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第37話 あの胸は反則だろう
しおりを挟むそして私たちは案内された席へと座ると、テーブルに置いてあったメニュー表を手に取る。
「ミサトs……お、お姉ちゃんは何を頼みますか?」
あ、危なっ!! 一瞬周囲にいる客や店員が一斉にこちらの方へ視線を向けた気がしたのだが、どうやら気のせいだったようでホッと胸を撫で下す。
「そうね、私はここへ来たのは初めてだから最初はトロワのおすすめにしようかしら。 トロワ的におススメの料理はどれかしら?」
そう私が言うと、周囲にいる客や店員が急に静かになり、まるで私がこれから何を頼むのか聞き逃すまいと聞き耳を立てているように感じるのは気のせいだろうか?
「そうですねぇ……分かりましたっ!! 店員さん、これとこれとこれと、あとそっちとあれもお願いしますっ!!」
「かしこまりました。 少々お待ちください」
そしてトロワのオーダーをメモした、恐らくサキュバスであろう店の制服(上は黒いTシャツに白字で店のロゴが入っているものに、下はジーンズの上に黒いエプロン)を着たお姉ちゃんがパタパタと背中に生えた小さい羽で飛びながら厨房へと向かい先ほどメモしたオーダーを通しに行く。
さすがサキュバスというべきか、全く色気のない制服に、客からオーダーを聞いてそれを厨房へと通すだけの動作にも関わらず隠しきれない色気が出ているのが私でも分かる。
というか、あの胸は反則だろう。
インキュバスは自分でフェロモンの出力を調整できるらしく、そしてもし先ほどの彼女が少しでもフェロモンを出していたのならばここにいる男性たちは正気を保てなかっただろう。
しかしながらここにいる男性たちが正気を保てているのを見るに彼女は自身の身のこなしと胸だけであの色気を出していたという事でもある。
そもそもフェロモンを出してしまっていたら男性のスタッフたちが仕事どころではない為まともに仕事ができなくなるだろうから当たり前か。
……というか小さい羽でぱたぱたと飛んだら、いくらTシャツとはいえ大きな胸は重力によって下へ突き出る訳で、そしてそこへ飛ぶ動作が加わりばるんばるんと凄い事に……っ。
「お姉ちゃん?」
「な、なんでもないっ!! そ、それよりもトロワが頼んでくれた料理はどんなんだろうなぁ。 楽しみだなぁっ!」
そして、そんな私をトロワが心配そうに声をかけてくるので問題ないと返し、即話題を変える。
「全部おすすめで美味しい料理ばかりだから楽しみにしていてくださいっ!! 特にドラゴンの筋煮は最高で──」
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