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鬼ノ伴侶
参 ※
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――百鬼は東屋に帰ってきた途端、異変に気が付いた。いつもなら、色濃く感じるはずの阿栢の匂いが無い。
東屋に入り、寝所へ足を踏み入れても、そこには乱れたままの寝台があるのみだった。まだ微かに阿栢のぬくもりがある。
「どこへ行った?」
逃げたのかと百鬼は考えてみるが、阿栢には逃げる理由が無い。百鬼と暮らすことを、彼なりに受け入れているはずだ。
百鬼は東屋の裏へと足を踏み入れた。そこにはひとつの手がかりがあった。阿栢が夜着にしている単衣だった。
百鬼はそれを掴み上げる。阿栢は水浴びをしていたのだろう。残った痕跡が、それを示している。
ならば、いったい、どこへ…。
「どこへ行った、阿栢」
――杜からさほど離れてはいない場所に、大きな屋敷があった。その一帯を治める一族の屋敷で、京の貴族とさほど変わらないほどの大きさだった。
阿栢は身内であるはずの男たちに杜から連れ去られ、屋敷に囲われていた。父と兄が殺された、逃げ出したはずの屋敷に。
母の縁者であるものたちは阿栢をこの屋敷に連れて来た途端、屋敷の最も奥に部屋を設えさせ、そこへ阿栢を閉じ込めたのだ。
阿栢を前に、母の弟に当たる藤原実家とその息子である鉦家はまるで己たちが家臣であるかのように下段に座った。
「京から落ち延びてこられましたのに、災難でございましたなあ」
伯父にあたる実家は、阿栢の憮然とした顔を見ながら優しく笑った。
「わたしは、あなたたちが父と兄を殺したことを忘れたわけではありません」
阿栢はその伯父を厳しい視線でみながら、硬い声で言い放った。
「なぜ、わたしをここへ連れ去ったのですか!?どうせ殺すつもりならば、杜に捨て置いてくれればよかったでは在りませんか!いったい、どういうおつもりで、」
「おや、阿栢さまはご存じなかったのですな」
阿栢に対し穏やかに笑っている実家の横で、従兄にあたる鉦家は行った。
「我々は、あなた方ご一家のお世話を是非にと申し上げて、京からの落ち延びることをお勧めしたのです。しかし、無償と言うわけにいきますまい」
含んだように鉦家は言う。そこで、実家が代わっていう。
「我々が匿う条件に、阿栢さまを下さりますよう、お父上にお願いしたのですが」
「思わぬ形で願いがかないまして、よろしゅうございましたな、父上」
阿栢を恭しく扱いながら、狙いを済ませたように笑っている。
「何をおっしゃっているのですか?わたしをあなたたちに…?」
阿栢の声は震えた。
「ええ、美貌で京でも評判であったあなたを我が一族の慰み者として、くださるようにお父上に申し上げたのですが、お父上は拒まれまして…。いえいえ、あなたがご自身を責められる事はありません。少々、我らも手荒すぎました」
「父と兄はわたしのために殺されてしまったと言うのですか!?」
男たちはぞっとするような笑い肩をして、阿栢に手を伸ばした。阿栢は己の肩を抱く。事実を知ってしまい、阿栢はおびえていた。
父と兄が殺されてしまった理由が、己自身にあるとは思わなかったのだ。
阿栢が呆然としている間にも、実家と鉦家は阿栢の肌に触れた。
「やめて、いや、やめてくださいっ」
「何をおっしゃいます。人間ではない異種である鬼に嬲られておいて、今更厭とは、童のように聞き分けの無い」
為家にとっては、阿栢はまだ童といえる年齢だ。この伯父は、祖母が時の天皇に見初められる前に祖母が病気で早死にした元夫との間に設けた子どもだった。異父妹に皇女を持つ伯父は、どこか歪んだように阿栢の一家を見つめていたのを阿栢は知っている。
