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【お気に入り500お礼】 成人の儀 2
しおりを挟むそして、あっという間に生誕日になった。
市井にいるときはそんな余裕はなかったが、城に来てからは父上に生誕日をきちんと祝って貰っていた。
慣れない頃は俺の自室でささやかに。王太子位を授かり、公務を任されるようになってからは、立派な祝賀会を開いてくれた。
ただ、どれだけ回数を重ねても生誕日の朝に慣れることはなく、やはりどこか落ち着かない。
「陛下は既に朝食を摂られたそうです」
「……あぁ、分かった」
父上はもう既に城に行っているらしい。
少し残念に思いながら、それでも落ち着かない身体でなんとか朝食を摂った。
今夜の儀式の為に公務を長引かせないよう、少しだけ早めに執務室へ向かう途中、サディアに会った。…と、いうよりも確実に俺の行動を読んで待ち伏せていた感じだったが。
「お誕生日おめでとうございます、兄様!」
「…ありがとう、サディア」
部屋を移る前は、毎年サディアが朝一番に部屋に前に立って最初に祝ってくれた。
思わず笑みが零れてしまう。けれど、そんな俺を見てサディアが更に嬉しそうに笑うから、まぁ…いいよな。
離宮は父上の許しがないと入れないからここで待っててくれたんだろうが、後ろに側近まで控えているし、俺の予定で振り回してしまったようで悪いな…。
「毎年ありがとう、サディア。でも、これから忙しくなるからもう無理に時間を作らなくても、」
「ぇ…そ、そんなこと言わないでください、兄様!
……それとも、ご迷惑でしたか…?」
「ぃ、いや…そうではないが…」
「ではやめません!
僕が!兄様に!一番にお祝いしたいからしているのですから!!」
「そ、そうか…」
気を遣ったつもりだったが、勢いに押され頷いてしまった。…まぁ、本人がそう言うなら仕方ないか。俺も嫌ではないのだし…。
継続されるならと、サディアの影に控えるように佇む側近に、「これからもサディアをよろしく頼む」と声をかければ、少し瞠目したあと優雅に頭を垂れた。
サディアはそんな俺たちのやりとりを横目で見たあと、にこりと笑った。
「兄様。今日は父上と儀式をされるのですよね?」
「あぁ、その予定だ」
「……僕が同席できないのは分かっています。ですから、僕が成人をした際は兄様に儀式をしていただきたいです!」
「え、」
まさかの申し出に、思わず固まる。
『成人の儀』は、基本的に親子間でするものだ。色々な事情で親がいなかったり、本人が拒否した場合は近しい者とすることも、ある。
「……駄目でしょうか?」
「いや、駄目というか…」
「…分かりました、流石にアレ抜きでは出来ませんよね。腐っても親で、王ですし」
「………、不敬だぞ」
朝早いから周りを気にしなくて良いとはいえ。この2人はどうにも相性が悪いから仕方ないところもあるが…。
サディアの後ろに控える側近も少し顔色が悪くなっている。一応、注意だけはしておくが、言うだけになっているのは明らかだ。
「父上がいるのは仕方ないなら、兄様も同席して欲しいのです。…それなら、いいですよね?」
「……そうだな、一応父上に確認するが。サディアが望むなら俺は構わないよ」
「!!」
ぱぁあと輝く笑顔で返事をしたサディアは、これで用事が全て終わったようで「生誕の贈り物は届けてありますので!」と言って足取り軽く去っていった。
ふぅ、と一息ついて執務室へ向かう。
サディアがいつまであんな風に甘えてくれるかも分からないし、俺の出来る限り望みは叶えてあげたい。俺も、サディアに助けられているから。
今年の贈り物はなんだろうと考えながら、いや、きっと毎日使う消耗品や筆記用具だろう、と思う。
毎年、直近で壊れたり、替え時の物をサディアから送られている。きっとあらゆる情報網を駆使しているのだろうが、いつも不思議だ。俺の側近に情報提供者がいるのだろうか?でも聞いてみても知らないと言うし、嘘をついている様子もない。
こういうところは父上に似てるな、と思うし、俺には真似出来ないところだ。まぁ、サディアに知られて困ることもないからあまり深掘りはしていないが。
「さて、今日の夜の為に頑張ろう」
そう、少し気合を入れて執務室の扉を開けると、まだ出勤時間になっていないのに側近たちが揃っていて。
思わず苦笑しながら、俺はとても周囲に恵まれているなと、成人の生誕日の幸せを噛み締めた。
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番外編がまだあるとのことで、まだ読めることが嬉しいです。いつもありがとうございます
凄く好きです‼️読みはじめて イッキに読み出して 途中でLINEが入り中断した後でお気に入りにしてなかった自分に憤り、何時間も掛かり探し当ててやっと番外編まで読みました❗️
見つけられないと 危うく暴れてしまうところでした。あ~良かった❗️( *´艸)