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2異世界
モヘット
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頬にとんでもない痛みがはしった。
ニセに何が起こったのだろう?
あのチートのニセにこれだけの攻撃を加えられるほどの強敵が、向こうの国にいたということだろうか?
頬をさすりながら、俺は、ニセの寝室で綾香先輩とニセの心配をしていた。
ベッドの上、目の前には、モヘット成分を濃縮したエキスの入った瓶。
これを、どのように使えというのか。そもそも『モヘ』とは?
分からないことだらけだ。
考え込んでいて、油断したのだと思う。
戸を叩く音がして、なんとなく開くと、そこには、ケイトの従者三人が立っていた。
「聖者ヅラしやがって、元魔王のくせに!!」
あの美人のお姉さん従者が、そう俺の首を絞めながら、俺をベッドに押し倒す。
「ケイトはどうした?」
「フフッ、ケイト様は今頃、姫の方を始末しているはずだ!!」
美人にベッドに押し倒される・・・憧れのシチュエーションのはずだが、これだけ殺意満々だと少しも嬉しくない。
扉の前に、忍者のような恰好をした従者と、筋骨隆々とした従者が立って、逃げ場を塞ぐ。
「刀では殺せないようだが、絞め業はどうだ。それで駄目なら、首を一瞬で切り落とす!!」
そんな宣言をされる。
もがく俺の手に、例のモヘット・エキスの瓶が当たる。
今しかないだろう。
何がどうなるのか分からないが、とにかくお姉さんに吹きかけてみる。
「うわっ。」
目に液体が入ったようで、お姉さんが一瞬怯む。
・・・
・・・
お姉さんは、突然窓に向かって走り出す。
「私は、『マリアーヌ・金剛山』という名前で、ケイト様総受のBLを書いている!!夢は、ケイト様受けコミュニティの会員を三倍に増やすこと!!」
お姉さんは、とんでもない事を叫び出す。この世界にBLあるんだ。ごっついペンネームだな。いや、実際の上司受けでBLってどうよ?ツッコミが追い付かない。
え~。解説をしよう。
この時の俺は、知らなかったのだが、後で姫に確認したところ『モヘ』とは、思いの丈を叫びたくなる現象。我々の世界でも、海や学校の屋上で、突然告白したり、○○王になる~!なんて将来の夢を叫んだりする、時々見かけるあの状態だ。
天才料理人によって極限まで濃縮されたモヘット・エキスをかけられて、お姉さんは、最高にモヘッとしたい状態にあるのだ。
「今までのヒット作は、『忍者と筋肉男にどM調教されています』で・・・」
お姉さんの言葉に、同僚従者達があたふたしている。
まさか、自分達がネタにされているとは、思いもよらなかったのだろう。しかもヒット作だ。
「次回作は、「元魔王の凌辱監禁生活」だったのに、元魔王が腑抜けで参考にならない!!役立たずだ~!!!」
悪かったな。役立たずの腑抜けで。
いや、役に立ちたいとは、思わないが。
と、とにかくよく分からないが、姫が心配だ。
俺は、モヘット・エキスを扉の前のあたふたしている二人に吹きかける。
二人の男は、お姉さん同様に窓に走り出して、叫び出す。
「週末は、ピンクのフリフリのミニスカを着て鏡の前でポーズを取っている!!!拙者、最高に可愛い!!」
忍者だろ?忍びすぎて変になったか?
「嫁に隠れて、美人芸者にボーナス全部貢いだ!!」
嫁にバレたら大ごとだな、筋肉男。
今は、ツッコミを入れている場合ではない。
姫を助けに行かなければ。
ニセに何が起こったのだろう?
あのチートのニセにこれだけの攻撃を加えられるほどの強敵が、向こうの国にいたということだろうか?
頬をさすりながら、俺は、ニセの寝室で綾香先輩とニセの心配をしていた。
ベッドの上、目の前には、モヘット成分を濃縮したエキスの入った瓶。
これを、どのように使えというのか。そもそも『モヘ』とは?
分からないことだらけだ。
考え込んでいて、油断したのだと思う。
戸を叩く音がして、なんとなく開くと、そこには、ケイトの従者三人が立っていた。
「聖者ヅラしやがって、元魔王のくせに!!」
あの美人のお姉さん従者が、そう俺の首を絞めながら、俺をベッドに押し倒す。
「ケイトはどうした?」
「フフッ、ケイト様は今頃、姫の方を始末しているはずだ!!」
美人にベッドに押し倒される・・・憧れのシチュエーションのはずだが、これだけ殺意満々だと少しも嬉しくない。
扉の前に、忍者のような恰好をした従者と、筋骨隆々とした従者が立って、逃げ場を塞ぐ。
「刀では殺せないようだが、絞め業はどうだ。それで駄目なら、首を一瞬で切り落とす!!」
そんな宣言をされる。
もがく俺の手に、例のモヘット・エキスの瓶が当たる。
今しかないだろう。
何がどうなるのか分からないが、とにかくお姉さんに吹きかけてみる。
「うわっ。」
目に液体が入ったようで、お姉さんが一瞬怯む。
・・・
・・・
お姉さんは、突然窓に向かって走り出す。
「私は、『マリアーヌ・金剛山』という名前で、ケイト様総受のBLを書いている!!夢は、ケイト様受けコミュニティの会員を三倍に増やすこと!!」
お姉さんは、とんでもない事を叫び出す。この世界にBLあるんだ。ごっついペンネームだな。いや、実際の上司受けでBLってどうよ?ツッコミが追い付かない。
え~。解説をしよう。
この時の俺は、知らなかったのだが、後で姫に確認したところ『モヘ』とは、思いの丈を叫びたくなる現象。我々の世界でも、海や学校の屋上で、突然告白したり、○○王になる~!なんて将来の夢を叫んだりする、時々見かけるあの状態だ。
天才料理人によって極限まで濃縮されたモヘット・エキスをかけられて、お姉さんは、最高にモヘッとしたい状態にあるのだ。
「今までのヒット作は、『忍者と筋肉男にどM調教されています』で・・・」
お姉さんの言葉に、同僚従者達があたふたしている。
まさか、自分達がネタにされているとは、思いもよらなかったのだろう。しかもヒット作だ。
「次回作は、「元魔王の凌辱監禁生活」だったのに、元魔王が腑抜けで参考にならない!!役立たずだ~!!!」
悪かったな。役立たずの腑抜けで。
いや、役に立ちたいとは、思わないが。
と、とにかくよく分からないが、姫が心配だ。
俺は、モヘット・エキスを扉の前のあたふたしている二人に吹きかける。
二人の男は、お姉さん同様に窓に走り出して、叫び出す。
「週末は、ピンクのフリフリのミニスカを着て鏡の前でポーズを取っている!!!拙者、最高に可愛い!!」
忍者だろ?忍びすぎて変になったか?
「嫁に隠れて、美人芸者にボーナス全部貢いだ!!」
嫁にバレたら大ごとだな、筋肉男。
今は、ツッコミを入れている場合ではない。
姫を助けに行かなければ。
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