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63.大勝負
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========== この物語はあくまでもフィクションです =========
============== 主な登場人物 ================
戸部(神代)チエ・・・京都府警警視。東山署勤務だが、京都市各所に出没する。戸部は亡き母の旧姓、詰まり、通称。
神代宗佑警視正・・・京都府警東山署署長。チエの父。
船越栄二・・・東山署副署長。チエを「お嬢」と呼んでいる。
茂原太助・・・東山署生活安全課警部補。
中町巡査・・・茂原の交代要員だったが、そのまま勤務している巡査。
楠田巡査・・・チエの相棒。
畑山紅葉(もみじ)・・・副署長の娘。巡査。亡くなった夫の姓のまま、復職。
弓矢哲夫・・・京都府警捜査四課刑事。警部。ひげ面で有名。
灘康夫・・・京都府知事。元作家。「康夫ちゃん」のニックネームがある。
金平桂子・・・京都市市長。
遊佐圭祐・・・チエの幼なじみ。大学同級生。CATV『きょうとのテレビ』課長。
=====================================
※五山送り火は、毎年8月16日に京都府京都市左京区にある如意ヶ嶽などで行われるかがり火。宗教・歴史的な背景から「大文字の送り火」と呼ばれることがある。
※大文字焼き(京都五山送り火)の点火時間は、毎年8月16日午後8時で、その後「妙・法」「船形」「左大文字」「鳥居形」の順で5分ずつ遅れて点火され、各火は約30分間点灯します。大文字が最も早く午後8時に点火され、最後の鳥居形は午後8時20分に点火されます。
※「有限会社芸者ネットワーク」からのあらすじ
何者かが、『大文字送り火』を狙っているという情報が入った。
チエは思案するが・・・。
午後1時。東山署。会議室。
チエは言った。
「運を天に任す。ウチは『左大文字』に張り付く。バラさんは『大文字』、町ヤンは『松ヶ崎』、ダー・・・白鳥は『船形』、『鳥居』は・・・。」
言い終らぬ内に署長が言った。「『鳥居』は、わしが行こう。ウイスキー飲みながらな。」
誰も、署長の冗談に笑わなかった。事態は深刻である。
『五山送り火』は、点火時間を少しずつずらしてはいるが、同じ時間帯に行われるのである。日付だけでなく、以下の通り、時間も予め決められている。
「大文字」(京都市左京区浄土寺・如意ヶ嶽(大文字山)。20時00分点火)
「松ケ崎妙法」(京都市左京区松ヶ崎・西山及び東山。20時05分点火)
「船形万灯籠」(京都市北区西賀茂・船山。20時10分点火)
「左大文字」(京都市北区大北山・大文字山。20時15分点火)
「鳥居形松明」(京都市右京区嵯峨鳥居本・曼荼羅山。20時20分点火)
警察官は配備されるが、『脅迫状』が届いた訳ではないので、他府県の応援要請は出来ない。それでも、知事も市長も重大案件とし、東山署に指揮権を与えた。消防各署にも待機させた。
午後7時45分。左京区浄土寺・如意ヶ嶽(大文字山。
何も起こらない。「こちら茂原。異常なし。」茂原は本部となった東山署に連絡をした。
午後8時。
何も起こらない。
午後8時5分。東山署。会議室。
中町から連絡が入った。「こちら中町。西山及び東山に点火しました。異常なし。」
午後8時10分。
白鳥から連絡が入った。「こちら白鳥。舟形の点火が始まりました。」
午後8時15分。
船越副署長から連絡が入った。「こちら船越。今、点火された。左大文字に異常無し。」
午後8時20分。
神代署長から連絡が入った。「こちら神代。綺麗な鳥居やで。」
紅葉は、全てのPCに向かって、ピースサインをした。
え?チエは?
時間を遡ること、約6時間前。
出発しようとするチエだったが、東山署に府警四課の弓矢から電話があった。
「警視殿。反社の戸松組が大曲組に『カチコミ』するというタレコミが入った。何か臭うと思わん?」
「え?『五山送り火』の件は・・・どっちかの事務所、平安神宮に近いの?」
「流石、察しが早い。戸松組の身内が平安神宮の『西祭器庫』の裏手に住んでいる。」
「弓矢さん、電気カミソリ買うてあげるわ。」
「おおきに。」
午後7時半。大曲組。事務所。
抗争が始まった途端に、府警捜査四課の刑事達が乱入、双方の組員を組み敷いた。
中でも、2つの警棒だけで跳んで撥ねて倒して行った女性警察官は目立った。
多くの組員が倒れた時、怒鳴った女性警察官がいた。
「デマ、流したんはドイツや!!」
「控えおろう!!この方をどなたと心得る。天下に名高い『暴れん坊小町』様なるぞ。皆の者、頭が高い!!」
弓矢の言葉に思わず、反社の組員達は地面にひれ伏した。
「ははーーーーーーーーっ!!」
残念ながら、デマの犯人は、名乗り出なかった。
午後10時。神代家。浴室。
「未来の警視正は、やることが違うな。」
「敵を欺くには先ず味方から、って言うさかいな。代子さん、病院やろうから塔子さんに連絡しといたで、ちゃん。」
「橘さん、亡くなったら、芸者ネットワークは解散かな?」
「さあな。うちらは、あった方がええ存在やけどな。」
「風呂上がりに、送り火の録画、観ようか。遊佐君、気ィ使ってくれて良かったな。」
―完―
