松書房、ハイセンス大衆雑誌編集者、林檎君の備忘録。

中谷 獏天

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第19章 投書と作家と担当。

犬神、編集後記。

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「コレ、絶対に僕ですよね?」

《まぁ、うん、そうだね》

「大戸川先生まで」
《いやね、うん。幼さを出すには、やはり背格好の小さい者を、とまぁ、そうしたら酷く禁忌的で。コレなら、良い塩梅かとね、うん》

「まぁ、そうした背格好ながらも、十分に大人の方も居るそうですけど」
《まぁまぁ、コレはある種の祈願、と捉えてみて欲しい。是非にも君には、賢く優しく、包容力の有る妻をと。だ、うん》

「何やら淫靡さも出ていますが」
《そこはまぁ、読者諸君への奉仕だよ、欠片も無いのは流石に不味いだろう》

「まぁ」
《それとも梨にするかい?アレは随分と季節が限られるし、絵映えがあまりしないが》

「僕で遊ぶ流行は、いつ収まりますかね?」
《暫くは、無理だろうねぇ》

 とまぁ、暫く僕は必ず何処かで、土台にされる様になり。
 社も安定し、再び投書に手を付けられる迄になりました。

 けれど、中には投書以外にも。
 はい、世に言うタレコミ的なモノが、僕へと来る事が多くなり。

『林檎さん』
「あ、川中島さん、お出掛けですか?」

『神宮寺がこき使うので、はい』
「相当、物騒続きと言う事ですか?」

『そうならない様にとの見回りです、人員も増えたので、暫くすれば手が空きます』
「そうですか、それは良かった」

『お裾分けです、どうぞ』
「あ、枇杷、ありがとうございます」

『では』
「はい、では」



 それから暫くして、警察に新しい部隊が新設されました。
 犬を扱い捜査する、警察犬部隊。

 諸外国に倣い犬を訓練し、人や物を探させ、時に鎮圧するそうで。
 大戸川先生と一緒に、閲覧式にお伺いさせて頂いたんですが。

 独逸語で訓練されたその犬の迫力は、山犬や狼を彷彿とさせるものでした。

 1度だけ、山で見たんです。
 隣の山に、遠くからでも分かる灰色の体毛と、遠吠え。

 この警察犬よりは体躯は小さかったかと思うんですが、確かに3頭で居る所を見たんです。

 警察犬には諸外国の血も入っているそうですし、実際の標本も少ないので、アレは山犬だったのかも知れませんが。

 うん、襲われたら間違い無く、一瞬で絶命しそうですね。

《ふむ、そもそも犬と》
「先生、もう少し、馴染んでからの方が宜しいかと」

《ふむ、考えておくよ》
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