新撰組の想い人 ~幕末にタイムスリップしたオメガの行方~

萩の椿

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第49話

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 翌日は、沖田ではなく土方が朝食を運んできた。

 それとなく、沖田の事を尋ねてみると、どうやら地方に行っているらしい。なので沖田は暫くは戻らないそうだ。

 ホッと胸を撫でおろし、朝食を食べて春日の元に向かった。

 昨日の沖田との一件を思い出すと、恥ずかしすぎてどうにかなりそうだったが、次第にそんな事が考えられなくなるほど、忙しくなった。

 今日も昨日と変わらず、せかせかと動き回り、あっという間に時間は過ぎていた。

 春日が先に調理場を後にし、片づけもようやく終わった頃、タイミングよく土方が調理場に現れた。

「仕事には慣れたか?」

「えっと、はい。まだ二日目なので春日さんの足を引っ張ってばかりですけど」

 風呂場に向かう途中、土方が尋ねてきた。昨日と変わらず、雰囲気が穏やかだ。そんな土方にもだいぶ慣れてきたが、やはり二人きりの風呂というのはまだ抵抗があった。

 脱衣所に到着し、土方は着物を脱いでいく。すぐにその屈強な上半身があらわになり、慧はその筋肉にくぎ付けになった。

 背中や二の腕には一切のたるみがなく引き締まっている。体の厚さが慧とは比にならない。どれだけ体を鍛えようと思っても筋肉が全くつかなかった慧にとってはまさに理想の体だ。
 羨望の眼差しで見ていると、土方と目が合ってしまった。

「なんだ?」

「いっ、いえ! 何でもありません……」

 急いで土方に背を向けるが、背中にチクチクと視線が刺さっているのが分かる。

「あの、先に入っててください……」

 別に意識はしていないけれど、見られていると恥ずかしくて脱ぎにくい。慧が背を向けたまま言うと、土方は「わかった」と言って風呂場に入っていった。

 男の裸なんて、今まで何とも意識したことが無かったのに、土方の体を見るとなぜか恥ずかしくなってしまう。

それはこの前、土方に抱かれてしまったことが関係しているのだろうか。良く分からないが、自分だけ意識してしまっているというのがなんとも情けなかった。

 パンパンと両頬を叩き、気を取り直して風呂場へと向かう。

 大浴槽の中に土方の姿が見えた。じっと見つめられると胸なんてないのに両手で隠してしまう。
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