※「カチコミ」とは、暴力団用語で敵対する組織の事務所や抗争相手に対して襲撃や殴り込みを行うことを意味する隠語です。
============== 主な登場人物 ================
戸部(神代)チエ・・・京都府警警視。東山署勤務だが、京都市各所に出没する。戸部は亡き母の旧姓、詰まり、通称。
神代宗佑警視正・・・京都府警東山署署長。チエの父。
船越栄二・・・東山署副署長。チエを「お嬢」と呼んでいる。
茂原太助・・・東山署生活安全課警部補。
中町巡査・・・茂原の交代要員だったが、そのまま勤務している巡査。
楠田巡査・・・チエの相棒。
畑山紅葉(もみじ)・・・副署長の娘。巡査。亡くなった夫の姓のまま、復職。
弓矢哲夫・・・京都府警捜査四課刑事。警部。ひげ面で有名。
灘康夫・・・京都府知事。元作家。「康夫ちゃん」のニックネームがある。
金平桂子・・・京都市市長。
遊佐圭祐・・・チエの幼なじみ。大学同級生。CATV『きょうとのテレビ』課長。
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※五山送り火は、毎年8月16日に京都府京都市左京区にある如意ヶ嶽などで行われるかがり火。宗教・歴史的な背景から「大文字の送り火」と呼ばれることがある。
※大文字焼き(京都五山送り火)の点火時間は、毎年8月16日午後8時で、その後「妙・法」「船形」「左大文字」「鳥居形」の順で5分ずつ遅れて点火され、各火は約30分間点灯します。大文字が最も早く午後8時に点火され、最後の鳥居形は午後8時20分に点火されます。
※「有限会社芸者ネットワーク」からのあらすじ
何者かが、『大文字送り火』を狙っているという情報が入った。
チエは思案するが・・・。
午後1時。東山署。会議室。
チエは言った。
「運を天に任す。ウチは『左大文字』に張り付く。バラさんは『大文字』、町ヤンは『松ヶ崎』、ダー・・・白鳥は『船形』、『鳥居』は・・・。」
言い終らぬ内に署長が言った。「『鳥居』は、わしが行こう。ウイスキー飲みながらな。」
誰も、署長の冗談に笑わなかった。事態は深刻である。
『五山送り火』は、点火時間を少しずつずらしてはいるが、同じ時間帯に行われるのである。日付だけでなく、以下の通り、時間も予め決められている。
「大文字」(京都市左京区浄土寺・如意ヶ嶽(大文字山)。20時00分点火)
「松ケ崎妙法」(京都市左京区松ヶ崎・西山及び東山。20時05分点火)
「船形万灯籠」(京都市北区西賀茂・船山。20時10分点火)
「左大文字」(京都市北区大北山・大文字山。20時15分点火)
「鳥居形松明」(京都市右京区嵯峨鳥居本・曼荼羅山。20時20分点火)
警察官は配備されるが、『脅迫状』が届いた訳ではないので、他府県の応援要請は出来ない。それでも、知事も市長も重大案件とし、東山署に指揮権を与えた。消防各署にも待機させた。
午後7時45分。左京区浄土寺・如意ヶ嶽(大文字山。
何も起こらない。「こちら茂原。異常なし。」茂原は本部となった東山署に連絡をした。
午後8時。
何も起こらない。
午後8時5分。東山署。会議室。
中町から連絡が入った。「こちら中町。西山及び東山に点火しました。異常なし。」
午後8時10分。
白鳥から連絡が入った。「こちら白鳥。舟形の点火が始まりました。」
午後8時15分。
船越副署長から連絡が入った。「こちら船越。今、点火された。左大文字に異常無し。」
午後8時20分。
神代署長から連絡が入った。「こちら神代。綺麗な鳥居やで。」
紅葉は、全てのPCに向かって、ピースサインをした。
え?チエは?
時間を遡ること、約6時間前。
出発しようとするチエだったが、東山署に府警四課の弓矢から電話があった。
「警視殿。反社の戸松組が大曲組に『カチコミ』するというタレコミが入った。何か臭うと思わん?」
「え?『五山送り火』の件は・・・どっちかの事務所、平安神宮に近いの?」
「流石、察しが早い。戸松組の身内が平安神宮の『西祭器庫』の裏手に住んでいる。」
「弓矢さん、電気カミソリ買うてあげるわ。」
「おおきに。」
午後7時半。大曲組。事務所。
抗争が始まった途端に、府警捜査四課の刑事達が乱入、双方の組員を組み敷いた。
中でも、2つの警棒だけで跳んで撥ねて倒して行った女性警察官は目立った。
多くの組員が倒れた時、怒鳴った女性警察官がいた。
「デマ、流したんはドイツや!!」
「控えおろう!!この方をどなたと心得る。天下に名高い『暴れん坊小町』様なるぞ。皆の者、頭が高い!!」
弓矢の言葉に思わず、反社の組員達は地面にひれ伏した。
「ははーーーーーーーーっ!!」
残念ながら、デマの犯人は、名乗り出なかった。
午後10時。神代家。浴室。
「未来の警視正は、やることが違うな。」
「敵を欺くには先ず味方から、って言うさかいな。代子さん、病院やろうから塔子さんに連絡しといたで、ちゃん。」
「橘さん、亡くなったら、芸者ネットワークは解散かな?」
「さあな。うちらは、あった方がええ存在やけどな。」
「風呂上がりに、送り火の録画、観ようか。遊佐君、気ィ使ってくれて良かったな。」
―完―
※「カチコミ」とは、暴力団用語で敵対する組織の事務所や抗争相手に対して襲撃や殴り込みを行うことを意味する隠語です。
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