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番外編5
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メインのマヒマヒを食べ終わるとすぐにデザートが運ばれてくる。チョコレートケーキだった。ケーキか。アメリカのケーキって大味でめちゃくちゃ甘いんだよね。甘いのを食べられる僕でも甘いなと感じてしまうから、甘いのが得意でない陸さんなら食べられないだろう。シャーベットなら良かったんだけどね、ケーキは。
見ると、陸さんは既に食べる気がなく僕の方を見ている。僕は一応食べる。すると陸さんが言った。
「俺の分も食べるか?」
「自分の分は食べる気ですけど、アメリカのケーキ2つはどうだろう……」
「そうか。無理はするなよ」
「はい」
日本のケーキみたいに繊細な味付けなら2つくらい食べれるけど、アメリカのケーキとなると自信がない。それどころか自分の分さえ食べきれるかわからないくらいだ。
フォークで上にちょこんと載った生クリームを食べるけれど、うん大味だね。次に本体のチョコレートケーキに食べ進めると、やはりこちらも予想通り大味で甘みが強い。これだと1つ食べるのがやっとだろう。
「やっぱり1つが限界なようです」
「そうか。日本ほどじゃなくても、もう少し繊細な味付けなら頑張れば食べられるんだが、こっちのスイーツはとにかく甘いからな」
そう言って陸さんは笑う。ということは陸さんも1度はお試しで食べようとしたことがあるんだね。全部食べきれたかどうかは別として。
僕はコーヒーとケーキを交互に口にした。苦いだけのコーヒーだけど、ケーキとセットでなら飲める。逆を言えば苦いコーヒーがなければケーキは挫折してしまうだろう。
なんとかケーキ1つを食べきる頃にはカップの中のコーヒーは空になってしまった。
「コーヒーの補助付きで1つ食べきったか」
「はい。なんとか。これは陸さんには無理だと思います」
「だろうな。子供の頃からこっちのスイーツはダメなんだ。小さい頃に食べて甘すぎてびっくりしたのを覚えてる」
「ですよね。僕も以前、友だちと来たときに食べてあまりの甘さにびっくりしましたから」
「もう少し繊細な舌は持てないのかね」
そんな風に話しているとお皿がさげられ、コーヒーのおかわりを入れて貰う。そうしていると外は既に暗くなっていてホノルルの夜景が見える。
「タンタラスの丘から見る夜景も綺麗だけど、海から見る夜景も綺麗だろう」
「はい!」
陸さんの言う通り、海から見るホノルルの夜景も綺麗だった。ダウンタウンからワイキキだろうと思われる辺りが特に明るい。綺麗だな。そう思って僕は夜景に魅入る。
「綺麗ですね。海から見るのがこんなに綺麗だなんて知りませんでした」
「なら船に乗ったかいはあるな」
「はい。陸さんのおかげです」
大学の卒業旅行で友だちとハワイに来たことはあるけれど、クルーズには乗らなかった。その代わりというか、タンタラスの丘から夜景は見た。
「千景に見せたかったから良かったよ」
陸さんは思い出を共有しようとしてくれていたんだ。やっぱり陸さん、好きだな。
それから僕たちはしばらく個室で話しをしながら夜景を見ていた。そして、そろそろ下船の時間だろうと言う頃にデッキに出た。陽が隠れたこの時間には昼間の刺すような陽射しがない分、だいぶ過ごしやすい。それが海上なら余計だ。
それにしてもデッキは人でいっぱいだ。こんなに多くの人が乗っていたのか。もし個室じゃなかったらこの中にいたんだなと思うとゆっくり夜景を楽しむことはできなかっただろうと思った。
「陸さん。今日は個室を取ってくれてありがとうございました」
僕がそう言うと、陸さんはすぐになんのことか気づいたらしかった。
「だろう? ゆっくり食事をして夜景を楽しむのなら個室が一番だよ」
個室なんて高いからと庶民の僕はつい思ってしまうけど、陸さんの言う通り食事をゆっくりと楽しんで景色を楽しむのなら決して高いことはない。陸さんと結婚してから高いと思う分は、それなりのサービスが受けられるんだなと思うようになった。ただ高いのではないのだ。箱根の宿然り、このクルーズ船然りだ。
