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【番外編】緻密な暴露
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しおりを挟む「……え、ど…なんで……⁇」
今までにない事態に、寝起きも相まってか頭が混乱しながらもなんとか立ち上がろうとした。
が、足…というよりも、腰に力が入らずどうやっても立ち上がれなかった。
「………っどうしたら…」
「ーーテオン?」
床に手をついて途方に暮れ始めたとき、扉が開いて父上が部屋へと入ってきた。そして、床に座り込む俺を見て目を丸くする。
「どうし、……あぁ、立てなかったのだな」
「ぅ、はい…申し訳ありませ、っ⁉︎」
直ぐに傍にきてくれた父上は素早く状況把握をすると、俺を抱き上げた。
簡単に、というわけではなかったが、最近成人した俺をとても普通に抱き上げる父上に衝撃を受けながら、突然感じた浮遊感に反射的に目の前の身体にしがみついた。
…もしや、公務をこなしながら、身体も鍛えてらっしゃるのだろうか…流石父上。………俺も、護身術ぐらいは少し身につけておいた方がいいかもな。
「テオン」
そんなことを思っている間に寝台の上に戻され、父上を見上げると口付けが降ってきた。
「……っち、ちぅ、……ん、ぁ」
「…………ふ、おはよう、テオン」
朝の挨拶にしてはとても濃厚な口付けを甘受しながら、身体の火照りが大きくなるのを感じ、これ以上は身体が保たない…と抵抗する前に口付けが終わった。
見上げた父上は、黄金を細めてゆるりと笑んだ。
「無理をさせたからな。色々と思うところがあると思うが、今日はこのまま寝台で大人しくしていなさい」
「……父上。ですが、公務が…」
「それなら問題ない。サディアに任せてきた」
「え」
逆にそれは問題ありでは…。絶対、サディアにどういった体調不良なのか勘付かれている気がする。
この埋め合わせと、次に会ったときにどんな顔をすればいいのか思案している俺をよそに、父上はそのまま話を進める。
「俺の公務も数日前倒しで進めていたからな。俺と、お前の側近にも休みを言い渡しておいた。後回しにできないものだけ任せてきたから気にするな」
「………、でも」
「ーーそれに、」
言葉を制され、頬を手の甲で撫でられた。俺を見下ろす黄金はとても穏やかで、しかし、父上は悪戯っぽい笑みを浮かべて言った。
「こんな事後の余韻を纏った恋人を、人前に出せるわけがないだろう」
「!」
自分でも分かるくらい顔が熱くなった。
行為の熱が引いていないことを、父上に悟られている。……とても恥ずかしい。
「ふ…そう恥ずかしがることはない、テオン。俺の全てを受け入れたのだから、それは仕方のないことだ。気にすることはない」
「………はぃ…」
「今日はもう何もしない。これ以上は許容を超えるだろうしな。だから身体を休めなさい。……俺も、傍にいる」
ちゅ、と頬に口付けをされた。
穏やかに微笑む父上に、俺はくすぐったい気持ちになりながら、身体の内側が満たされていくように暖かくなるのを感じた。
ーーあぁ、この人を好きになって、愛してもらって、全てを受け入れて…良かった。
「…はい、ありがとうございます。愛しています、テオドール様」
「…ふ、俺も愛してるよ、テオン」
父上の大きな掌に頭を撫でられて抱きしめられたあと、俺たちは触れるだけの口付けを交わした。
***
長くなってしまいましたが、これで番外編の「緻密な暴露」は終わりです。
番外編というより、続きみたいに長くなってしまったのにも関わらず、読み続けてくださった方々…本当にありがとうございます。
「緻密な暴露」のあとの小話とか、あと同じくらい長くなってしまいそうな番外編をもう一つ程書く予定です。
もしよろしければお付き合いいただければと思います。
ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました。
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