おばさん、異世界転生して無双する(꜆꜄꜆˙꒳˙)꜆꜄꜆ｵﾗｵﾗｵﾗｵﾗ

第51話 皇族だけが行使できる魔術

「しかし、凄い勢いで吹っ飛んでいったわね……まさか、殺してないでしょうね？　ラムダ」
「いや、俺だってビックリしてんだよ……。　まさか、これほどまでに弱いとは俺も思わなかったからな……っ！　これでもめちゃくちゃ手加減をしたんだぜ？」
「あなたが手加減をしている事は見たら分かるわ……。　でも、もしあの女を殺してしまったら私たちはミサト様の言いつけを破った事になるわね……。　それだけは何とか避けたいのだけれども……即死でない事を祈りましょう。　少しでも息があれば私が回復魔術で何とかするわ」
「さすがゼータッ！！　頼りになるぜっ！！」
「あんたねぇ……せめて回復魔術の一つくらいは覚えておきなさいよ」
「いや、俺は体術が基本だから身体強化系ならばまだ何とか覚えてやろうという気になるというか、それが体術の底上げになるから必死に覚えたんだが、その他魔術には本当にダメで才能が無いからなっ！！」
「何でちょっと偉そうなのかしら？」

　そして件の二人、その内の狼人族の奴が丸腰でコーネリアの前に出た次の瞬間には鈍い音と共にコーネリアを吹き飛ばすではないか。

　誰が帝国最強の騎士であるコーネリアを、たった一撃で倒されると予想できようか。

　もし他国にコーネリアより強い存在がいたとしても、一撃で倒せるものなどいる筈がない。　お互いに駆け引きを織り交ぜ、接戦の末に勝利するはずである。

　だからこそ、俺はたったに一撃でコーネリアが倒されたという事実を受け入れるのにかなりの時間がかかってしまう程である。

　そしてコーネリアが吹き飛ばされた方を確認すると、腹に穴が開き、床に倒れているコーネリアの姿が目に入ってくるではないか。

　それをみた我は『コーネリアはもう助からない』と悟った。

「……う……ぅ……っ」
「お腹に風穴が空いてしまっているけど、何とか生きているみたいだわ……、ラムダが殴った個所が頭じゃなくて本当に良かった……っ」

　流石に、腹に風穴を開けられては失った臓器は当然ある訳で、現に床には散らばっている訳で……。

　この我が犯すはずだったのに……。

　こいつらはそれをただの肉片へと変えやがったのだ。

「今まで我慢してきたのだがもう許さん……」

　そして我は魔術を詠唱し始める。

　こいつらは代々皇帝に受け継がれていく魔術を使ってでも殺さなければならない。

　そう思えてしまう程には、今の我は産まれて来て今までの中で群を抜いて怒っているのだ。

「なるほど、これがミサト様の言っていた皇族だけが行使できる魔術ってわけね……」