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2異世界
アジムの魔王
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「わて、ニグルの盾の精。暁(あかつき)と申します。よろしゅう。」
『わて』なんだ。一人称・・・。
「いや~。夕ちゃんも、無事、聖剣に戻れたんやねぇ。良かったやん。」
夕ちゃん・・・夕月のことかな?
関西弁キャラ、嫌いではない。
アイドルで、関西弁を話す男の子・・・ちょっとヤンチャな感じの子とか、関西弁だと可愛いと思う。弟キャラとかの子もいいよね。でも、暁よ。お前はなんか違うの。
私は、エルフは、もっと違う感じのこう・・・崇高さ?みたいなものを醸し出していてほしい。そのコテコテな感じは何か違う気がするの。
「暁も元気そうで、何よりでございます。封印されておられたのですか?私みたいに、魔剣になっていた訳でもないのに。」
夕月の質問に、
「ほんま、偉い目にあってん。」
と、暁が怒りながら説明する。
暁の話によれば、盾の持ち主で建国者のニグルの死後、暁は権力の象徴のような扱いを受けていたのだという。暁に認められた者こそが、この国の国王になるのだと。
「知らんがなって話やろ?わては、精霊のプライドを持って、自らに相応しい持ち主を、たとえ出自が庶民でも、資質があれば選ぶに決まってるやん?」
いや、そんな精霊のプライドの方が、知らんがなです。
剣精の夕月だけが、ウンウンと強く首を縦に振る。精霊あるあるなのかしら?
とにかく、それで争いになり、こんな盾はいらんから封印じゃ、となったのが、先代国王の時の話らしい。
「まあ、とにかくこの盾精、暁。聖者英司はんのために、気張りますさかい。これからは、あんじょうよろしゅう頼みます。」
にこやかに笑う暁。
仲間が増えるのは良いことだ。
「ゆっくりしている場合ではないな。馬小屋の外に雑魚が集まり出した。」
ニセがそうって合図すれば、夕月も暁も、剣と盾に戻ってニセの手に収まる。
「綾香、盾は手に入れた。戦闘は面倒だから、このまま逃げるぞ。乗れ。」
ニセがそう言って、氷のグリフォンを二体出す。
綾香が乗れば、グリフォンは、ニセが炎のドラゴンで焼いてしまった天井の穴から、空へと飛び立つ。
当然のように私たちに向かって矢が降り注ぐが、ニセの結界魔法のお陰で一本も当たらない。
「聖者よ。泥棒とはタチが悪い。」
兵士の間に立つ国王が、私達にそう言う。
「ふん。馬小屋に捨て置いた物を拾っただけだ。」
ニセがそう言って、炎のドラゴンを地に放てば、兵士達は慌てて逃げ出す。
これは、聖者っぽくないな・・・。どう見ても、襲撃した魔王の姿。国王が文句を言いたくなるのも分からなくはないかなぁ・・・。
「愚か者どもめ。怪我をする前に、負けを認めるがいい。」
たぶん、『俺が本気で戦えば、怪我をさせてしまう。だから、戦うという選択肢は選ばないでいただきたい』的な意味でニセは使っているのだろうか、これも魔王っぽい。
「お、おのれアジムの魔王め。い、いつか必ず勇者が現れて、お前を撃ち滅ぼすだろう!!」
国王が怒りに震えている。
オッケー、国王は、自分でニセを何とかする気はないようだ。
この時代の勇者とは、姫のことだ。勇者と認める役目は、夕月が担っていた。夕月は、姫とニセの共同所有となっている。
じゃあ、なんの問題もない。いいのかな?
私たちは、天高く国境に向けて飛び立った。
『わて』なんだ。一人称・・・。
「いや~。夕ちゃんも、無事、聖剣に戻れたんやねぇ。良かったやん。」
夕ちゃん・・・夕月のことかな?
関西弁キャラ、嫌いではない。
アイドルで、関西弁を話す男の子・・・ちょっとヤンチャな感じの子とか、関西弁だと可愛いと思う。弟キャラとかの子もいいよね。でも、暁よ。お前はなんか違うの。
私は、エルフは、もっと違う感じのこう・・・崇高さ?みたいなものを醸し出していてほしい。そのコテコテな感じは何か違う気がするの。
「暁も元気そうで、何よりでございます。封印されておられたのですか?私みたいに、魔剣になっていた訳でもないのに。」
夕月の質問に、
「ほんま、偉い目にあってん。」
と、暁が怒りながら説明する。
暁の話によれば、盾の持ち主で建国者のニグルの死後、暁は権力の象徴のような扱いを受けていたのだという。暁に認められた者こそが、この国の国王になるのだと。
「知らんがなって話やろ?わては、精霊のプライドを持って、自らに相応しい持ち主を、たとえ出自が庶民でも、資質があれば選ぶに決まってるやん?」
いや、そんな精霊のプライドの方が、知らんがなです。
剣精の夕月だけが、ウンウンと強く首を縦に振る。精霊あるあるなのかしら?
とにかく、それで争いになり、こんな盾はいらんから封印じゃ、となったのが、先代国王の時の話らしい。
「まあ、とにかくこの盾精、暁。聖者英司はんのために、気張りますさかい。これからは、あんじょうよろしゅう頼みます。」
にこやかに笑う暁。
仲間が増えるのは良いことだ。
「ゆっくりしている場合ではないな。馬小屋の外に雑魚が集まり出した。」
ニセがそうって合図すれば、夕月も暁も、剣と盾に戻ってニセの手に収まる。
「綾香、盾は手に入れた。戦闘は面倒だから、このまま逃げるぞ。乗れ。」
ニセがそう言って、氷のグリフォンを二体出す。
綾香が乗れば、グリフォンは、ニセが炎のドラゴンで焼いてしまった天井の穴から、空へと飛び立つ。
当然のように私たちに向かって矢が降り注ぐが、ニセの結界魔法のお陰で一本も当たらない。
「聖者よ。泥棒とはタチが悪い。」
兵士の間に立つ国王が、私達にそう言う。
「ふん。馬小屋に捨て置いた物を拾っただけだ。」
ニセがそう言って、炎のドラゴンを地に放てば、兵士達は慌てて逃げ出す。
これは、聖者っぽくないな・・・。どう見ても、襲撃した魔王の姿。国王が文句を言いたくなるのも分からなくはないかなぁ・・・。
「愚か者どもめ。怪我をする前に、負けを認めるがいい。」
たぶん、『俺が本気で戦えば、怪我をさせてしまう。だから、戦うという選択肢は選ばないでいただきたい』的な意味でニセは使っているのだろうか、これも魔王っぽい。
「お、おのれアジムの魔王め。い、いつか必ず勇者が現れて、お前を撃ち滅ぼすだろう!!」
国王が怒りに震えている。
オッケー、国王は、自分でニセを何とかする気はないようだ。
この時代の勇者とは、姫のことだ。勇者と認める役目は、夕月が担っていた。夕月は、姫とニセの共同所有となっている。
じゃあ、なんの問題もない。いいのかな?
私たちは、天高く国境に向けて飛び立った。
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