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第81話 新しく配属された領主
しおりを挟むっ!? 何故それを分かったっ!!
私たちは何も怪しい行動を一切取っていない筈である。
しかしながらこの目の前のオークは私達を見ただけで『余所者であ』と見抜いたのである。
「あ、あぁ。 それが何だっていうのよっ!! 私たちは隣町から来た冒険者よっ!! そして、今現在この町のギルドを占拠しようとしているオークたちを討伐する者でもあるわねっ!!」
その事に一瞬だけビビるのだが、そもそもこの者たちは人間ではなくオークなのだ。
であれば人間と同じように考えるのは愚策であろう。
この場合人間相手であれば他国の間諜であると疑われている可能性が高いのだが、相手はオークである。
であれば他国の間諜であるとバレたのではなく、この町の住人ではない別の町から来たものであると思われていると考えて良いだろう。
「……お前、そんな訳がないだろう。 俺達をオークだからと判断して適当な嘘で誤魔化そうとしてこの場を乗り切るつもりなのだろうが、いくらなんでも直ぐばれる嘘で誤魔化せるほど俺も頭は悪くないぞ?」
しかしこのオークは無駄に頭が周るらしく、私が嘘でこの場を切り抜けようとしている事がバレてしまったようである。
それと同時に私はこの時点で変な不自然さを感じてしまう。
そもそもオークというのは、確かに変異種や上位個体は人の言葉を喋る者はいるのだがここまで流暢には喋らない上に、そもそも会話が通用するような相手ではない。
他人の言葉を喋ると言ってもせいぜい知能は恐らく人族で言うと四歳児から六歳児ていどで社会性を築いているものの服などは着ておらず武器も持って棍棒程度。 それが我々の良く知るオーク像である。
しかしながら目の前にいるオークたちは感情の赴くまま行動する訳でもなく、そもそも衣服どころか鎧を装備して手には鈍く光る黒い斧を持っている。
だからこそ私たちはこのオークたちの存在に気付く事が遅れたとも言えよう。
そしてオークたちは私達を攻撃して来るのではなくできるだけ対話で解決しようというのが窺えてくるし、その話す言葉は流暢であり、目を瞑ればオークが喋っているとは到底思えない程である。
考えれば考える程異質なこのオークを前にして私はどう対処すれば良いのか分からなくなってきてしまう。
そんな時、一人の男性が私の肩を軽く叩いて来るではないか。
「……な、なんだ貴様は?」
「初めましてかな? 私はここのギルドマスターのオットーと申します。 そして、信じられないかと思いますが目の前にいるオークが、この地に新しく配属された領主のアドン様でございます」
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