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2異世界
ニグルの晩餐会
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晩餐会。
綾香とニセは、国王と共に食事に招かれる。
残念ながら、和食にはまだ出合ったことはないが、スープやパン、鴨肉のロースト、デザートに果物。向こうの世界と基本的な食事内容が変わらないのは助かる。魔獣の姿焼きや、グリフォンのテールスープなんてものを出されたら、完食する自信がない。
「とても美味しくて。感激いたしましたわ。」
にこやかに私が感謝の言葉を述べれば、国王は少し表情が硬い。
「ふ、毒なんぞ入れても、無駄。我々は、魔法を操る。先ほどの治癒魔法をお忘れのようだ。」
と、ニセが嘲笑する。
え、これ毒入りだったんだ。ちょっとピリッとスパイスが効きすぎているなぁなんて感じることは、多少あったけれども。あれが毒だったのだろうか?
ずっと、ニセ君が、毒を解毒しながら食べさせてくれていたんだ。
なるほど、魔王時代に散々勇者である姫がてこずっていた理由が分かる。治癒魔法も毒消しも自在。これは、暗殺する側としては、非情に困る存在だ。
「失礼。た、試したのですよ。あなた方の実力を。勇者になった姫が、散々てこずっていた話は聞いていましたし。いったいどれほどのものだったのかと。」
試したって・・・。いや、試して毒が効いたら、私達死んじゃうところだったでしょ?
「ほら、ここに解毒薬も用意しておりましたし。」
そういって、国王は手元にある小さなグラスを掲げる。
いや、どうみてもそれ、一人分。自分が間違って飲んだ時のために用意しただけでしょ?
「味からして、ヒドラの血と、バジリスクの牙をミックスしたものだろう。その解毒剤とセットで売られていたのであろう?しかし、その解毒剤・・・。」
ちょいちょいと、ニセが空中で手を振ると、妖精が現れて国王からグラスを取り上げてニセに運ぶ。
こくりとニセが解毒剤を飲み干す。
「ふむ。やはりそうだ。この解毒剤では、効かん。これでは、マンドラゴラの熟成が足りない。もう後一ヶ月暗い乾燥した部屋に閉じ込めて、熟成した物を使わないと、解毒の成分が足りなくなる。」
まじ、暗殺側からしたらウザ過ぎでしょ。その態度。ほら、国王が、苦虫をかみつぶしたような顔になっている。
「ご高説いたみいる。」
眉間に皺を寄せて、ずいぶん不機嫌そうにそう言い放って国王は席を立ってしまった。
「?なあ、綾香。あれは、なぜあんなに怒っていたのだ?教えてやったのに?」
ニセが、頭に?を、いっぱいつけて聞いてくる。
分からないんだ、怒る理由。
「知らないわよ。」
もう、説明するのも面倒だ。
「そうか。まあ良いか。」
ニセは、平然と、幻獣猛毒ミックスの入った国王特製料理を食べ続けていた。
綾香とニセは、国王と共に食事に招かれる。
残念ながら、和食にはまだ出合ったことはないが、スープやパン、鴨肉のロースト、デザートに果物。向こうの世界と基本的な食事内容が変わらないのは助かる。魔獣の姿焼きや、グリフォンのテールスープなんてものを出されたら、完食する自信がない。
「とても美味しくて。感激いたしましたわ。」
にこやかに私が感謝の言葉を述べれば、国王は少し表情が硬い。
「ふ、毒なんぞ入れても、無駄。我々は、魔法を操る。先ほどの治癒魔法をお忘れのようだ。」
と、ニセが嘲笑する。
え、これ毒入りだったんだ。ちょっとピリッとスパイスが効きすぎているなぁなんて感じることは、多少あったけれども。あれが毒だったのだろうか?
ずっと、ニセ君が、毒を解毒しながら食べさせてくれていたんだ。
なるほど、魔王時代に散々勇者である姫がてこずっていた理由が分かる。治癒魔法も毒消しも自在。これは、暗殺する側としては、非情に困る存在だ。
「失礼。た、試したのですよ。あなた方の実力を。勇者になった姫が、散々てこずっていた話は聞いていましたし。いったいどれほどのものだったのかと。」
試したって・・・。いや、試して毒が効いたら、私達死んじゃうところだったでしょ?
「ほら、ここに解毒薬も用意しておりましたし。」
そういって、国王は手元にある小さなグラスを掲げる。
いや、どうみてもそれ、一人分。自分が間違って飲んだ時のために用意しただけでしょ?
「味からして、ヒドラの血と、バジリスクの牙をミックスしたものだろう。その解毒剤とセットで売られていたのであろう?しかし、その解毒剤・・・。」
ちょいちょいと、ニセが空中で手を振ると、妖精が現れて国王からグラスを取り上げてニセに運ぶ。
こくりとニセが解毒剤を飲み干す。
「ふむ。やはりそうだ。この解毒剤では、効かん。これでは、マンドラゴラの熟成が足りない。もう後一ヶ月暗い乾燥した部屋に閉じ込めて、熟成した物を使わないと、解毒の成分が足りなくなる。」
まじ、暗殺側からしたらウザ過ぎでしょ。その態度。ほら、国王が、苦虫をかみつぶしたような顔になっている。
「ご高説いたみいる。」
眉間に皺を寄せて、ずいぶん不機嫌そうにそう言い放って国王は席を立ってしまった。
「?なあ、綾香。あれは、なぜあんなに怒っていたのだ?教えてやったのに?」
ニセが、頭に?を、いっぱいつけて聞いてくる。
分からないんだ、怒る理由。
「知らないわよ。」
もう、説明するのも面倒だ。
「そうか。まあ良いか。」
ニセは、平然と、幻獣猛毒ミックスの入った国王特製料理を食べ続けていた。
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