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第3話「黒狼と醤油もどき」
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レオンハルトと出会ってから、数日が経った。
彼は本当に「また来た」。それも毎日。決まって昼食の時間になると、どこからともなく僕の小屋の前に現れるのだ。
相変わらず口数は少なく、表情も険しいままだったが、僕の作る料理を黙々と、そして実においしそうに平らげていく。ニンジンのポタージュ、採れたてレタスのサラダ、ホクホクのジャガイモの塩ゆで。僕が作る素朴な料理を、レオンハルトはいつも空になるまで食べてくれた。
その日も、僕はレオンハルトのための昼食を準備していた。今日のメニューは、森で採れたキノコと野菜をたっぷり入れた炒め物だ。味付けは塩と、香りの良いハーブ。
『やっぱり、醤油があったらもっと美味しくなるんだろうな』
そんなことを考えていた時、森の奥から獣の苦しそうな呻き声が聞こえてきた。それは、ただの鳴き声ではない。明らかに助けを求めるような、悲痛な叫びだった。
「レオンハルトさん!」
ちょうど薪割りを手伝ってくれていたレオンハルトに声をかける。彼はすでに剣の柄に手をかけ、警戒態勢に入っていた。
「ユキナリは小屋の中にいろ」
「でも……」
「いいから!」
レオンハルトの厳しい声に、僕はしぶしぶうなずいた。でも、心配でじっとしていられない。僕は彼の背中を追って、声のする方へと向かった。
森の少し開けた場所に、信じられない光景が広がっていた。
そこにいたのは、巨大な黒い狼だった。体長は二メートルを優に超えているだろう。その漆黒の毛皮は土と血で汚れ、後ろ足には動物を捕らえるための無骨な罠が深く食い込んでいた。狼は苦痛に喘ぎながら、僕たちを睨みつけて低くうなっている。
「下がっていろ。こいつは危険だ」
レオンハルトは僕をかばうように前に立ち、ゆっくりと剣を抜いた。
「待ってください! 殺さないで!」
僕は思わず叫んでいた。狼の瞳は凶暴さよりも、怯えと苦痛の色が濃かったのだ。
「こいつは手負いだ。下手に近づけば襲われる」
「でも、助けを求めてるみたいなんです。罠を外してあげれば、きっと……」
僕の必死の訴えに、レオンハルトは一瞬ためらったようだった。その隙に、僕はゆっくりと狼に近づいた。
「大丈夫、怖くないよ。助けてあげるからね」
僕はできるだけ優しい声で話しかけながら、一歩、また一歩と距離を詰める。狼は依然としてうなり声を上げているが、攻撃してくる様子はない。僕が本気で助けようとしていることが伝わったのだろうか。
狼の足元までたどり着き、罠に手を伸ばした瞬間だった。狼が苦痛に耐えかねたのか、がぶりと僕の腕に噛みつこうとした。
「危ない!」
レオンハルトが僕を突き飛ばす。その直後、彼の分厚い革の手甲が、狼の牙をがしりと受け止めていた。
「レオンハルトさん!」
「問題ない。お前は罠を外せ」
彼は狼の牙を腕で受け止めたまま、冷静に僕に指示を出す。僕はうなずくと、【万能農具】をペンチの形に変化させ、罠のバネに差し込んだ。硬い金属の罠が、いとも簡単にこじ開けられる。
足から自由になった狼は、それでもまだ僕たちを警戒していた。しかし、レオンハルトがゆっくりと腕を引くと、攻撃するでもなく、ただその場でくたりと横たわった。体力を消耗しきっているようだ。
「……終わったか」
「はい。レオンハルトさん、腕は大丈夫ですか?」
「ああ。この手甲のおかげで傷一つない」
レオンハルトはそう言うと、おもむろに水袋を取り出し、狼の口元に水を垂らしてやった。狼は、おとなしくその水を飲んでいる。
僕たちは、動けない狼を二人で担ぎ、僕の小屋まで運んだ。傷口を洗い、薬草をすり込んで布で巻いてやる。幸い、骨は折れていないようだった。
手当が終わる頃には、狼はすっかり落ち着きを取り戻し、僕の足元ですうすうと寝息を立て始めた。