夜景を楽しみながらそんなことを考えていると船は桟橋に着いた。クルーズが終わった。
見ると、陸さんは既に食べる気がなく僕の方を見ている。僕は一応食べる。すると陸さんが言った。
「俺の分も食べるか?」
「自分の分は食べる気ですけど、アメリカのケーキ2つはどうだろう……」
「そうか。無理はするなよ」
「はい」
日本のケーキみたいに繊細な味付けなら2つくらい食べれるけど、アメリカのケーキとなると自信がない。それどころか自分の分さえ食べきれるかわからないくらいだ。
フォークで上にちょこんと載った生クリームを食べるけれど、うん大味だね。次に本体のチョコレートケーキに食べ進めると、やはりこちらも予想通り大味で甘みが強い。これだと1つ食べるのがやっとだろう。
「やっぱり1つが限界なようです」
「そうか。日本ほどじゃなくても、もう少し繊細な味付けなら頑張れば食べられるんだが、こっちのスイーツはとにかく甘いからな」
そう言って陸さんは笑う。ということは陸さんも1度はお試しで食べようとしたことがあるんだね。全部食べきれたかどうかは別として。
僕はコーヒーとケーキを交互に口にした。苦いだけのコーヒーだけど、ケーキとセットでなら飲める。逆を言えば苦いコーヒーがなければケーキは挫折してしまうだろう。
なんとかケーキ1つを食べきる頃にはカップの中のコーヒーは空になってしまった。
「コーヒーの補助付きで1つ食べきったか」
「はい。なんとか。これは陸さんには無理だと思います」
「だろうな。子供の頃からこっちのスイーツはダメなんだ。小さい頃に食べて甘すぎてびっくりしたのを覚えてる」
「ですよね。僕も以前、友だちと来たときに食べてあまりの甘さにびっくりしましたから」
「もう少し繊細な舌は持てないのかね」
そんな風に話しているとお皿がさげられ、コーヒーのおかわりを入れて貰う。そうしていると外は既に暗くなっていてホノルルの夜景が見える。
「タンタラスの丘から見る夜景も綺麗だけど、海から見る夜景も綺麗だろう」
「はい!」
陸さんの言う通り、海から見るホノルルの夜景も綺麗だった。ダウンタウンからワイキキだろうと思われる辺りが特に明るい。綺麗だな。そう思って僕は夜景に魅入る。
「綺麗ですね。海から見るのがこんなに綺麗だなんて知りませんでした」
「なら船に乗ったかいはあるな」
「はい。陸さんのおかげです」
大学の卒業旅行で友だちとハワイに来たことはあるけれど、クルーズには乗らなかった。その代わりというか、タンタラスの丘から夜景は見た。
「千景に見せたかったから良かったよ」
陸さんは思い出を共有しようとしてくれていたんだ。やっぱり陸さん、好きだな。
それから僕たちはしばらく個室で話しをしながら夜景を見ていた。そして、そろそろ下船の時間だろうと言う頃にデッキに出た。陽が隠れたこの時間には昼間の刺すような陽射しがない分、だいぶ過ごしやすい。それが海上なら余計だ。
それにしてもデッキは人でいっぱいだ。こんなに多くの人が乗っていたのか。もし個室じゃなかったらこの中にいたんだなと思うとゆっくり夜景を楽しむことはできなかっただろうと思った。
「陸さん。今日は個室を取ってくれてありがとうございました」
僕がそう言うと、陸さんはすぐになんのことか気づいたらしかった。
「だろう? ゆっくり食事をして夜景を楽しむのなら個室が一番だよ」
個室なんて高いからと庶民の僕はつい思ってしまうけど、陸さんの言う通り食事をゆっくりと楽しんで景色を楽しむのなら決して高いことはない。陸さんと結婚してから高いと思う分は、それなりのサービスが受けられるんだなと思うようになった。ただ高いのではないのだ。箱根の宿然り、このクルーズ船然りだ。
夜景を楽しみながらそんなことを考えていると船は桟橋に着いた。クルーズが終わった。
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