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三上陽子①
7:アルバイト決定
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それから二人は昼食を食べながら仕事内容の話をした。
そして、デザートを食べ終わりいよいよ面接、と涼が椅子にきっちりと座り直した。
陽子は仕出し弁当をテーブル脇の発泡スチロールの箱に収めると隅の棚からファイルを取出し涼の前に置いた。
『雇用契約書』と書かれた数枚の紙が製本テープでまとめられた感じの冊子と履歴書だった。
「主な内容についてはさっき話した通りです。あとは、時給についてですがこちらにある学生さんの始まりの時給からになります。うちは深夜営業帯はありませんので時給が変わることはありません。ただ、状況によって残業をお願いすることもありますが、その時も時給が変わることはありません。勿論、用事があれば断っても大丈夫です。あと、基本的に月シフトを前月に決めてもらいますが前日までなら変更は可能です。ただ、病気などの場合は勿論、当日早めに連絡してもらえば良しとします。無断欠勤だけはみんなの迷惑になってしまいますのでやめてください。それと、残業代などが付いたりしない代わりと言ってはなんですが、働いている時間帯によって1回につき500円までの食事支給をします。とはいっても隣のメガマートの弁当コーナーにある献立から選んでもらい書店奥の倉庫にある休憩場所で交代で食事をとってもらいます。」
とここまでスラスラとしゃべり終えて、
「わかりました?」
ウンウンと頷きながら聞いていた涼だったが、
「え~と、だいたい分かりました。それで構いません。」
「本当にいいの?」
尋ね返すと、
「食事支給はありがたいです。賄いの出る食事店とかしかバイト出来ない、と思っていたので良かったです。本当は僕は力だけは自信があるんです。」
と笑って言った。
「食材とかに関してならもっと良いこともあるのよ。ここはみんな同じ時間に終わるから店が閉まる直前にはタダみたいな見切り品なんてものもあるみたいよ。」
「そうなんですか!!」
と履歴書を書きだした。
高校生の頃に取ったペン字検定2級のおかげで涼の字はすっきりと読みやすい綺麗な字だった。
だが、書道4段の陽子はそこを褒めることはなく持っている資格等の欄にびっしり書かれたものを見て驚いた。
『そろばん2級』
『暗算検定2級』
『ペン字検定2級』
『書道3級』
『英語検定2級』
『情報処理2級』
『漢字検定3級』
『日商簿記3級』
『手話技能検定 2級』
『ワープロ検定2級』
『電卓技能検定3級』
『点字技能検定2級』
「いっぱい資格を取ってるのね。すごいのね。」
「母が学校で安く受けられるものはとっておけ、という主義でして。」
「そうなの!」
「小さい頃から父親がいなかったので、子供の頃は学童の代わりに書道とそろばん塾に行ってました。」
「そう。ごめんなさい。」
「いいえ、全然気にしてなんかいませんよ!あと、手話や点字は母親が介護士をしているのでその影響です。」
「そういうのまであるのね。パソコンなんかも得意なの?」
「まぁ普通には扱えます。でもこっちに持ってきたパソコンも古くて動きも悪くなりすぎて使えないのでしばらく触ってないですけどね。」
「そう。じゃあ、とりあえずシフトだけど。休みはいつまでなの?」
「25日までです。」
「うちは平日の午前中はパートさんがほぼ入ってくれているので、平日の夕方と週末に入ってもらえると良いんだけど。」
「わかりました。期間中は土日と平日の夕方シフトでお願いします。」
陽子はシフト帳を出し、みんなのシフトと照らし合わせてみる。
「休みはシフトが埋まっている日にしてもいい?希望の週とかある?」
「冬休み中は何も予定はないので入れるだけ入れてもらって良いです。というか、その方が助かります。」
「わかったわ。じゃあ、こんな感じでよいかしら?」
矢崎涼と書かれたシフト表を涼の前に置いた。
「え~と・・・」
日にちと時間を確認し、
「大丈夫です。これでお願いします。」
「あと、本来であれば給料は月2回でお渡しするんだけど大丈夫?」
「大丈夫です。」
「本当に?」
失礼だとは思ったがこれまでの話の流れだと決してお金に余裕は無さそうなので改めて聞いてみた。
「えぇ。節約するのは慣れているし、今差し迫ってお金が必要なこともないので。」
「そう。では早速明日からになるけど、よろしくお願いね。」
「はい。こちらこそよろしくお願いします。」
涼はお辞儀をしてドアの方へ歩いた。
そして最後に振り返って、
「今日はごちそうさまでした。明日からおねがいします、陽子さん」
と言って帰って行った。
「うちは三上書店で店長も三上出し紛らわしいので『チーフ』とかみんなのように『陽子チーフ』とか、なんなら『陽子さん』でもいいのよ。」
