君の小水が飲みたい

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14、常識ってなんだ?!

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 何時ものように、狼のゲリとフレキ、大烏のフギンとムニンは、ミーティングをやりだした。
 オレとひよこは、馬小屋というより部屋なんじゃね? 的な厩舎の中。
 オーディン様の愛馬で、八本足のスレイプニル、グラニの住まいにお邪魔している。
 オレが巨人のミーミルに貰った雌牛アウズンブラと、グラニの二頭は仲良くオレの手から餌を食事中だ。
 食べ終わったら、アウズンブラの乳を絞って、ミルクは無限収納にストックしておく。
 新しいメンバー。金のタマゴを産むがちょうの雛、コイツはオレの頭の上でなにやらゴソゴソと髪をいじっている最中だ。

「リック、がちょうの雛に頭で巣作りされてるぞ?」

「コモンさん。ひよこを降ろそうとしたら、しがみつかれて危うく流血するところでした」

「どれ。「ッ! 痛い! イタタッ!」 こいつぁ取れねえわ。もういっそ頭に乗せて飼え」

 コモンさんに捕まえられたひよこは、渾身の力でオレの頭を掴んできた。
 何故取れないんだ?! ひよこの握力恐るべし!
 まあ、コレじゃあ落ちる心配は要らないだろう。

「ですかね? ああ。ミーティング、終わったみたいです。フギンとムニンにも食事をさせないと」

「じゃあ、グラニとアウズンブラはこっちだ」

 コモンさんに言われて、素直に二頭は厩舎の外へ出て行った。
 そして大烏の二羽はオレのところに来て、カッパと大きく嘴を開ける。

「アア~!」「かあ~あ!」

「はい、はい。お待ちどう様。沢山食べてくれ」

 生肉を口へと押し込んでやるとゴクゴク飲み込んでいく。
 どうやら肉は飲み物らしい。

「よし! ご馳走様だな? 綺麗にしてからオーディン様に会いに行ってくれよ~」

「カア!」「かあかあ!」

 まるで、オレ言っている言葉を理解しているみたいにイイ返事をする。
 おとなしく体を低くしてくれるので、オレ特製の羽毛用ブラシで撫でる様に梳かす。
 気持ち良さそうだ。目が半眼になっている。
 毎日、世界中を飛び回って仕事をする《渡り鴉》の二羽。
 無事に帰って来てくれてほっとする。

「何時もオレにモフらせてくれてありがとうな。綺麗になったから、オーディン様に会いに行っておいで」

「「カア!」」 バサバサバサバサバサバサ!


「さあ! ゲリ、フレキ、散歩に行こう!」

 オレの掛け声でゲリが素早く『フセ』を。
 で、フレキがくわえて乗せてくれる。散歩時の一連の動作だ。
 さて、今日はどこに連れて行ってくれるんだろう? 楽しみだなぁ。

 
「うわあああー! ゲリ、フレキ、そっちはダメだって~!」

 安全ベルト~! 無いんですけど~! ヒイイ~!

「ウオーン!」「おんおーん!」

 二頭は崖から飛んだ。
 コレで二度目である。
 行き先も見当がついた。
 崖の下はスヴァルトアーヴヘイム。
 このまま行けばアラクネーの村だ。
 はっきり言って、行きたくねえ! オレはれっきとした成人男性だ。
 アラクネー達の餌食、ターゲットど真ん中なんだよ!
 喰われて、死ぬるわ!

「あ! リックさん!」

 やっぱり~! アラクネーの美人姉妹。
 姉のミネアさんだ。

「リックさん! お願いします! 妹を、アテナを助けて下さい!」

 え?! アテナちゃん? 一体どうしたんだ?!
 おおう。三人(?)がスゲー速さで森を駆け抜ける。
 ゲリ~! だから、安全ベルトが無いんだってば~!
 喰われる前に死ぬるわ! ヒイイ~!

「ゼエ、ハア、ゼエ、ハア。つ、着いた。なあフレキ、オレ生きてる?」

「アテナ! リックさんが来たよ! 頑張って!」

 オレはヨロヨロになって姉妹の家に入る。
 ?! アテナちゃんが死にかかってる?!
 布団の上にのっている腕はガリガリ。
 顔色は青白くげっそりと頬がこけてるじゃん?!

「アテナちゃん? 何で?! どうしてこんな事に?!」

「リックさん、お願いします! アテナを助けて下さい!」

「ミネアさん、落ち着いて。どうしてこんな事に? オレに何が出来るんですか? 教えて下さい」

「食事を、アテナが何も食べられなくなってしまって。リックさんに頂いた果物は食べてくれたんだけど。もう果物も何も受け付けなくなってしまって。お願いしますリックさん! アテナにあなたの体液を与えて下さい!」

「?! え? オレの体液ですか?」

「はい! 涙でも、汗でも、唾液でも、何でもいいんです! このままではアテナが弱って死んでしまうの!」

「え~っと? あ! そうだ! オレの指でもしゃぶらせてみる?」

 前回、果物をあげた時の事を思い出した。
 指先を少し噛まれて、出た血を嘗められたんだっけ。
 あれは喰われたと言わねえよな。だって傷もすぐに塞いでくれたし。
 ゴメン! 手汗かいてるけど。
 そっと指先をアテナにくわえさせる。

「アテナちゃん? ほら? 指だよ? 噛み噛みしてイイよ?」

 オレはアテナちゃんの舌をつついてみる。

「ちゅ。ちゅ、ちゅ、ちゅ。」

「ああ! 吸っているわ。でも……。もう噛む力は無いわ」

「じゃ、じゃあ、仕方ないから、指先切って血を出そう!」

「いけません! 今、ソレをすると、際限無く吸い尽くしてしまうわ!」

 げっ?! さすがにソレはちょっとダメだ!
 アテナちゃんが復活して、オレが死ぬなんて。
 血を出して飲ます方法はガクブル案件。

「あの、リックさん。あの、あの~。ソレはダメでしょうか?」

 ミネアさんが遠慮がちに、赤面しながら指をさす。
 オレの『ソレ』……。
 いや、オレも男だし、ちらっと考えたけどね?
 さすがに、イカンだろう?

