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第20話 どちらの言い分も分かる
しおりを挟む「もしかして、俺達難攻不落の天空城へついに着くことができたんじゃないんすかね? アイク隊長」
「あぁ、信じられないのだが、どうやらそのようだな」
どうやらホークも俺と同じ事を思っているようで、今俺達が立っている所は天空城であると確認も込めて俺に聞いてくる。
「まったく、どうなっているんですかね? 今まで帝国の歴史が書かれている書物などにも一度も、天空城へたどり着いた事などが書かれていないのに……何故今になって私達だけが天空城へたどり着く事ができたんですかね……? なにか嫌な予感がするんですが?」
「お前はいつも物事を深く考えすぎなんだよっ。 とりあえず今はあの天空城へ来れたという事実を喜ぼうじゃないかっ!」
「ホークさんはむしろ考えが無さすぎますっ!! 良いですかっ!? 文献などにも天空城の内部の事は何も書かれていないどころか今まで訪れた事があるという人は一人もいなかったんですよっ!? それが私達だけが訪れる事ができたというのは何かしら原因があっての事だと考えて行動しなければ不測の事態に対処できずにこの部隊は全滅しかねないじゃないですかっ!!」
そして俺の部下である副隊長のホークと水属性剣使いのスイが言い争いをし始めるのだが、どちらの言い分も分かる。
未知ゆえに時に大胆な行動を選択しなければならない時もあれば未知ゆえに慎重に行動する事も勿論大切である。
「まぁまぁ落ち着け。 両方ともあっているし、両方とも間違っているだろうっ。 流石に時と場合だろうそんな事はっ。 むしろ今争ってどうするっ!? こんな時だからこそ冷静になるのが一番先決であり、仲間同士で喧嘩をし始めるのは論外だと俺は思うぞっ?」
「ぐぬ……っ。 確かに、ここで冷静さを欠いては対処できることも対処できなくなってしまいかねないっすね……。 も、申し訳ございません」
「それもそうですね……。 こんな所で大声で喧嘩をしていたら、万が一敵がいた場合なども我々の居場所は直ぐに特定されかねないですしね……。 申し訳ございません」
そして二人は俺の注意された内容には同意だったらしく、バツが悪そうに謝罪をしてくる。
「まぁ、分かってくれたんならそれでいい」
とりあえず二人が冷静さを取り戻せてくれたのならば、今はそれで良いだろう。
問題はこれからどうするかである。
このまま先へ進むにしても天空城の降り立った場所が分からない上に、どこに何があるのか分からないのである。
闇雲に進んだ所で迷子になっては目もあてられないし、かといってワイバーンで一度空から見渡して目的の城まで行こうとして、いままでのように雲に阻まれて外に放りだされてしまう可能性だってあるのだ。
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