阿栢は杜を連れ去られる時に、纏わされていた墨色の単衣の前を鉦家によって拡げられていた。
後ろから父である実家が阿栢の躰を羽交い絞めにし、鉦家が前から手を伸ばす。ことに鉦家は阿栢と百鬼の淫らな交わりを見ていたせいで、阿栢への欲望を隠そうとはしなかった。
鉦家は拡げられた阿栢の胸を弄る。淡く尖った乳首を指先で摘み上げ、阿栢の滑らかな肌に初めて触れた。
肌の心地よさに若い鉦家は喉を振るわせる。
「女よりも、良い」
その言葉に煽られたのは後ろから阿栢を支えている実家であった。実家は手を伸ばして阿栢の太股を大きく広げる。
「ほんに、中々の柔肌でございますなあ」
実家の無骨な手が滑らかな内股を撫で回した。白い肌には、百鬼に愛された証である痕が色濃く残っている。
それを塗り潰すように、鉦家も内股に顔を寄せた。大きく広げられた内股の足の付け根を舌で舐めて、指先で縮こまっている陰茎に触れた。
「鬼に愛されるとは、さすがは阿栢さま」
「我々にもどうか、施しを」
いつの間にか尻の肉を掌で弄んでいた実家も、阿栢の尻の孔に指先をあてた。
「あぁ…!」
阿栢から短い悲鳴が上がる。阿栢を蹂躙し始めた親子は、完全に肉欲の虜となっていた。
――数刻後、阿栢は完全に父子の玩具となっていた。
それも、酷く酷い恰好で…。
阿栢は太股を大きく開かされ、腕と脚を折り曲げられた状態で、荒縄で縛られていた。阿栢の尻の孔には、鉦家の怒張が埋め込まれており、阿栢の赤い唇には実家の一物が咥えさせられていた。
「ん、うん…ぁ、は、うん…」
酷い恰好だった。上と下の孔に同時に男根を打ち込まれ、律動が躰を貫くのだ。
快感に翻弄される。百鬼によって快楽を覚えさせられた躰は、ふたりの男の愛撫に悦び意図も簡単に躰を昂ぶらせる。
「活きますぞ」
鉦家が阿栢の腰を抱え深く突き上げる。阿栢の縛られている躰が一瞬、引き攣り、次第に痙攣した。
「んん!うんん!!」
弱い部分に熱い怒張の先を抉られて、阿栢の陰茎からも白濁の液が飛び出した。しかし声は出せない。
赤い唇には実家の一物が声を出すことを拒ませている。
「わしのもどうか、呑んでくだされ」
実家は阿栢の鮮やかな髪を掴み、頭ごと前後させた。
「うううう」
口腔に苦いものが注ぎ込まれる。とろみのある男の欲望の証が口の中に広がった。
阿栢は吐き捨てることもできず、ゆっくりと嚥下した。苦い、苦い、薬よりも苦く臭いものが阿栢の喉を通り抜けていく。
「では、次はわしが尻を頂きましょう」
親子は交代した。父の実家は阿栢の躰を反転させ、腰を高く掲げさせた。実家は掲げられた腰の後ろ手に回り、尻を揉み上げる。
「ほう、これは手に馴染む」
実家は若者の尻に厭らしく舌を這わせた。白い尻を執拗に舐め上げ、先ほどまで息子の鉦家が犯していた孔の回りに吸い付いた。
「あう、はう…」
白い面を微かに高潮させ、阿栢は尻を舐める伯父を肩越しに見た。ぬめる舌は阿栢の孔だけでなく、柔らかい陰嚢さえも嘗め回す。
阿栢は鬼のものとは違う、人間の舌の柔らかさに慄いた。百鬼の舌はもっとざらついていた。ざらざらのあの舌に内壁を舐められると、もう、それだけで…。
「何を考えておられるのですかな?」
そんな阿栢の髪を掴み、鉦家は顔を上げさせた。そして、目の前に立った一物を押し付ける。
滑らかな頬を先で嬲り、形がよく色付いた唇の隙間に割り込ませた。
「うぐう…」
鉦家が一物を口に咥え込まされたものと同時に、
「ひ、ううう!」
実家も阿栢の中に一物を喰い込ませた。
再び親子に同時に犯される。さすが親子ということもあり、阿栢を突き上げる感覚が一緒だ。
「あう、う…う、うん……」
陰茎は後ろから実家に掌に包まれ摩られ続けていた。先走りの液が鈴口からあふれ出て、滑っている。
大きな突き上げと緩やかな腰の揺らし方に、阿栢は喘いだ。
