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日常
第7話 消毒が必要
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衝動のままに肩を掴み、上半身だけ起こしていた男の体を押し倒した。意外と抵抗はなく、あっさりと旭陽の体の上に乗り上げることに成功する。
見下ろしてやれば、そこで漸く男の眉が跳ねた。
「触って欲しいんならさァ、はっきり言ってみろよ。気が向きゃ愛でてやるぜ?」
嘲るように言って唇を歪め、俺の顎下に指の背を滑らせてくる。
俺以外の匂いをつけた手で。
他の男に、触れた、手。
旭陽の手を掴み、口元に引き寄せる。
牙を触れさせれば、小さく肩が震えたのが見えた。
黄金の瞳が僅かに揺れる。一瞬だけ、瞳の奥に戸惑いとも躊躇いとも見える揺らぎがちらついた。
あまりにも傲慢な態度が変わってないから、何も覚えてないのかと疑ってたけど……それはなかったか。
ちゃんと覚えているらしい。俺に噛まれた結果、どうなったのか。
突っ込まれて散々イかされて、出るものがなくなっても泣きじゃくってもまだイき狂わされ続けて、最後は潮を吹いて気絶したってことを。
「違うだろ、旭陽。お前は酷くしないでって俺に乞わなきゃいけない立場だ」
「……は。おれに、お前の慈悲を乞えって?」
相手の高慢な笑みを思い出しながら唇を歪めてみせると、一瞬沈黙した旭陽が鼻を鳴らした。憎たらしい仕草に眉が寄る。
着せていた服に手をかけても、抵抗はなかった。
この間とは違い、今日は下だけでなく上の服も剥いでいく。
下半身同様、上半身にも以前にはなかった多くの傷跡が刻まれていた。
思わず手を止めれば、旭陽が怖いならやめとけよと言わんばかりに喉を鳴らした。……やはり馬鹿にされている。
高みからの見下しに煽られて、自分より太い手首を掴んだ。
「っン……」
俺以外に触れていた指に舌を押し付ければ、肩を揺らした旭陽が小さく声を零した。
まだ触れただけなのに、随分と敏感だ。催淫効果が切れても、一度あれだけ長時間絶頂に浸される経験をしたことで、全体的な感度自体が上がったのかもしれない。
もしそうなら……俺の行為が、こいつの体に確かに刻まれてるってことだ。結構嬉しいかも。
不愉快に満たされていた胸内が少し空くのを感じながら、指の先から背へと丹念に濡らしていく。
振り払おうとはしてこない手を、一応俺の顔の高さで掴み固定させて、自分の空いている手は胸元から下肢へと素肌を撫で下ろしていく。
指腹に歯を当てると、眼下の喉仏がひくりと震えた。
「は、ぁ……う……ん……っ」
浅黒い肌の味に夢中になって、全ての指に舌を這わせていった。
大人しく俺に手を預けている旭陽は、時折吐息を零しながらじっとしていた。
俺の歯が軽く肌に触れたり、指の間の皺に舌を押し込んだ時は、軽く顎を持ち上げて身動ぎする。
俺には気持ち良さを逃がそうとする仕草に見えた。
足の付け根に触れれば、僅かに腰を引いた男の呼吸が浅くなる。
先日の行為中、ここも噛んで血を飲んだ。
「っふ、ァ……ッい、つまで、犬みてえに舐め回してんだ……っン、ん……ッ」
明らかに感じておきながら、旭陽はあくまでも俺を揶揄する態度を崩さない。
むっとして舐めていた指に吸い付き、掌にまで俺の唾液が伝っている手を離して逆の手首を掴む。
そちらに俺が牙以外の歯で噛み付いても、堪えるように片目を歪めた旭陽はやっぱり抵抗しなかった。
すっかり俺の唾液塗れになった両手を解放すれば、手はそのまま旭陽の胸元に落ちていった。
もう一度掴み直し、頭上に男の両手を引き上げて手の甲同士をくっ付けさせる。
改めて見ると、長い指は微かに震えていた。
怖がっているようには見えないから、これは快感からきている震えだろう。
つっても性感帯でもない場所を舐め回して、ちょっと歯型を付けただけだぞ? 血は飲んでない。
催淫効果もなしでそれって、お前一回で仕込まれすぎじゃないのか。
そんな感じやすくなってて大丈夫なのか。
うっかり心配してしまいながら、ベッド柵に両手を押し付ける。
指を滑らせれば先日と同じ太さと重さの手枷が出現して、褐色の肌を覆い隠した。
先日かなり手も足も痛めていたようだったから自由にさせていたが、そんな気遣いをするような関係でもなかったな。
まだ治っていない手首にまた重すぎる枷を嵌められて、痛みに旭陽が頬を歪めた。
足は……まあそのままでいいか。
「またヤんのかよ」
何でもないような口振りで軽く聞かれる。
