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2異世界
従者の作戦
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ケイトを追いかけて天駆けるユニコーン。ゲームの中でしか見たことがない存在。
まさか、ユニコーンに乗るなんて体験が出来るとは思っていなかった俺は、ちょっとワクワクしていた。
「英司君、しっかりつかまっていてね。」
手綱を握る姫が、そう声をかけてくれる。
ユニコーンに乗りたいとお考えの皆さまのために解説しよう。
乗り心地は・・・あまり良くない。バサバサと翼を動かすたびに揺れる体。時々フルフルと首を揺らすのは、馬の習性?違う揺れも加わって複雑な揺れに翻弄される乗り手。乗り物酔いが心配な方は、ユニコーンにお乗りの前には、酔い止めを飲むことをお勧めする。
・・・吐きそう・・・。
「そこ、ケイトを見つけた。」
乗り物酔いで青い顔をした俺が、はるか前方を指せば、姫がマズイと声を漏らす。
ニセ達がいつ戻るのか分からない今、ケイト達に国境を渡らせる訳にはいかない。もし渡らせれば、最悪それは、ニセ達の死を意味し、そのままそれは、分身体としてつながる俺たちの死も意味する。
国境地帯には、姫の従者である十人の愉快な仲間たちが潜んでいるはず。国境地帯を渡る者を食い止める役割を担ってくれているのだか、これくい止められるのだろうか?
相手は、多少なりとも魔法を使うケイト王太子、上司受けBLを執筆する腐女子アサシン、女装癖のある忍者、浮気性の筋肉男・・・。あれ?なんとかなりそうな気もする。
いやいや、ポンコツそうに見えても、訓練された暗殺集団だ。魔法も使えない従者たち十人では、そう考えても、負けてしまうだろう。
ケイトたちに気づいた従者たちが、合図の照明弾を放つ。
パン!!大きな音と共に、真昼のように明るくなったそこには、大きなテントが建てられて橋を塞ぎ、祭りの準備がされている。
??????え?
照明弾の合図により、花火が何発も打ち上げられて、国境地帯の村人が大勢、家から出てくる。初めから、示し合わせていたのだろう。
満面の笑みの村人たち。
ケイト達が戸惑っている。
「ケイト様だ!!」
「ようこそ、アジムへ!!」
次々と村人が走り寄って、ケイト達が剣を構える前に、ケイト達を花束でいっぱいにしてしまう。
やたら陽気な音楽に合わせて、村の女子供が歌い踊り出し、王室の天才料理人の料理が振舞われる。
テントや村人に行く手を阻まれたケイト達は、あっという間に馬から引きずり降ろされて、踊りの輪の真ん中を連れていかれる。
案外うまいやり方かもしれない。
相手に武力では、勝てないと思った従者たちは、「ケイト達を引き留めて先へ進ませない」という目的を達成するために、策を練ったのだ。
その策が、この不思議な「ケイト様ご一行いらっしゃいませ歓迎会」なのだろう。
この村全体が一体となった動きは、姫のカリスマ性のなせる業なのかもしれない。
きっと、元魔王ニセだけならば、こんな風に村全体で協力なんてしてくれなかっただろう。
とにかく、馬番、修道院長、料理人・・・そういった魔法も武力も持たない普通の人達である従者十人は、村人と協力してケイトを引き留めたのだ。
あいつら、意外とすごい。見直した。
まさか、ユニコーンに乗るなんて体験が出来るとは思っていなかった俺は、ちょっとワクワクしていた。
「英司君、しっかりつかまっていてね。」
手綱を握る姫が、そう声をかけてくれる。
ユニコーンに乗りたいとお考えの皆さまのために解説しよう。
乗り心地は・・・あまり良くない。バサバサと翼を動かすたびに揺れる体。時々フルフルと首を揺らすのは、馬の習性?違う揺れも加わって複雑な揺れに翻弄される乗り手。乗り物酔いが心配な方は、ユニコーンにお乗りの前には、酔い止めを飲むことをお勧めする。
・・・吐きそう・・・。
「そこ、ケイトを見つけた。」
乗り物酔いで青い顔をした俺が、はるか前方を指せば、姫がマズイと声を漏らす。
ニセ達がいつ戻るのか分からない今、ケイト達に国境を渡らせる訳にはいかない。もし渡らせれば、最悪それは、ニセ達の死を意味し、そのままそれは、分身体としてつながる俺たちの死も意味する。
国境地帯には、姫の従者である十人の愉快な仲間たちが潜んでいるはず。国境地帯を渡る者を食い止める役割を担ってくれているのだか、これくい止められるのだろうか?
相手は、多少なりとも魔法を使うケイト王太子、上司受けBLを執筆する腐女子アサシン、女装癖のある忍者、浮気性の筋肉男・・・。あれ?なんとかなりそうな気もする。
いやいや、ポンコツそうに見えても、訓練された暗殺集団だ。魔法も使えない従者たち十人では、そう考えても、負けてしまうだろう。
ケイトたちに気づいた従者たちが、合図の照明弾を放つ。
パン!!大きな音と共に、真昼のように明るくなったそこには、大きなテントが建てられて橋を塞ぎ、祭りの準備がされている。
??????え?
照明弾の合図により、花火が何発も打ち上げられて、国境地帯の村人が大勢、家から出てくる。初めから、示し合わせていたのだろう。
満面の笑みの村人たち。
ケイト達が戸惑っている。
「ケイト様だ!!」
「ようこそ、アジムへ!!」
次々と村人が走り寄って、ケイト達が剣を構える前に、ケイト達を花束でいっぱいにしてしまう。
やたら陽気な音楽に合わせて、村の女子供が歌い踊り出し、王室の天才料理人の料理が振舞われる。
テントや村人に行く手を阻まれたケイト達は、あっという間に馬から引きずり降ろされて、踊りの輪の真ん中を連れていかれる。
案外うまいやり方かもしれない。
相手に武力では、勝てないと思った従者たちは、「ケイト達を引き留めて先へ進ませない」という目的を達成するために、策を練ったのだ。
その策が、この不思議な「ケイト様ご一行いらっしゃいませ歓迎会」なのだろう。
この村全体が一体となった動きは、姫のカリスマ性のなせる業なのかもしれない。
きっと、元魔王ニセだけならば、こんな風に村全体で協力なんてしてくれなかっただろう。
とにかく、馬番、修道院長、料理人・・・そういった魔法も武力も持たない普通の人達である従者十人は、村人と協力してケイトを引き留めたのだ。
あいつら、意外とすごい。見直した。
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追記:2025/09/20
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