最後の『陽子さん』は冗談のつもりで言ったのだが実際にそう呼ばれてドキッとしてしまっていた。
そして、デザートを食べ終わりいよいよ面接、と涼が椅子にきっちりと座り直した。
陽子は仕出し弁当をテーブル脇の発泡スチロールの箱に収めると隅の棚からファイルを取出し涼の前に置いた。
『雇用契約書』と書かれた数枚の紙が製本テープでまとめられた感じの冊子と履歴書だった。
「主な内容についてはさっき話した通りです。あとは、時給についてですがこちらにある学生さんの始まりの時給からになります。うちは深夜営業帯はありませんので時給が変わることはありません。ただ、状況によって残業をお願いすることもありますが、その時も時給が変わることはありません。勿論、用事があれば断っても大丈夫です。あと、基本的に月シフトを前月に決めてもらいますが前日までなら変更は可能です。ただ、病気などの場合は勿論、当日早めに連絡してもらえば良しとします。無断欠勤だけはみんなの迷惑になってしまいますのでやめてください。それと、残業代などが付いたりしない代わりと言ってはなんですが、働いている時間帯によって1回につき500円までの食事支給をします。とはいっても隣のメガマートの弁当コーナーにある献立から選んでもらい書店奥の倉庫にある休憩場所で交代で食事をとってもらいます。」
とここまでスラスラとしゃべり終えて、
「わかりました?」
ウンウンと頷きながら聞いていた涼だったが、
「え~と、だいたい分かりました。それで構いません。」
「本当にいいの?」
尋ね返すと、
「食事支給はありがたいです。賄いの出る食事店とかしかバイト出来ない、と思っていたので良かったです。本当は僕は力だけは自信があるんです。」
と笑って言った。
「食材とかに関してならもっと良いこともあるのよ。ここはみんな同じ時間に終わるから店が閉まる直前にはタダみたいな見切り品なんてものもあるみたいよ。」
「そうなんですか!!」
と履歴書を書きだした。
高校生の頃に取ったペン字検定2級のおかげで涼の字はすっきりと読みやすい綺麗な字だった。
だが、書道4段の陽子はそこを褒めることはなく持っている資格等の欄にびっしり書かれたものを見て驚いた。
『そろばん2級』
『暗算検定2級』
『ペン字検定2級』
『書道3級』
『英語検定2級』
『情報処理2級』
『漢字検定3級』
『日商簿記3級』
『手話技能検定 2級』
『ワープロ検定2級』
『電卓技能検定3級』
『点字技能検定2級』
「いっぱい資格を取ってるのね。すごいのね。」
「母が学校で安く受けられるものはとっておけ、という主義でして。」
「そうなの!」
「小さい頃から父親がいなかったので、子供の頃は学童の代わりに書道とそろばん塾に行ってました。」
「そう。ごめんなさい。」
「いいえ、全然気にしてなんかいませんよ!あと、手話や点字は母親が介護士をしているのでその影響です。」
「そういうのまであるのね。パソコンなんかも得意なの?」
「まぁ普通には扱えます。でもこっちに持ってきたパソコンも古くて動きも悪くなりすぎて使えないのでしばらく触ってないですけどね。」
「そう。じゃあ、とりあえずシフトだけど。休みはいつまでなの?」
「25日までです。」
「うちは平日の午前中はパートさんがほぼ入ってくれているので、平日の夕方と週末に入ってもらえると良いんだけど。」
「わかりました。期間中は土日と平日の夕方シフトでお願いします。」
陽子はシフト帳を出し、みんなのシフトと照らし合わせてみる。
「休みはシフトが埋まっている日にしてもいい?希望の週とかある?」
「冬休み中は何も予定はないので入れるだけ入れてもらって良いです。というか、その方が助かります。」
「わかったわ。じゃあ、こんな感じでよいかしら?」
矢崎涼と書かれたシフト表を涼の前に置いた。
「え~と・・・」
日にちと時間を確認し、
「大丈夫です。これでお願いします。」
「あと、本来であれば給料は月2回でお渡しするんだけど大丈夫?」
「大丈夫です。」
「本当に?」
失礼だとは思ったがこれまでの話の流れだと決してお金に余裕は無さそうなので改めて聞いてみた。
「えぇ。節約するのは慣れているし、今差し迫ってお金が必要なこともないので。」
「そう。では早速明日からになるけど、よろしくお願いね。」
「はい。こちらこそよろしくお願いします。」
涼はお辞儀をしてドアの方へ歩いた。
そして最後に振り返って、
「今日はごちそうさまでした。明日からおねがいします、陽子さん」
と言って帰って行った。
「うちは三上書店で店長も三上出し紛らわしいので『チーフ』とかみんなのように『陽子チーフ』とか、なんなら『陽子さん』でもいいのよ。」
最後の『陽子さん』は冗談のつもりで言ったのだが実際にそう呼ばれてドキッとしてしまっていた。
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