おばさん、異世界転生して無双する(꜆꜄꜆˙꒳˙)꜆꜄꜆ｵﾗｵﾗｵﾗｵﾗ

第68話 我に向かってなんと言ったか

「あ？　何を言っているのか分からねぇよ。　言いたい事があればハッキリ喋れや」
「うぅうぅーーっ！！」

　だから喋りたくても皮膚が伸びず口が動かないんだと言いたくても、美味く喋れない事には変わりない為結局伝わらないではないか。

　この我にこのような狼藉を働いて、ただで済むとでも思っているのであれば、痛い目を見させてやろうっ！！

　そうやってデカい態度でいられるのも今の内だけだ。

　後で今まで自分が行ってきた行いを謝罪して来たとしても許してやらぬわっ！！

「おら、時間らしいから行くぞっ！！」
「うっ！！」

　その時がいまから楽しみで仕方ないのだが、その前にまだ我はこの犬男たちに何かをされるようである。

　もうあんな痛い思いはこりごりである為必死になって移動するのを拒むのだが、突っ張った皮膚では満足に身体は動かせずに引きずられるようにどこかへと連れていかれる。

　そもそも万全な状態であったとしてもこの犬男の力では我は太刀打ちできなかったのであろうが、それでも今の我よりかはまだ抵抗できた事だろう。

　それもこれも低レベルなポーションを作った薬師のせいだろう。

　後でこんなゴミみたいなポーションを作った薬師たちもキツイ罰を与えなければならぬな……。

　まったく、我が優秀過ぎてやることが多すぎるというのも問題である。

「おい、着いたぞ。　お前はあそこで首を定位置にセットして横になってろ」

　そんな事を思っているといつの間にか目的の場所へと着いたみたいである。

　まず初めに目に入ってきたのは処刑台であり、首を切り落とす為に斜めに取り付けられた大きな刃が太陽の光によって鈍い死の光を放っているではないか。

　そして次に、その処刑台を囲むようにして大勢の民衆が集まっており、我の顔を見た瞬間割れんばかりの歓声と罵倒が飛んで来る。

　ふむ、民衆もあとでお仕置きが必要であるな……とは思うのだが、先程この犬男は我に向かってなんと言ったか。

　この処刑台の首を置くところに我の首を置いて横になれと言わなかったか？

「うううぅうっ！！！！」
「うるさい黙れ。　まぁ素直に行くとははなから思っていなかったし、それができるだけのできた人物ではないという事も分かっていたが、実際にこうして駄々をこねられると腹が立つものだな……」

　ここで我はこの犬男が我をあの処刑台を使って公衆の面前で処刑しようとしている事に気付く。

　どうせこれで処刑するのであれば、あの三日間はなんだったというのかっ！！　これではやられ損ではないかっ！　ふざけやがってっ！！