「……お前に懐いたようだな」
レオンハルトが、少しだけ呆れたように言う。
「名前、クロって呼んでもいいですかね。真っ黒だから」
「好きにしろ」
ぶっきらぼうに言いながらも、レオンハルトの表情はどこか柔らかい。彼も、クロのことが心配だったのだろう。
その日の昼食は、少し遅くなってしまった。僕とレオンハルト、そして足元で眠るクロ。奇妙な三人と一匹の食事が始まった。
「そうだ。レオンハルトさん、ちょっと試してみたいものがあるんです」
僕はそう言うと、数日前から試作していた液体を小皿に入れて持ってきた。大豆に似た豆と小麦に似た穀物を発酵させて作った、醤油もどきだ。
「これは?」
「僕の故郷の調味料です。魚の塩焼きにつけてみてください」
ちょうど焼いていた川魚を一切れ、レオンハルトの皿に乗せる。彼は半信半疑といった顔で、醤油もどきを少しだけつけて、魚を口に運んだ。
次の瞬間、レオンハルトの目が見開かれた。
「なっ……なんだ、これは!?」
驚きのあまり、声が裏返っている。
「塩辛いだけじゃない。深い……味わいがある。魚の旨味を何倍にも引き立てている……!」
彼は夢中になって、魚を食べ進めていく。よほど気に入ったらしい。その食べっぷりを見ているだけで、僕まで嬉しくなってくる。
「ユキナリ。お前は、一体何者なんだ……」
食事を終えたレオンハルトが、真剣な眼差しで僕を見つめてきた。
「ただの、しがない農夫ですよ」
僕は笑ってごまかした。まさか、異世界から来ましたなんて言えるはずもない。
レオンハルトは何か言いたげだったが、結局何も聞かずに、ただ僕の顔をじっと見つめていた。
その横顔を眺めながら、僕は思う。
無愛想で、言葉足らずで、いつも険しい顔をしている人。でも、本当はすごく優しい。動物にも、そして僕にも。
もふもふのクロが加わったことで、僕たちの奇妙な同居生活は、さらに賑やかになりそうだ。そして、僕の作る料理が、彼の閉ざした心を少しずつ開いていってくれるなら、これほど嬉しいことはない。
醤油もどきの成功に気を良くした僕は、次は味噌作りに挑戦してみようと心に決めたのだった。
彼は本当に「また来た」。それも毎日。決まって昼食の時間になると、どこからともなく僕の小屋の前に現れるのだ。
相変わらず口数は少なく、表情も険しいままだったが、僕の作る料理を黙々と、そして実においしそうに平らげていく。ニンジンのポタージュ、採れたてレタスのサラダ、ホクホクのジャガイモの塩ゆで。僕が作る素朴な料理を、レオンハルトはいつも空になるまで食べてくれた。
その日も、僕はレオンハルトのための昼食を準備していた。今日のメニューは、森で採れたキノコと野菜をたっぷり入れた炒め物だ。味付けは塩と、香りの良いハーブ。
『やっぱり、醤油があったらもっと美味しくなるんだろうな』
そんなことを考えていた時、森の奥から獣の苦しそうな呻き声が聞こえてきた。それは、ただの鳴き声ではない。明らかに助けを求めるような、悲痛な叫びだった。
「レオンハルトさん!」
ちょうど薪割りを手伝ってくれていたレオンハルトに声をかける。彼はすでに剣の柄に手をかけ、警戒態勢に入っていた。
「ユキナリは小屋の中にいろ」
「でも……」
「いいから!」
レオンハルトの厳しい声に、僕はしぶしぶうなずいた。でも、心配でじっとしていられない。僕は彼の背中を追って、声のする方へと向かった。
森の少し開けた場所に、信じられない光景が広がっていた。
そこにいたのは、巨大な黒い狼だった。体長は二メートルを優に超えているだろう。その漆黒の毛皮は土と血で汚れ、後ろ足には動物を捕らえるための無骨な罠が深く食い込んでいた。狼は苦痛に喘ぎながら、僕たちを睨みつけて低くうなっている。
「下がっていろ。こいつは危険だ」
レオンハルトは僕をかばうように前に立ち、ゆっくりと剣を抜いた。
「待ってください! 殺さないで!」
僕は思わず叫んでいた。狼の瞳は凶暴さよりも、怯えと苦痛の色が濃かったのだ。