阿栢は遠い意識の中、ただ翻弄されている己を感じていた。どれほどの時間が経ったかわからないほど、実家と鉦家に犯され続けていた。
しかし案外にも、それほど時は経っていなかったのだろう。親子の客人が、まだ屋敷内にいるほどには、長い間蹂躙されていたわけではなかったようだ。
「藤原殿、我々も宜しいだろうか」
「おお、これは申し訳ない。どうぞ、入ってきてくだされ」
更に男たちが加わった。僧侶たちであった。
僧侶といっても、経を読むだけの者たちではない。手には武器を持ち、山伏の恰好をしたものたちだった。
「我々も、嬲って宜しいのか」
「どうぞ、どうぞ。まだ何の礼もしておらぬし、まずは、この阿栢さまで疲れを取ってくだされ」
臭い匂いが阿栢のために設えられた部屋に充満する。僧侶たちは酒を飲んでいるようだ。
阿栢を散々に嬲った親子は、阿栢から退くと、僧侶たちが阿栢に近づいた。
太い身体、野太い声をもっている彼らの内の一人が縛られた阿栢を軽々と胡坐の上に乗せ、躊躇いもなく尻の孔を貫いたのだった。
「ひ、ひあぁあ!」
逞しい身体に相応しい硬く太い物が、阿栢を犯す。
「おお、良い。良いぞ。何と言う躰だ」
「鬼に嬲られると、具合がよくなるのか。ほれ、さっさと種付けして、次は俺に回せ」
僧侶たちは、一族と共に杜に入った者たちであった。珍しいものが手に入るかもしれないと、一族に誘われて杜に入り、こうして恩恵を授かっている。
「可愛いのう、この顔。なんとも言えん」
「まこと。田舎娘とは違うなあ」
土臭い地元の女たちとは違う、白粉の匂いがする阿栢の躰に、僧侶たちの欲望が止まれないようだった。
阿栢は全身で震えていた。与えられる快感に翻弄され、あうあうと喘いで啼いていた。
嬲られる阿栢を見て、実家は言った。
「父上と兄上がおられない今、京に帰るわけにはいかまいて。我らが、最後までお世話して差し上げなければならないぞ、鉦家」
「承知しております」
鉦家も心得たように応じる。
阿栢は犯され続け、肌にも貌にも白濁した液が、汗がこびり付いていた。
気を失うように眠りに付いた頃には月も高くなり、穢れている阿栢の躰を青白く輝かせていた。
東屋に入り、寝所へ足を踏み入れても、そこには乱れたままの寝台があるのみだった。まだ微かに阿栢のぬくもりがある。
「どこへ行った?」
逃げたのかと百鬼は考えてみるが、阿栢には逃げる理由が無い。百鬼と暮らすことを、彼なりに受け入れているはずだ。
百鬼は東屋の裏へと足を踏み入れた。そこにはひとつの手がかりがあった。阿栢が夜着にしている単衣だった。
百鬼はそれを掴み上げる。阿栢は水浴びをしていたのだろう。残った痕跡が、それを示している。
ならば、いったい、どこへ…。
「どこへ行った、阿栢」
――杜からさほど離れてはいない場所に、大きな屋敷があった。その一帯を治める一族の屋敷で、京の貴族とさほど変わらないほどの大きさだった。
阿栢は身内であるはずの男たちに杜から連れ去られ、屋敷に囲われていた。父と兄が殺された、逃げ出したはずの屋敷に。
母の縁者であるものたちは阿栢をこの屋敷に連れて来た途端、屋敷の最も奥に部屋を設えさせ、そこへ阿栢を閉じ込めたのだ。
阿栢を前に、母の弟に当たる藤原実家とその息子である鉦家はまるで己たちが家臣であるかのように下段に座った。
「京から落ち延びてこられましたのに、災難でございましたなあ」
伯父にあたる実家は、阿栢の憮然とした顔を見ながら優しく笑った。
「わたしは、あなたたちが父と兄を殺したことを忘れたわけではありません」
阿栢はその伯父を厳しい視線でみながら、硬い声で言い放った。
「なぜ、わたしをここへ連れ去ったのですか!?どうせ殺すつもりならば、杜に捨て置いてくれればよかったでは在りませんか!いったい、どういうおつもりで、」
「おや、阿栢さまはご存じなかったのですな」
阿栢に対し穏やかに笑っている実家の横で、従兄にあたる鉦家は行った。
