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2異世界
王太子ケイト
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まじ、この状況どうしよう。
晩餐会にはまだ時間があるから、王太子ケイトを城内の中庭に案内して、歓談する時間。
率先して案内する姫。それに爽やかに応じるケイト。
階段などがあれば、エレガントに手を差し出して、姫をエスコートするケイト。喜んで手を掴んで、姫はケイトのエスコートを受け入れている。
爽やかイケメン王太子ケイト。それに手を引かれて、うっとりした表情でついていくポンコツ姫。そう言えば、姫は、俺たちの世界に来た時には、ドルオタしてたな。国が滅亡だというのにウキウキしてコンサートに参戦していた。元々、イケメン好きなんだろう。
じゃあ、なんで俺とそっくりのニセが好きになったのかは、分からないが。
本当に、何でニセが好きなんだろう。元魔王でぶっきらぼう。ボッチで人と協調することの苦手なニセ。顔も俺と同じで、並みも並み。ニセの分身体の俺も人のことは言えないが・・・マジ、恋愛って不明。
もしケイトが、このポンコツ発動した姫に暗殺なんてことを試みれば、大変なことになる。
離れる訳には行かずに、良い雰囲気の二人の後ろを俺は付いて歩く。
ニセの魔法の強大さは、隣国ニグルにも伝わっているらしい。まあ、そりゃそうか。だって魔王だったのだもの。アジムが滅亡寸前まで追い込まれたのだから、隣国のニグルが何も知らない訳がない。
だから、ニセのフリをしている俺に暗殺者がおいそれと手を出してくることは、無い。
まずは、姫を狙うだろうと、ニセは言っていた。
そして、姫が倒れて混乱している状況で、ニセを狙ってくるのだと。
姫は、ニセほどの力はないが、元勇者。家臣の人望は厚い。姫が倒れて、家臣たちが元魔王のニセに素直に従うわけがない。そこに強大な元魔王といえども隙がうまれると思っているはずだと言うのだ。
だから、姫がこんなに警戒心なくフワフワしているこの現状は。まずいなんて物ではないのだ。めちゃくちゃ困るのだ。
「男聖者様は、しかし何とも無粋な方・・・。少しは、ご遠慮願えれば、姫ともう少し甘い時間が過ごせるのに。」
ケイトが、姫にそう耳打ちする。
俺に聞こえるような声でわざとお前・・・。
「ケイト様ったら、ご冗談を。」
もじもじとする姫。
どや顔でこちらを牽制してくるケイト。どうやら、ケイトの中での人物相関図では、姫に想いを寄せる男聖者英司。それに応じない姫。という図で出来上がっているようだ。
なるほど。
それで、姫の心を自分が奪ってしまえば、俺が焦り出す。その隙をつくか、しつこく言い寄る俺と姫が不仲になるのを狙うか・・・そういう事なのだろう。
ひょっとしたら、俺だけ殺して、姫とは政略結婚なんて筋書きも有り?
このピンチ、どうやって抜ければいいのだろうか・・・。
おい、姫、忘れていないか?
そいつは、あ~ん~さ~つ~しゃ~。
俺は、心の中で絶叫した。
晩餐会にはまだ時間があるから、王太子ケイトを城内の中庭に案内して、歓談する時間。
率先して案内する姫。それに爽やかに応じるケイト。
階段などがあれば、エレガントに手を差し出して、姫をエスコートするケイト。喜んで手を掴んで、姫はケイトのエスコートを受け入れている。
爽やかイケメン王太子ケイト。それに手を引かれて、うっとりした表情でついていくポンコツ姫。そう言えば、姫は、俺たちの世界に来た時には、ドルオタしてたな。国が滅亡だというのにウキウキしてコンサートに参戦していた。元々、イケメン好きなんだろう。
じゃあ、なんで俺とそっくりのニセが好きになったのかは、分からないが。
本当に、何でニセが好きなんだろう。元魔王でぶっきらぼう。ボッチで人と協調することの苦手なニセ。顔も俺と同じで、並みも並み。ニセの分身体の俺も人のことは言えないが・・・マジ、恋愛って不明。
もしケイトが、このポンコツ発動した姫に暗殺なんてことを試みれば、大変なことになる。
離れる訳には行かずに、良い雰囲気の二人の後ろを俺は付いて歩く。
ニセの魔法の強大さは、隣国ニグルにも伝わっているらしい。まあ、そりゃそうか。だって魔王だったのだもの。アジムが滅亡寸前まで追い込まれたのだから、隣国のニグルが何も知らない訳がない。
だから、ニセのフリをしている俺に暗殺者がおいそれと手を出してくることは、無い。
まずは、姫を狙うだろうと、ニセは言っていた。
そして、姫が倒れて混乱している状況で、ニセを狙ってくるのだと。
姫は、ニセほどの力はないが、元勇者。家臣の人望は厚い。姫が倒れて、家臣たちが元魔王のニセに素直に従うわけがない。そこに強大な元魔王といえども隙がうまれると思っているはずだと言うのだ。
だから、姫がこんなに警戒心なくフワフワしているこの現状は。まずいなんて物ではないのだ。めちゃくちゃ困るのだ。
「男聖者様は、しかし何とも無粋な方・・・。少しは、ご遠慮願えれば、姫ともう少し甘い時間が過ごせるのに。」
ケイトが、姫にそう耳打ちする。
俺に聞こえるような声でわざとお前・・・。
「ケイト様ったら、ご冗談を。」
もじもじとする姫。
どや顔でこちらを牽制してくるケイト。どうやら、ケイトの中での人物相関図では、姫に想いを寄せる男聖者英司。それに応じない姫。という図で出来上がっているようだ。
なるほど。
それで、姫の心を自分が奪ってしまえば、俺が焦り出す。その隙をつくか、しつこく言い寄る俺と姫が不仲になるのを狙うか・・・そういう事なのだろう。
ひょっとしたら、俺だけ殺して、姫とは政略結婚なんて筋書きも有り?
このピンチ、どうやって抜ければいいのだろうか・・・。
おい、姫、忘れていないか?
そいつは、あ~ん~さ~つ~しゃ~。
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