「こいつは手負いだ。下手に近づけば襲われる」
「でも、助けを求めてるみたいなんです。罠を外してあげれば、きっと……」
僕の必死の訴えに、レオンハルトは一瞬ためらったようだった。その隙に、僕はゆっくりと狼に近づいた。
「大丈夫、怖くないよ。助けてあげるからね」
僕はできるだけ優しい声で話しかけながら、一歩、また一歩と距離を詰める。狼は依然としてうなり声を上げているが、攻撃してくる様子はない。僕が本気で助けようとしていることが伝わったのだろうか。
狼の足元までたどり着き、罠に手を伸ばした瞬間だった。狼が苦痛に耐えかねたのか、がぶりと僕の腕に噛みつこうとした。
「危ない!」
レオンハルトが僕を突き飛ばす。その直後、彼の分厚い革の手甲が、狼の牙をがしりと受け止めていた。
「レオンハルトさん!」
「問題ない。お前は罠を外せ」
彼は狼の牙を腕で受け止めたまま、冷静に僕に指示を出す。僕はうなずくと、【万能農具】をペンチの形に変化させ、罠のバネに差し込んだ。硬い金属の罠が、いとも簡単にこじ開けられる。
足から自由になった狼は、それでもまだ僕たちを警戒していた。しかし、レオンハルトがゆっくりと腕を引くと、攻撃するでもなく、ただその場でくたりと横たわった。体力を消耗しきっているようだ。
「……終わったか」
「はい。レオンハルトさん、腕は大丈夫ですか?」
「ああ。この手甲のおかげで傷一つない」
レオンハルトはそう言うと、おもむろに水袋を取り出し、狼の口元に水を垂らしてやった。狼は、おとなしくその水を飲んでいる。
僕たちは、動けない狼を二人で担ぎ、僕の小屋まで運んだ。傷口を洗い、薬草をすり込んで布で巻いてやる。幸い、骨は折れていないようだった。
手当が終わる頃には、狼はすっかり落ち着きを取り戻し、僕の足元ですうすうと寝息を立て始めた。
「……お前に懐いたようだな」
レオンハルトが、少しだけ呆れたように言う。
「名前、クロって呼んでもいいですかね。真っ黒だから」
「好きにしろ」
ぶっきらぼうに言いながらも、レオンハルトの表情はどこか柔らかい。彼も、クロのことが心配だったのだろう。
その日の昼食は、少し遅くなってしまった。僕とレオンハルト、そして足元で眠るクロ。奇妙な三人と一匹の食事が始まった。
「そうだ。レオンハルトさん、ちょっと試してみたいものがあるんです」
僕はそう言うと、数日前から試作していた液体を小皿に入れて持ってきた。大豆に似た豆と小麦に似た穀物を発酵させて作った、醤油もどきだ。
「これは?」
「僕の故郷の調味料です。魚の塩焼きにつけてみてください」
ちょうど焼いていた川魚を一切れ、レオンハルトの皿に乗せる。彼は半信半疑といった顔で、醤油もどきを少しだけつけて、魚を口に運んだ。
次の瞬間、レオンハルトの目が見開かれた。
「なっ……なんだ、これは!?」
驚きのあまり、声が裏返っている。
「塩辛いだけじゃない。深い……味わいがある。魚の旨味を何倍にも引き立てている……!」
彼は夢中になって、魚を食べ進めていく。よほど気に入ったらしい。その食べっぷりを見ているだけで、僕まで嬉しくなってくる。
「ユキナリ。お前は、一体何者なんだ……」
食事を終えたレオンハルトが、真剣な眼差しで僕を見つめてきた。
「ただの、しがない農夫ですよ」
僕は笑ってごまかした。まさか、異世界から来ましたなんて言えるはずもない。
レオンハルトは何か言いたげだったが、結局何も聞かずに、ただ僕の顔をじっと見つめていた。
その横顔を眺めながら、僕は思う。
無愛想で、言葉足らずで、いつも険しい顔をしている人。でも、本当はすごく優しい。動物にも、そして僕にも。
もふもふのクロが加わったことで、僕たちの奇妙な同居生活は、さらに賑やかになりそうだ。そして、僕の作る料理が、彼の閉ざした心を少しずつ開いていってくれるなら、これほど嬉しいことはない。
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