「我々は、あなた方ご一家のお世話を是非にと申し上げて、京からの落ち延びることをお勧めしたのです。しかし、無償と言うわけにいきますまい」
含んだように鉦家は言う。そこで、実家が代わっていう。
「我々が匿う条件に、阿栢さまを下さりますよう、お父上にお願いしたのですが」
「思わぬ形で願いがかないまして、よろしゅうございましたな、父上」
阿栢を恭しく扱いながら、狙いを済ませたように笑っている。
「何をおっしゃっているのですか?わたしをあなたたちに…?」
阿栢の声は震えた。
「ええ、美貌で京でも評判であったあなたを我が一族の慰み者として、くださるようにお父上に申し上げたのですが、お父上は拒まれまして…。いえいえ、あなたがご自身を責められる事はありません。少々、我らも手荒すぎました」
「父と兄はわたしのために殺されてしまったと言うのですか!?」
男たちはぞっとするような笑い肩をして、阿栢に手を伸ばした。阿栢は己の肩を抱く。事実を知ってしまい、阿栢はおびえていた。
父と兄が殺されてしまった理由が、己自身にあるとは思わなかったのだ。
阿栢が呆然としている間にも、実家と鉦家は阿栢の肌に触れた。
「やめて、いや、やめてくださいっ」
「何をおっしゃいます。人間ではない異種である鬼に嬲られておいて、今更厭とは、童のように聞き分けの無い」
為家にとっては、阿栢はまだ童といえる年齢だ。この伯父は、祖母が時の天皇に見初められる前に祖母が病気で早死にした元夫との間に設けた子どもだった。異父妹に皇女を持つ伯父は、どこか歪んだように阿栢の一家を見つめていたのを阿栢は知っている。
阿栢は杜を連れ去られる時に、纏わされていた墨色の単衣の前を鉦家によって拡げられていた。
後ろから父である実家が阿栢の躰を羽交い絞めにし、鉦家が前から手を伸ばす。ことに鉦家は阿栢と百鬼の淫らな交わりを見ていたせいで、阿栢への欲望を隠そうとはしなかった。
鉦家は拡げられた阿栢の胸を弄る。淡く尖った乳首を指先で摘み上げ、阿栢の滑らかな肌に初めて触れた。
肌の心地よさに若い鉦家は喉を振るわせる。
「女よりも、良い」
その言葉に煽られたのは後ろから阿栢を支えている実家であった。実家は手を伸ばして阿栢の太股を大きく広げる。
「ほんに、中々の柔肌でございますなあ」
実家の無骨な手が滑らかな内股を撫で回した。白い肌には、百鬼に愛された証である痕が色濃く残っている。
それを塗り潰すように、鉦家も内股に顔を寄せた。大きく広げられた内股の足の付け根を舌で舐めて、指先で縮こまっている陰茎に触れた。
「鬼に愛されるとは、さすがは阿栢さま」
「我々にもどうか、施しを」
いつの間にか尻の肉を掌で弄んでいた実家も、阿栢の尻の孔に指先をあてた。
「あぁ…!」
阿栢から短い悲鳴が上がる。阿栢を蹂躙し始めた親子は、完全に肉欲の虜となっていた。
――数刻後、阿栢は完全に父子の玩具となっていた。
それも、酷く酷い恰好で…。
阿栢は太股を大きく開かされ、腕と脚を折り曲げられた状態で、荒縄で縛られていた。阿栢の尻の孔には、鉦家の怒張が埋め込まれており、阿栢の赤い唇には実家の一物が咥えさせられていた。
「ん、うん…ぁ、は、うん…」
酷い恰好だった。上と下の孔に同時に男根を打ち込まれ、律動が躰を貫くのだ。
快感に翻弄される。百鬼によって快楽を覚えさせられた躰は、ふたりの男の愛撫に悦び意図も簡単に躰を昂ぶらせる。
「活きますぞ」
鉦家が阿栢の腰を抱え深く突き上げる。阿栢の縛られている躰が一瞬、引き攣り、次第に痙攣した。
「んん!うんん!!」
弱い部分に熱い怒張の先を抉られて、阿栢の陰茎からも白濁の液が飛び出した。しかし声は出せない。
赤い唇には実家の一物が声を出すことを拒ませている。
「わしのもどうか、呑んでくだされ」