指で感じておいて、何でこんなに尊大な態度が取れるんだ、こいつは……
さっさと突っ込んでやろうと思ったけど、どうにか嫌がる顔が見たくなってきた。
見下ろしてやれば、そこで漸く男の眉が跳ねた。
「触って欲しいんならさァ、はっきり言ってみろよ。気が向きゃ愛でてやるぜ?」
嘲るように言って唇を歪め、俺の顎下に指の背を滑らせてくる。
俺以外の匂いをつけた手で。
他の男に、触れた、手。
旭陽の手を掴み、口元に引き寄せる。
牙を触れさせれば、小さく肩が震えたのが見えた。
黄金の瞳が僅かに揺れる。一瞬だけ、瞳の奥に戸惑いとも躊躇いとも見える揺らぎがちらついた。
あまりにも傲慢な態度が変わってないから、何も覚えてないのかと疑ってたけど……それはなかったか。
ちゃんと覚えているらしい。俺に噛まれた結果、どうなったのか。
突っ込まれて散々イかされて、出るものがなくなっても泣きじゃくってもまだイき狂わされ続けて、最後は潮を吹いて気絶したってことを。
「違うだろ、旭陽。お前は酷くしないでって俺に乞わなきゃいけない立場だ」
「……は。おれに、お前の慈悲を乞えって?」
相手の高慢な笑みを思い出しながら唇を歪めてみせると、一瞬沈黙した旭陽が鼻を鳴らした。憎たらしい仕草に眉が寄る。
着せていた服に手をかけても、抵抗はなかった。
この間とは違い、今日は下だけでなく上の服も剥いでいく。
下半身同様、上半身にも以前にはなかった多くの傷跡が刻まれていた。
思わず手を止めれば、旭陽が怖いならやめとけよと言わんばかりに喉を鳴らした。……やはり馬鹿にされている。
高みからの見下しに煽られて、自分より太い手首を掴んだ。
「っン……」
俺以外に触れていた指に舌を押し付ければ、肩を揺らした旭陽が小さく声を零した。
まだ触れただけなのに、随分と敏感だ。催淫効果が切れても、一度あれだけ長時間絶頂に浸される経験をしたことで、全体的な感度自体が上がったのかもしれない。
もしそうなら……俺の行為が、こいつの体に確かに刻まれてるってことだ。結構嬉しいかも。
不愉快に満たされていた胸内が少し空くのを感じながら、指の先から背へと丹念に濡らしていく。
振り払おうとはしてこない手を、一応俺の顔の高さで掴み固定させて、自分の空いている手は胸元から下肢へと素肌を撫で下ろしていく。
指腹に歯を当てると、眼下の喉仏がひくりと震えた。
「は、ぁ……う……ん……っ」
浅黒い肌の味に夢中になって、全ての指に舌を這わせていった。
大人しく俺に手を預けている旭陽は、時折吐息を零しながらじっとしていた。
俺の歯が軽く肌に触れたり、指の間の皺に舌を押し込んだ時は、軽く顎を持ち上げて身動ぎする。
俺には気持ち良さを逃がそうとする仕草に見えた。
足の付け根に触れれば、僅かに腰を引いた男の呼吸が浅くなる。
先日の行為中、ここも噛んで血を飲んだ。
「っふ、ァ……ッい、つまで、犬みてえに舐め回してんだ……っン、ん……ッ」
明らかに感じておきながら、旭陽はあくまでも俺を揶揄する態度を崩さない。
むっとして舐めていた指に吸い付き、掌にまで俺の唾液が伝っている手を離して逆の手首を掴む。
そちらに俺が牙以外の歯で噛み付いても、堪えるように片目を歪めた旭陽はやっぱり抵抗しなかった。
すっかり俺の唾液塗れになった両手を解放すれば、手はそのまま旭陽の胸元に落ちていった。
もう一度掴み直し、頭上に男の両手を引き上げて手の甲同士をくっ付けさせる。
改めて見ると、長い指は微かに震えていた。
怖がっているようには見えないから、これは快感からきている震えだろう。
つっても性感帯でもない場所を舐め回して、ちょっと歯型を付けただけだぞ? 血は飲んでない。
催淫効果もなしでそれって、お前一回で仕込まれすぎじゃないのか。
そんな感じやすくなってて大丈夫なのか。
うっかり心配してしまいながら、ベッド柵に両手を押し付ける。
指を滑らせれば先日と同じ太さと重さの手枷が出現して、褐色の肌を覆い隠した。
先日かなり手も足も痛めていたようだったから自由にさせていたが、そんな気遣いをするような関係でもなかったな。
まだ治っていない手首にまた重すぎる枷を嵌められて、痛みに旭陽が頬を歪めた。
足は……まあそのままでいいか。
「またヤんのかよ」
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指で感じておいて、何でこんなに尊大な態度が取れるんだ、こいつは……
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