平凡王の国政奮闘記!〜えぇいッ!次から次へと問題を持ってくるで無いわッ!〜

クレアンの物書き

文字の大きさ
6 / 42
勇者という問題

勇者との会話

しおりを挟む


「よい、堅苦しい挨拶は今は不要だ。そんなことができる体でないのは、お前がよくわかっているだろう」


「…あ…ありがとうっ…ございますっ」


…根っから何かが染み付いておるな…


…恐怖…か?


「…話はできるか?」


「…はい」


「聞きたいことがいくつかある。何故、そのような状態なのだ?」


「…こ…これは……」


「……あえて言うが、嘘をつかぬことだ。ここにいる者達は皆優秀だからな、既に過度な栄養失調に加えストレスをかかえているのは把握している」


多少脅しになるが…こればかりは致し方あるまい。


「…」


「…答えられぬか?、ならば質問を変えよう。他の勇者パーティーはどこにいる?、この付近を探したが見つからなかったのだが」


「………皆とは……別れました……私1人です…」


「…ほぅ……なら何故1人で…この国に…いやっ、この地に来た?。つい最近、東の地の魔王を倒したはずだが……なぜ、勇者1人で遠き我が国に来ているのだ?」


それに、付近に厄介なモンスターがあらわれた等の報告はない。


「………わ…私は……」


「……」


「……っ……わ…ッ…」


「…すまん、急ぎすぎたようだな」


「…ぇ…?」


「今はゆっくり休むといい……ここには敵はおらん」


俺はそれだけ言うと、その場を後にした。


これ以上、話を続けるのはやめたほうがいいからだ。


まさかここまでとは…な…


「…我が王よ」


廊下を歩いている最中、ミランダに話しかけられた。


「…何だ?」


「…お気を確かに…」


「…すまん」


苛立ちで声が低くなっていたか…俺もまだまだ未熟だな…


「……当たりでございますか?」


ミランダが問うてきた。


何についてかなど分かりきった事だ。


「…残念ながらな」


勇者の行動や表情から確信した。


具体的な内容は不明だが、かなり辛い目にあってきたのだと…


「……虐待か…はたまた道具として使用したか……何にせよ、民を守るべき国のやる事ではないなっ…」


自分の事ではないのに、口にするだけで吐き気がして仕方がない。


「…如何いたしますか?」


「…どうもせん…と言うのはあれだが、どうできるものでもないからな」


まったくもって気にいらないが…


結局は他国内での話だ。


俺がどうこう言える立場ではない。


下手に手を出せば、過剰な他国干渉と捉えられ、最悪戦争の引き金になるかもしれん…


…俺の国の民に手を出したのなら話は別なんだがな…


「…ひとまず、勇者の回復が優先だ…どんな理由があるとしても、目が届く範囲で死なれても困るのでな」


「かしこまりました」


「うむ。では、この件はここまでだ。俺は仕事に戻る」


話を区切ると、俺は執務室へと向かった。


…そういえば、また大量の書類が山のようにあるんだったな………

…勇者の事を考えていたから忘れていた…


このまま思い出したくなかったぁ…
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

無属性魔法しか使えない少年冒険者!!

藤城満定
ファンタジー
「祝福の儀式」で授かった属性魔法は無属性魔法だった。無属性と書いてハズレや役立たずと読まれている属性魔法を極めて馬鹿にしてきた奴らの常識を覆して見返す「ざまあ」系ストーリー。  不定期投稿作品です。

人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―

ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」 前世、15歳で人生を終えたぼく。 目が覚めたら異世界の、5歳の王子様! けど、人質として大国に送られた危ない身分。 そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。 「ぼく、このお話知ってる!!」 生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!? このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!! 「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」 生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。 とにかく周りに気を使いまくって! 王子様たちは全力尊重! 侍女さんたちには迷惑かけない! ひたすら頑張れ、ぼく! ――猶予は後10年。 原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない! お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。 それでも、ぼくは諦めない。 だって、絶対の絶対に死にたくないからっ! 原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。 健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。 どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。 (全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)

帝国の王子は無能だからと追放されたので僕はチートスキル【建築】で勝手に最強の国を作る!

黒猫
ファンタジー
帝国の第二王子として生まれたノルは15才を迎えた時、この世界では必ず『ギフト授与式』を教会で受けなくてはいけない。 ギフトは神からの祝福で様々な能力を与えてくれる。 観衆や皇帝の父、母、兄が見守る中… ノルは祝福を受けるのだが…手にしたのはハズレと言われているギフト…【建築】だった。 それを見た皇帝は激怒してノルを国外追放処分してしまう。 帝国から南西の最果ての森林地帯をノルは仲間と共に開拓していく… さぁ〜て今日も一日、街作りの始まりだ!!

扱いの悪い勇者パーティを啖呵切って離脱した俺、辺境で美女たちと国を作ったらいつの間にか国もハーレムも大陸最強になっていた。

みにぶた🐽
ファンタジー
いいねありがとうございます!反応あるも励みになります。 勇者パーティから“手柄横取り”でパーティ離脱した俺に残ったのは、地球の本を召喚し、読み終えた物語を魔法として再現できるチートスキル《幻想書庫》だけ。  辺境の獣人少女を助けた俺は、物語魔法で水を引き、結界を張り、知恵と技術で開拓村を発展させていく。やがてエルフや元貴族も加わり、村は多種族共和国へ――そして、旧王国と勇者が再び迫る。  だが俺には『三国志』も『孫子』も『トロイの木馬』もある。折伏し、仲間に変える――物語で世界をひっくり返す成り上がり建国譚、開幕!

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...