっ!?
252
あなたにおすすめの小説
侯爵家を守るのは・・・
透明
恋愛
姑に似ているという理由で母親に虐げられる侯爵令嬢クラリス。
母親似の妹エルシーは両親に愛されすべてを奪っていく。
最愛の人まで妹に奪われそうになるが助けてくれたのは・・・
(完結)初恋の勇者が選んだのは聖女の……でした
青空一夏
ファンタジー
私はアイラ、ジャスミン子爵家の長女だ。私には可愛らしい妹リリーがおり、リリーは両親やお兄様から溺愛されていた。私はこの国の基準では不器量で女性らしくなく恥ずべき存在だと思われていた。
この国の女性美の基準は小柄で華奢で編み物と刺繍が得意であること。風が吹けば飛ぶような儚げな風情の容姿が好まれ家庭的であることが大事だった。
私は読書と剣術、魔法が大好き。刺繍やレース編みなんて大嫌いだった。
そんな私は恋なんてしないと思っていたけれど一目惚れ。その男の子も私に気があると思っていた私は大人になってから自分の手柄を彼に譲る……そして彼は勇者になるのだが……
勇者と聖女と魔物が出てくるファンタジー。ざまぁ要素あり。姉妹格差。ゆるふわ設定ご都合主義。中世ヨーロッパ風異世界。
ラブファンタジーのつもり……です。最後はヒロインが幸せになり、ヒロインを裏切った者は不幸になるという安心設定。因果応報の世界。
王宮で虐げられた令嬢は追放され、真実の愛を知る~あなた方はもう家族ではありません~
葵 すみれ
恋愛
「お姉さま、ずるい! どうしてお姉さまばっかり!」
男爵家の庶子であるセシールは、王女付きの侍女として選ばれる。
ところが、実際には王女や他の侍女たちに虐げられ、庭園の片隅で泣く毎日。
それでも家族のためだと耐えていたのに、何故か太り出して醜くなり、豚と罵られるように。
とうとう侍女の座を妹に奪われ、嘲笑われながら城を追い出されてしまう。
あんなに尽くした家族からも捨てられ、セシールは街をさまよう。
力尽きそうになったセシールの前に現れたのは、かつて一度だけ会った生意気な少年の成長した姿だった。
そして健康と美しさを取り戻したセシールのもとに、かつての家族の変わり果てた姿が……
※小説家になろうにも掲載しています
妹は病弱アピールで全てを奪い去っていく
希猫 ゆうみ
恋愛
伯爵令嬢マチルダには妹がいる。
妹のビヨネッタは幼い頃に病気で何度か生死の境を彷徨った事実がある。
そのために両親は過保護になりビヨネッタばかり可愛がった。
それは成長した今も変わらない。
今はもう健康なくせに病弱アピールで周囲を思い通り操るビヨネッタ。
その魔の手はマチルダに求婚したレオポルドにまで伸びていく。
(完)婚約破棄ですか? なぜ関係のない貴女がそれを言うのですか? それからそこの貴方は私の婚約者ではありません。
青空一夏
恋愛
グレイスは大商人リッチモンド家の娘である。アシュリー・バラノ侯爵はグレイスよりずっと年上で熊のように大きな体に顎髭が風格を添える騎士団長様。ベースはこの二人の恋物語です。
アシュリー・バラノ侯爵領は3年前から作物の不作続きで農民はすっかり疲弊していた。領民思いのアシュリー・バラノ侯爵の為にお金を融通したのがグレイスの父親である。ところがお金の返済日にアシュリー・バラノ侯爵は満額返せなかった。そこで娘の好みのタイプを知っていた父親はアシュリー・バラノ侯爵にある提案をするのだった。それはグレイスを妻に迎えることだった。
年上のアシュリー・バラノ侯爵のようなタイプが大好きなグレイスはこの婚約話をとても喜んだ。ところがその三日後のこと、一人の若い女性が怒鳴り込んできたのだ。
「あなたね? 私の愛おしい殿方を横からさらっていったのは・・・・・・婚約破棄です!」
そうしてさらには見知らぬ若者までやって来てグレイスに婚約破棄を告げるのだった。
ざまぁするつもりもないのにざまぁになってしまうコメディー。中世ヨーロッパ風異世界。ゆるふわ設定ご都合主義。途中からざまぁというより更生物語になってしまいました。
異なった登場人物視点から物語が展開していくスタイルです。
高慢な王族なんてごめんです! 自分の道は自分で切り開きますからお気遣いなく。
柊
恋愛
よくある断罪に「婚約でしたら、一週間程前にそちらの有責で破棄されている筈ですが……」と返した公爵令嬢ヴィクトワール・シエル。
婚約者「だった」シレンス国の第一王子であるアルベール・コルニアックは困惑するが……。
※小説家になろう、カクヨム、pixivにも同じものを投稿しております。
妹の婚約者自慢がウザいので、私の婚約者を紹介したいと思います~妹はただ私から大切な人を奪っただけ~
マルローネ
恋愛
侯爵令嬢のアメリア・リンバークは妹のカリファに婚約者のラニッツ・ポドールイ公爵を奪われた。
だが、アメリアはその後に第一王子殿下のゼラスト・ファーブセンと婚約することになる。
しかし、その事実を知らなかったカリファはアメリアに対して、ラニッツを自慢するようになり──。
(完)婚約破棄ですね、従姉妹とどうかお幸せに
青空一夏
恋愛
私の婚約者は従姉妹の方が好きになってしまったようなの。
仕方がないから従姉妹に譲りますわ。
どうぞ、お幸せに!
ざまぁ。中世ヨーロッパ風の異世界。中性ヨーロッパの文明とは違う点が(例えば現代的な文明の機器など)でてくるかもしれません。ゆるふわ設定ご都合主義。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる