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第一章 セイシュの民が翔ける黎明の空
24 水の村へ向かって 快適な旅
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「ところでシフィル、こっちの方向でいいのか?」
火の村ファルスを少し離れた位置で肩に飛び乗ったもんちきが、シフィルの顔を手でペチペチ叩きながら尋ねた。
「ん。あってるはず。」
その場で立ち止まり、折りたたまれた地図を丁寧に広げる。
まず、地図でファルス村を見つけてそれを指さした。
そこに隣り合うような形で狩りに行った、罠を仕掛けた場所を指で確認する。
そしてファルス長老に指示された目的地である赤い○の記された位置を確認した。
ファルス村と狩り場の位置関係から計算すると、目的地まではだいぶ遠い。
もんちきの手の長さを使って、ざっと計算すると、急いでも10日はかかるだろうか。
「遠いな。迷子になるな。」
地図の上で、もんちきが腕を組んでシフィルの顔を見上げて笑う。
「だよな。」
シフィルも、もんちきの背をつまみ上げて笑う。
現在いるこの場所と、目的地の赤い〇のちょうど中間地点付近に水の文様が記載された位置がある。
ここが、ファルス長老が言っていた、水の民の襲われた村であろうか。
「まずは、この水の文様のところに行こうと思うんだ。村があればそこで休ませてもらおう。」
「そうだな。まあ、その水のところまでは一本道みたいだし、いいんじゃないか。」
ファルス村から一直線に水の民の村まで指でなぞると、とんとんと二度その目的地を指し示した。
「でも襲われた村ってものも少し怖いけど。まだ襲ったやつらがいるかもしれないし。」
短い腕を組んで考え込むもんちき。それを見て同じように腕を組んで考え込むシフィル。
「まあ、ゆっくりその水の文様のところに近づいて、怪しそうだったら無視して先に進もう。」
シフィルがもんちきの頭を撫でるように何度もこすると、もんちきはうなずいた。
目的地が決まったところで、地図と一緒にファルス長老に受け取った、火の村ファルスに代々伝わるというコンパスで方向を確認する。
このコンパスは特殊であり、コンパスの針を地図上の行きたいところに合わせ、火の原石の力をその針に注ぎ込むと、セットした目的地の方向を常に指し続けるという優れものである。
原理は一切不明とのことだったが、今のシフィル達にとって、これ以上ない心強い道具だった。
水の文様の位置を指すようにコンパスの針を合わせ、こっそりと封印の布から火の原石を取り出して、コンパスへ火のちからを注いだ。
するとコンパスの針が風になびくように、ユラユラとゆっくりと動き出して一回転すると、急にビクっと止まって向かうべき方角を示した。
そして直ぐに火の原石を封印の布に包み込む。
「よし、じゃあ行くか。」
「おー!」
シフィルの掛け声にもんちきが両手を挙げて応える。
「さあ、大冒険の始まりだ!!」
「おおー!」
さらにシフィルともんちきが大きな声を上げて、歩き出した。
どれくらい経つだろうか。意外と平和である。
最初、敵に備えて鋼鉄の剣を構えながら歩いていた。どこから何が襲ってくるか不安で不安でしょうがない。
前後左右上下すべてに注意しながら歩いていた。シフィルが前を向き、後ろをもんちきが確認した。
だが、動物がいても、襲いかかってきたりせず、こっちを無視して素通りしたり、逆に逃げていくほうが多い。
歩きやすい平原が続く。
雲一つない青空。いい天気でポカポカして眠くなりそうになる。
特に危険なことも無く、なんか楽しくなってくる。
真っ赤な実の成った木からその実をもぎ取ってかじったり、ゆるやかに流れる小川をジャンプして通り抜けたり、森の果物や水も豊富で、食物、水ともに困らなかった。
穏やかな旅ではあるが、少し拍子抜けする。実際、もっと猛獣と戦ったり、険しい崖をよじ登ったり、食料に困ったり、色々な苦難を想定していたが、1日目は特に何もなく日が暮れた。
散歩と同じような感覚で歩け、もんちきもご機嫌であった。
方向は、この地図が正確で有れば、まず間違っていないだろう。
コンパスの指す針とシフィルの方向感覚は一致していた。
小さい頃、こっそり隠れて村の外に出て行っても、太陽の方角と歩いた記憶があれば、必ず戻ってこられた。
方向感覚の良さにはシフィルは自信がある。
しかし、いくら方向がわかっていても、知らない土地での夜歩きは危険なことは重々承知している。
夜行性の猛獣も多いことは身をもって知っていたし、罠がないとも限らない。
今日は少し隠れることのできる木々で囲まれたた場所で休む事にした。
ちょうどその身を隠すように背の高い葉が茂っており、誰かがそこで野宿を下のだろう、燃え残った木の枝と黒く炭化した太い枝が確認できた。それをそのまま使用させてもらう。
火の村ファルスを少し離れた位置で肩に飛び乗ったもんちきが、シフィルの顔を手でペチペチ叩きながら尋ねた。
「ん。あってるはず。」
その場で立ち止まり、折りたたまれた地図を丁寧に広げる。
まず、地図でファルス村を見つけてそれを指さした。
そこに隣り合うような形で狩りに行った、罠を仕掛けた場所を指で確認する。
そしてファルス長老に指示された目的地である赤い○の記された位置を確認した。
ファルス村と狩り場の位置関係から計算すると、目的地まではだいぶ遠い。
もんちきの手の長さを使って、ざっと計算すると、急いでも10日はかかるだろうか。
「遠いな。迷子になるな。」
地図の上で、もんちきが腕を組んでシフィルの顔を見上げて笑う。
「だよな。」
シフィルも、もんちきの背をつまみ上げて笑う。
現在いるこの場所と、目的地の赤い〇のちょうど中間地点付近に水の文様が記載された位置がある。
ここが、ファルス長老が言っていた、水の民の襲われた村であろうか。
「まずは、この水の文様のところに行こうと思うんだ。村があればそこで休ませてもらおう。」
「そうだな。まあ、その水のところまでは一本道みたいだし、いいんじゃないか。」
ファルス村から一直線に水の民の村まで指でなぞると、とんとんと二度その目的地を指し示した。
「でも襲われた村ってものも少し怖いけど。まだ襲ったやつらがいるかもしれないし。」
短い腕を組んで考え込むもんちき。それを見て同じように腕を組んで考え込むシフィル。
「まあ、ゆっくりその水の文様のところに近づいて、怪しそうだったら無視して先に進もう。」
シフィルがもんちきの頭を撫でるように何度もこすると、もんちきはうなずいた。
目的地が決まったところで、地図と一緒にファルス長老に受け取った、火の村ファルスに代々伝わるというコンパスで方向を確認する。
このコンパスは特殊であり、コンパスの針を地図上の行きたいところに合わせ、火の原石の力をその針に注ぎ込むと、セットした目的地の方向を常に指し続けるという優れものである。
原理は一切不明とのことだったが、今のシフィル達にとって、これ以上ない心強い道具だった。
水の文様の位置を指すようにコンパスの針を合わせ、こっそりと封印の布から火の原石を取り出して、コンパスへ火のちからを注いだ。
するとコンパスの針が風になびくように、ユラユラとゆっくりと動き出して一回転すると、急にビクっと止まって向かうべき方角を示した。
そして直ぐに火の原石を封印の布に包み込む。
「よし、じゃあ行くか。」
「おー!」
シフィルの掛け声にもんちきが両手を挙げて応える。
「さあ、大冒険の始まりだ!!」
「おおー!」
さらにシフィルともんちきが大きな声を上げて、歩き出した。
どれくらい経つだろうか。意外と平和である。
最初、敵に備えて鋼鉄の剣を構えながら歩いていた。どこから何が襲ってくるか不安で不安でしょうがない。
前後左右上下すべてに注意しながら歩いていた。シフィルが前を向き、後ろをもんちきが確認した。
だが、動物がいても、襲いかかってきたりせず、こっちを無視して素通りしたり、逆に逃げていくほうが多い。
歩きやすい平原が続く。
雲一つない青空。いい天気でポカポカして眠くなりそうになる。
特に危険なことも無く、なんか楽しくなってくる。
真っ赤な実の成った木からその実をもぎ取ってかじったり、ゆるやかに流れる小川をジャンプして通り抜けたり、森の果物や水も豊富で、食物、水ともに困らなかった。
穏やかな旅ではあるが、少し拍子抜けする。実際、もっと猛獣と戦ったり、険しい崖をよじ登ったり、食料に困ったり、色々な苦難を想定していたが、1日目は特に何もなく日が暮れた。
散歩と同じような感覚で歩け、もんちきもご機嫌であった。
方向は、この地図が正確で有れば、まず間違っていないだろう。
コンパスの指す針とシフィルの方向感覚は一致していた。
小さい頃、こっそり隠れて村の外に出て行っても、太陽の方角と歩いた記憶があれば、必ず戻ってこられた。
方向感覚の良さにはシフィルは自信がある。
しかし、いくら方向がわかっていても、知らない土地での夜歩きは危険なことは重々承知している。
夜行性の猛獣も多いことは身をもって知っていたし、罠がないとも限らない。
今日は少し隠れることのできる木々で囲まれたた場所で休む事にした。
ちょうどその身を隠すように背の高い葉が茂っており、誰かがそこで野宿を下のだろう、燃え残った木の枝と黒く炭化した太い枝が確認できた。それをそのまま使用させてもらう。
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