実家は阿栢の鮮やかな髪を掴み、頭ごと前後させた。
「うううう」
口腔に苦いものが注ぎ込まれる。とろみのある男の欲望の証が口の中に広がった。
阿栢は吐き捨てることもできず、ゆっくりと嚥下した。苦い、苦い、薬よりも苦く臭いものが阿栢の喉を通り抜けていく。
「では、次はわしが尻を頂きましょう」
親子は交代した。父の実家は阿栢の躰を反転させ、腰を高く掲げさせた。実家は掲げられた腰の後ろ手に回り、尻を揉み上げる。
「ほう、これは手に馴染む」
実家は若者の尻に厭らしく舌を這わせた。白い尻を執拗に舐め上げ、先ほどまで息子の鉦家が犯していた孔の回りに吸い付いた。
「あう、はう…」
白い面を微かに高潮させ、阿栢は尻を舐める伯父を肩越しに見た。ぬめる舌は阿栢の孔だけでなく、柔らかい陰嚢さえも嘗め回す。
阿栢は鬼のものとは違う、人間の舌の柔らかさに慄いた。百鬼の舌はもっとざらついていた。ざらざらのあの舌に内壁を舐められると、もう、それだけで…。
「何を考えておられるのですかな?」
そんな阿栢の髪を掴み、鉦家は顔を上げさせた。そして、目の前に立った一物を押し付ける。
滑らかな頬を先で嬲り、形がよく色付いた唇の隙間に割り込ませた。
「うぐう…」
鉦家が一物を口に咥え込まされたものと同時に、
「ひ、ううう!」
実家も阿栢の中に一物を喰い込ませた。
再び親子に同時に犯される。さすが親子ということもあり、阿栢を突き上げる感覚が一緒だ。
「あう、う…う、うん……」
陰茎は後ろから実家に掌に包まれ摩られ続けていた。先走りの液が鈴口からあふれ出て、滑っている。
大きな突き上げと緩やかな腰の揺らし方に、阿栢は喘いだ。
阿栢は遠い意識の中、ただ翻弄されている己を感じていた。どれほどの時間が経ったかわからないほど、実家と鉦家に犯され続けていた。
しかし案外にも、それほど時は経っていなかったのだろう。親子の客人が、まだ屋敷内にいるほどには、長い間蹂躙されていたわけではなかったようだ。
「藤原殿、我々も宜しいだろうか」
「おお、これは申し訳ない。どうぞ、入ってきてくだされ」
更に男たちが加わった。僧侶たちであった。
僧侶といっても、経を読むだけの者たちではない。手には武器を持ち、山伏の恰好をしたものたちだった。
「我々も、嬲って宜しいのか」
「どうぞ、どうぞ。まだ何の礼もしておらぬし、まずは、この阿栢さまで疲れを取ってくだされ」
臭い匂いが阿栢のために設えられた部屋に充満する。僧侶たちは酒を飲んでいるようだ。
阿栢を散々に嬲った親子は、阿栢から退くと、僧侶たちが阿栢に近づいた。
太い身体、野太い声をもっている彼らの内の一人が縛られた阿栢を軽々と胡坐の上に乗せ、躊躇いもなく尻の孔を貫いたのだった。
「ひ、ひあぁあ!」
逞しい身体に相応しい硬く太い物が、阿栢を犯す。
「おお、良い。良いぞ。何と言う躰だ」
「鬼に嬲られると、具合がよくなるのか。ほれ、さっさと種付けして、次は俺に回せ」
僧侶たちは、一族と共に杜に入った者たちであった。珍しいものが手に入るかもしれないと、一族に誘われて杜に入り、こうして恩恵を授かっている。
「可愛いのう、この顔。なんとも言えん」
「まこと。田舎娘とは違うなあ」
土臭い地元の女たちとは違う、白粉の匂いがする阿栢の躰に、僧侶たちの欲望が止まれないようだった。
阿栢は全身で震えていた。与えられる快感に翻弄され、あうあうと喘いで啼いていた。
嬲られる阿栢を見て、実家は言った。
「父上と兄上がおられない今、京に帰るわけにはいかまいて。我らが、最後までお世話して差し上げなければならないぞ、鉦家」
「承知しております」
鉦家も心得たように応じる。
阿栢は犯され続け、肌にも貌にも白濁した液が、汗がこびり付いていた。
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