「あの。おしっこでもいいんですが、あげて貰えませんか?」

 まさかの《飲尿!》リクエスト?!
 こっちの世界では普通なのか?!
 ゲリとフレキ、アウズンブラもオレのを美味そうに飲んでたよな?
 ええい! 人命(?)救助だし!
 だが、人前では恥ずかしい。

「あの、あげてみますけど、でも、恥ずかしいんで、ミネアさん、見ないでくれますか?」

 絵面が完全にアウトだろうし。
 お姉さんの前で、妹にチンポ吸わすのは、どうなんだ?!

「はい! ありがとうございます! 無理なお願いなのは、わかっていますから……。どうかお願いします!」
 
 いや、おかしいだろ?!
 ロリコンで変態なら、むしろご馳走様だろうコレ?
 オレは違うけど。

「あの、今更ですけど、妹さんにオレのをくわえさせて良いんですか?」

「是非! お願いします!」

 おおう。勢い。話しの内容はダメだが、お願いポーズの仕草が可愛いぞ!
 あ、勃起はんのうしちゃった。
 コレをアテナちゃんの小さなお口に?!
 あ、イカン。平常心だ!

「人命救助、人命救助、人命救助。じゃあ、アテナちゃん? こっちをくわえて?」

 唇に先っぽをチョンチョン。

「ちゅ、ちゅ~! じゅ、じゅ、ジュジュジュ~!」

 あ、吸いついたぞ! て、ヤバイ! 気持ちいい。

「ぐお゛スゲー。あ、出る!」

 はい。出ました。
 オレの体液が。
 そして、飲まれました。
 やっぱりこの世界では《飲尿》は普通なのか?!
 スミマセン。《尿》以外も出してしまいました。

「おいしい……。ちゅ、ちゅ、ちゅ。もっと欲しいの」

「あ、あ、アテナちゃん?! あわわわ! 扱いちゃダメだってば!」

 抜かれました。
 二度目の吐精も美味しそうに飲まれました。
 イイのか? コレ?!

「ちゅ~、ちゅぽ。ぷはぁ」
 
 竿に残ってるのまで吸いつくされた……。
 だから、まあ、良さそうだわ。
 あんなにげっそりやつれて死にそうだったアテナちゃんが、ツヤツヤのぷくぷくになってるし。
 どうなってんだよオレの《体液》!

「あ! アテナ! ああ! こんなに?! 凄いわ! 有り難うございます! リックさん!」

 複雑です。
 お礼を言われて『どう致しまして』と素直に受けとめて言うには、アレ過ぎる。
 だが、これは、口止めが必要だろう?!
 オレのナニで『元気ハツラツ!』ってもう、コレがバレたら恐ろしい事になるだろ?!

「有り難うございます! もちろんです! 本当に貴重なモノを有り難うございます!」

 『貴重なモノ』なのね? オレのナニは。
 やっぱりおかしいわ!
 この世界。コレは常識なのか?!

「お兄ちゃん、助けてくれて、ありがとうなの」

 可愛い。こんなに可愛い子に、オレは……。
 ここの常識が分からねえ!
 誰か教えて下さい!
 ……。
 ミーミルの泉さん……。
 この、役立たず~!
 いや、常識だからか? オレが悪いのか? 常識知らずなのかオレ?!
 って、誰に聞けばいいんだよ~?!
 ここは、恥を偲んで聞こう。コモンさんか? グラさんか?

「じゃ、オレ、帰ります」

「お兄ちゃん! また来てね! お願い!」

「あの。ご迷惑ですよね? スミマセン。図々しくて。でも、この子にはリックさんが必要みたいで……」

 あ、ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ!
 この展開はヤバイ!

「あ! オレ、いいもんあったんだ! コレ! コレどう?!」

 オレはグリさんのシチューを出した。
 おおう。
 シュババババ! って、アレ、糸だよな?
 鍋が一瞬で包まれて見えなくなったぞ?!

「リックさん?! こんなモノを、そんな風にポンと出してはいけません!」

「え?! あの、ただのシチューですよ?」

 めっちゃ美味しいけど。

「え?! だって、こんなに凄い魔力が溢れてるんですよ?!」

「へえ?! そうなの? じゃあ、このシチューを差し上げますから、アテナちゃん、ミネアさん。いいかな?」

「リックさん?! いいんですか?!」

「ええと、このシチュー二人で食べたらで、何日ぐらいもつかな?」

「へ? 何日ですか? コレがあれば、この子が成人するまでは大丈夫ですよ?」

「いや、そんなに日持ちしませんよ?」

「いえ、普通に、一度食べれば充分ですよ?」

 このシチューを一度でか?!
 食い尽くすのか?!
 アラクネーの常識なのか?!
 またかよ?! トンデモ常識!
 
 こうしてオレは新たな常識の壁にぶち当たった。
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