独身彼氏なし作る気もなしのアラフォーおばさんの見る痛い乙女ゲーの夢のお話

みにゃるき しうにゃ

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今度はみんなで神社へ行こう その1

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 屋敷に帰るとにこにこ顔の棗ちゃんが出迎えてくれた。

「調べ物の方はいかがでしたか、姫様」

 言葉の内容は調べ物についてだけど、たぶんきっと透見と上手くいったのかを訊きたいんだろう。女の子は恋バナ好きだもんね。

「それが残念ながら、大した収穫がないのよ~」

 困ったように笑ってみせると、透見もそれに頷いてくれた。

 例の頁の件は、帰る前に透見に口止めした。『透見』っていう単語が本当に正しいのか自信ないし、それだけじゃ意味が分からないからもうちょっと何か分かるまでは皆には言わないでおこうよって言って。

 今の段階でその事を言っても「無駄に園比さんにヤキモチ妬かれちゃいますね」と透見も賛成してくれた。



 夕食の席で同じように収穫が無いことを告げると園比が待ってましたとばかりに言う。

「やっぱ引きこもって調べてるより〈唯一の人〉捜して街を歩いた方が良いよ。今まで透見が何年も調べても特徴とか分かんなかったのに、今更調べてもすぐに分かるとは思えないもん」

 どうだ、と言わんばかりの顔。つい乾いた笑みを浮かべてしまう。まあ、調べ物は口実だしね。

「けど小鬼が闊歩している今、姫様をウロウロ歩かせるのは危険じゃない」

 給仕をしながら棗ちゃんが顔をしかめる。

「いや、それが小鬼の姿が無いんだ」

 棗ちゃんの言葉に剛毅が肉を頬張りながら、ちょっと考えるような仕草で言った。それを引き継ぐように戒夜が口を開く。

「お二人が図書館にこもっている間、我々は手分けして街を巡回していたのです。しかし誰も小鬼の一匹も発見出来なかった」

 どういう事だろう? えーと、小鬼はわたしを捜して暴れ回るって設定だったよね、確か。

「この間小鬼を倒してから、新しい小鬼がまだ来てないとか?」

 わたしの言葉に剛毅が首を振る。

「この間全員倒せた訳じゃないんだ。なんせ相手は『空飛ぶ赤鬼』だから、姫さんがいなくなった後、何匹か空に逃げられちまってるんだよ」

 んー、悪い。と言いながら剛毅が朗らかに笑う。笑ってる場合じゃないと誰もつっこまないのは、剛毅の事を良く分かってるからだろうか。

「考えられるのは、姿を隠し姫が現れるのを待っているのか、仲間を呼びに行くため島を離れているのか……」

「きっと今島にはいないんだよ。だから姫様が自由に動けるチャンスじゃん? 図書館になんて籠もってないで今の内に僕らと街に捜しに行こうよ」

 戒夜の言葉が終わらない内に園比が勢い込んで言う。今にもドン! とテーブルに手を突きそうな勢いだ。

「しかし……」

 渋い顔をする戒夜だったけど、ちらりと透見の様子を見る。それまで黙ってみんなの話を聞いていた透見は、それに応えるように口を開いた。

「姫君はどうされたいですか?」

 てっきり透見も自分の意見を言うんだろうと思ってたわたしは、自分に振られてびっくりした。

「あ? えーと……」

「わたしは姫様には安全な場所で透見と調べ物しててくれた方が良いと思うけど」

 困るわたしを助けてくれるように棗ちゃんが提案してくれたんだけど。

「だが園比の意見も一理ある。調べ物が遅々として進まないのであれば、動ける内に街中を捜すのもありではないか?」

 何故図書館で透見と調べ物をする事にこだわるんだと言いたげに、戒夜が棗ちゃんに冷たい視線を向けた。

 なんか棗ちゃんが責められてるみたいで、申し訳なかった。棗ちゃんは単にわたしに協力してくれてるだけなのに。

「オレも今の内に捜すのありかなって思うよ。小鬼が出没しだしたら、また図書館に籠もればいいじゃん?」

 剛毅までがそう言う。そうなるとわたしも棗ちゃんも「それでも図書館」とは言いづらくなってしまった。もっと何か手掛かりが掴めてたら言えてたかもしれないけど、何も報告出来てないこの現状じゃ、ちょっと難しい。

 そこでふと、図書館で軽く思いついた事を思い出した。

「えーと、神社にも小鬼はいなかったんだよね?」

 確認の為、みんなの顔を見渡すと園比がきっぱり言った。

「いなかったよ。あそこは二度も小鬼に遭遇した場所だから、みんなで時間差で行ってみたけど、いなかった」

 透見以外の他のみんなもそれに頷く。

 うん、それなら。

「じゃあ、明日はみんなで神社に行かない?」

 わたしの提案にみんな驚いた顔をした。


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